雁屋哲の今日もまた

2009-01-18

NHKの主題曲は良いのが多い

(ちょっと時期がずれましたが、今年の我が家のおせちを「雁屋哲の食卓」にのせました。)

 昔から思っているんだが、NHKの番組の音楽には良い物が多い。
 主題曲と言うのか、その番組の最初、途中、終わり、などに挿入される音楽がよい。
 まだ、テレビなどなく、ラジオが一番の娯楽だった頃は考えてみると大変に良かった。
 きちんとしたオーディオ装置で音楽を聴くときにはスピーカーの正面の良い位置に座り、耳の周りに音の干渉になるような物がないように気をつけなければならないが、ラジオの音を聞く分には、聞こえればよいと言う気楽さがあったから、家族が、ラジオの音の届く範囲にはいるが、てんでんばらばらに何をしても良かった。
 本や新聞を読みながら、アイロンを掛けながら、ちゃぶ台で学校の宿題をしながら、聞いて楽しめた。
 テレビになってから、その生活様式が一変した。
 みんなテレビの前に集って、テレビの画面を注視しなければならない。お茶を飲んだり、お菓子を食べたりする分にはよいが、本や新聞は読めないね。(というと、反対の声あり、テレビを見ながら、新聞や本も読むし宿題もする人間は多いという。)
 たしかに、食卓の近くにテレビを持込んでいる家は多くて、そう言う家ではテレビを見ながら食事をする。
 吾が輩、それには大いに異議あり。
 それじゃ、食べ物の味がわからねえんんじゃねえのけえ。
 第一、食事中に家族会話という物が成立しない、家族団らんにな
らないではないか。
 したがって、我が家は、食卓の周りにテレビは置いていない。
 テレビを見ながら食事をするなどと言う下卑たことは絶対に許さない。
 ただ一つの例外として、大相撲の時だけ隣室のテレビを付けておいて、扉の隙間からちょろちょろ見ていて、ここぞという取組みの時には、家族そろって、わっと言って飛び出してテレビの前に陣取る。
 まあ、これなら、行儀は悪いが家族団らんの妨げにはならない。

 ま、それはともかく、私は子供の頃胃腸が弱く(今でも弱いが)前の晩食べ過ぎると翌日気持ちが悪くなって学校を休むことが良くあった。
 その気分の悪さも、昼ご飯近くなると治る。
 そこで、母が前の晩のご飯を蒸かし直して持って来てくれる。(今のような、保温ジャーなんかない頃だ。前の晩は冷たいまま食べるか、ふかして食べるかどちらかだった。個人的には、保温ジャーで暖め続けたご飯は非常にまずいと思う。一旦冷えたご飯をもう一度蒸気でふかした方が絶対に美味しい)
 なんせ、胃の具合が悪いのだから、おかずは卵焼きくらいの物である。
 その時に、NHKの第一放送から「昼の憩い」の番組が流れ始める。
 その、主題曲、また、途中で、地方の通信員からのお便りの時に流れる曲、これが、素晴らしく良い曲だ。
 なんと、最近聞いたら、同じ番組が続いていて、主題曲まで同じだった。
 あれは、昭和の二十年代に始まった番組だから、もう六十年以上続いている。
「ジャーン、ジャラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラー、ラ・ラ・ラ、ラ・ラ・ラー、ラ・ラ・ラ、ラ・ラ・ラー」(音符で書けばよいのにね。でも、あの曲を知っている人はこれだけで分かると思う)
 と言う曲を聴くと、あまりの懐かしさに文字通り胸締め付けられる思いがする。
 蒸かしご飯と卵焼き、その味が舌の上によみがえってきて、母の声が耳元で聞こえるような気がする。
 どうか、あの番組は未来永劫、NHKがある限り続けて欲しい。

 今、関東地方を中心に放送されている「小さな旅」の主題曲もいいねえ。
 あれは一度、歌詞を付けて誰か女性歌手が歌ったが、歌としては成功しなかったようだ。
 しかし、あの曲はいい。
 関東の思わぬ小さな町や村を訪ねるという趣向も良いし、それに合わせて流れるあの主題曲が、妙に懐かしさをかき立てる。

「新・日本紀行」の主題曲も素晴らしい。
 最近、「新・日本紀行」再訪、と言う番組を放送しているが、そこでもあの主題曲が流れている。
 番組の内容は、三十年ほど前に「新・日本紀行」で訪ねた場所を再訪するという物だが(場合によっては、「日本紀行」のフィルムも流れる、三十年で日本はこれほど変わるかと愕然とさせられることが多い。
 それはともかく、あの主題曲は素晴らしい。

 一頃大当たりしたのが、「プロジェクトX」の主題曲だ。
 カラオケで、おじさんたちが、熱唱していたもんね。
 あの番組は、日本が経済成長を続けていた頃の賛歌であり、もう、今となってはあんなことがもう一度起こるとは思えない、と言う悲しみをかき立てる番組でもあった。
 団塊の世代のおじさんたちは、涙なくしてあの番組を見られなかったのでないか。
 団塊の世代を徹底的に馬鹿にしている、今の三十代・四十代の人間は、「プロジェクトX」に対しても批判的だった。
 しかし、日本も無惨なことになった物だ。
 四十代、三十代、二十代、十代、と年齢が若くなるにつれて、日本の失敗と、没落しか経験できない世の中になった。
 こんな社会にしたのは、団塊の世代の責任だ、と言われれば、その通りだが、団塊の世代が食うや食わずの時代から必死に働いて日本の経済の発展を支えたのだ。
 確かに今の日本の経済はどん底だが、戦後のがれきの山しかなかった時代に戻ったと思って、はい上がる努力を続けて欲しい。

 いや、NHKの番組の音楽の話だった。
「今日の料理」の主題曲も長く続いているねえ。
 あの曲を聴くと、ちょっと心が弾むね。
 出て来る料理の先生の大半が女性であることがいいな。
 細やかな機転の利いた料理を作る人が多い。
 男の視点と違うところがあるし、料理屋風でなく、あくまでも家庭の料理という感じなのが大変に良い。

 NHKも自民党の政治家の圧力で番組の内容を変えたり、(当然、自民党の政治家は、そんな圧力を掛けた覚えはない、と言う。彼らに何を言っても蛙の面にションベンだ。)問題は多いが、それでも自然の姿を記録した番組や、海外の紀行番組など、非常によい番組が少なくない。
 最近出色番組だと思ったのは「世界ふれあい街歩き」という番組だ。
 海外取材番組というと、NHKでも、もちろん民法でも、リポーターという人間が、道案内をする。
 このリポーターというのが、実に騒々しい。うるさい、黙っていてくれ。と思うことの方が多い。ときには、リポーターがうるさくて番組を見るのをやめてしまうこともある。
 その点「世界ふれあい歩き旅」では、リポーター無し。
 カメラだけが移動して、多分、そばに付いている通訳が現地の人と話すのだろうが、それが別に録音され、それに合わせて後付の語りがつくので、本当に自分が外国の街を歩いているような気持ちになる。
 感心するのは、カメラがぶれないことだ。
 まるで、レールを敷いてその上にカメラの台をのせて移動させて撮影しているとしか思えないほど、移動画面がなめらかだ。
 一度、番組の問い合わせ係に、どのように撮影しているのか、質問したのだが、返事はもらえず仕舞いだ。

 民法の海外取材番組は、みんなクイズ形式になっていて、スタジオに集ったいわゆるテレビ・タレント(何のタレントがあるのか分からない人達)に、いちいち、面白い場面になると問題を出して答えを出させる。
 その時間が勿体無い。
 そんな、つまらないクイズに時間を使わないで、もっと現地取材の内容をたっぷり見せて欲しいと思う。欲求不満になる。

 今の不況で、民放テレビ局は番組制作費を削るのに汲々としているという。
 それでは、もう、満足な海外取材番組や、自然を相手にした番組なんか作れないだろう。
 スタジオに、若いタレントたちを集めて、騒ぎまくる番組を作るのが一番制作費が安いらしいから、民放の番組はみんな同じようになっていく。

 ここでちょっと、2008年11月13日の、インターネットの、Jcast ニュースを、転載する。

 メディアから広告引き上げ トヨタ奥田氏「報復宣言」の効果

「財界総理」として君臨した奥田碩(ひろし)トヨタ自動車相談役(日本経団連名誉会長)が政府の懇談会で、マスコミの厚生労働省批判に対して「何か報復でもしてやろうか」と、自社の広告引き上げを示唆した。同社は、業績不振のあおりで広告・宣伝費を前年と比べて3割削減するとも報じられており、メディア関係者からは「すでに広告を削減した理由を『後付け』しているのでは」といったうがった見方も出かねない状況だ。
「あれだけ厚労省だけ叩かれるのは、ちょっと異常な話」
 発言が飛び出したのは、奥田氏が座長を務める「厚生労働行政の有り方に関する懇談会」。2008年8月、厚労省の信頼回復に向けた改革策を検討するために設けられたものだ。08年11月12日に首相官邸で開かれた会合で、奥田氏は
「個人的な意見だが、本当に腹が立っている」
 と切り出した。その上で、
「新聞もそうだけど、特にテレビが朝から晩まで、名前を言うとまずいから言わないけど、2~3人のやつが出てきて、年金の話とか厚労省の話に関する話題について、ワンワンやっている。あれだけ厚労省だけ叩かれるのは、ちょっと異常な話」
 と、テレビ報道を批判。主にワイドショーに批判の矛先が向けられた模様だ。発言はさらにヒートアップし、
「なんか報復でもしてやろうかな。それくらいの感じは、個人的に持っている。例えばスポンサーにならないとかね」
 と、広告引き上げを示唆。さらに、
「(テレビ局の)編集権に経営者は介入できないといわれるけれども、本当はやり方がある」
 とまで言い放った。

 これは、すごいことだ。
 こんなことを外国の企業の指導者が言ったらただちに、大問題になるところだ。
 去年は二兆円以上の純利益を上げながら、今年は一千億円の赤字という、天国から地獄への急転直下でトヨタの指導者も乱心したか。
 それにしても、こう言うことを言うとは恐ろしいことだ。
 こういう思い上がりがあるから、二兆円の利益から一千億円の赤字だなんてことになるのではないか。
 日本は、何でもかんでも、力のある者の言うなり、と言う国民性だから、こんな発言に対して、なんの反発も起きなかった。
 この奥田氏は根底から物事を見損なっている。
 誰のおかげで、今までトヨタの自動車があんなに売れたんだ。
 民放の宣伝の力によるところが大きかったのではないか。
 お互いに持ちつ持たれつだろう。
 それを、一方的に、広告費を削ってやろうか、などと、まるでそれではやくざだ。やくざの親分だって、そんなあからさまな、脅迫はしない。やくざに脅迫罪が適用されて、経団連の親玉に脅迫罪が適用されないのは不公平だ。

 いくら何でも、奥田氏の言うようなことにはならないだろうが、これでは、本当に民放関係者はやりづらいだろう。
 経済が悪くなると真っ先に企業が削るのが広告費だ。
 広告費だけで、経営をしている民放各社にとって、現今の不況の辛さは、生きた心地がしないだろうと思う。
 しかし、ここは、頑張って良い番組を作って欲しいと、心から民放各社諸姉諸兄を応援したい。

 あ、話がずれてしまった。
 NHKの番組主題曲が素晴らしいという話だった。
 私が中でも、大好きなのは、「ひょっこりひょうたん島」の曲だ。

「波を じゃぶじゃ、じゃぶじゃぶ、かきわけて、
(じゃあぶ、じゃあぶ)
 雲をすいすい、すいすい、追抜いて
(すーい、すーい、すーい)
 ひょうたん島は、どこへ行く
 僕らを乗せて、どこへいく(ううううー、ううううー)」

 と言う物なんだが、今聞いても実に新鮮でよい曲だ。
 レコードを買った、その裏面の曲がまた面白くて、「バナナが一本ありました、遠い南の空の下」で始まる曲なんだが、私の子供たちなんか、今までも歌っている。

 大昔の曲になると、「やんぼう、にんぼう、とんぼう」の曲も良かったな。
 三匹の子猿の話のラジオドラマで、その末っ子の「とんぼう」役をしていたのが、あの、黒柳徹子さんだ。

 こんなことを話しているときりがないね。
 これからも、NHKには良い主題曲を作るようにお願いしたい。

雁屋 哲

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