山科けいすけが怒った
私は週刊朝日に連載されている「パパはなんだか分からない」の愛読者である。
作者は山科けいすけ。
二十六年以上も続く長い連載なのに少しもたるむことなく、毎週思わず声を出して笑ってしまう「笑い力」の横溢した漫画である。
主人公のパパは会社の中間管理職である。
面長のハンサムで、部下達にも好かれている。
対するにその妻は、相撲取りのような肥満体で、顔もまん丸に肉がついていて、盛上る脂肪で目が細く小さくなっている。膨らんだ頬の表面は真っ赤になっていて、いつも、菓子の袋を持っていて、駄菓子をムシャムシャ・ボリボリ食べている。美人とは対極の女性である。
このまるで釣り合いの取れない二人がどうして夫婦になったのか、そのいきさつを描いた回はパパの身になると涙なくしては読めないものがあった。
子供は二人いる、男の子はママ似、女の子はパパ似。二人とも大変に良い子である。
パパの部下に横山さんという不思議な男がいて、四十近いと思われるのに対人関係が苦手で、他人に対する態度がオドオド、ビクビク、していて、社会的に不適応であり、そこの所が色々と笑いの種になっている。
この「パパは何だか分からない」は我が家の人気漫画で、家族の間の会話に「横山さんが」などと、この漫画がよく登場する。
読んで気持ちの良い漫画である。漫画にも色々あるが、ギャグ漫画ほど難しいものはない。しかも、一つの設定で20年以上続けるのは大変に難しい。途中でだれてしまって少しも面白くなくなってしまうギャグ漫画は幾つもある。その点、「パパは何でか分からない」は常に水準以上の出来を保っている珍しい漫画である。
山科けいすけは、この漫画で社会的な、政治的な題材を取り扱うことはない。いつも登場人物の身の回りを題材にして読者を温かい笑いに包んでくれる。
しかし、今年の2月12日号の「パパは何だか分からない」は違った。
安倍晋三と菅 義偉に対する怒りをもろにぶつけたものだった。
口で言うだけでは話が通じない。ここは、山科けいすけ氏と週刊朝日には無断で、その漫画をここに引き写すことにする。
漫画を読んで頂けば、何も言うことはありませんね。
妻は、安倍晋三と菅義偉の陰でほくそ笑んでいる石破の姿が実に良くかけていることに感心していた。
全くこの三人の卑しい姿を描ききって見事であると私は思った。
怒り、不快感が溢れていて、これほど強烈な安倍晋三と菅義偉に対する批判は他に見たことがない。山科けいすけのこの政治家共に対する怒りは激しいと思った
しかし、山科けいすけの怒りはこれで収まりのつくものではなかった。
5月21日号の週刊朝日には、以下の漫画が掲載された。
「いきあたりばったりのずさんな対策・・・・・
浪費される莫大な血税・・・・・
こんなことしてていいのか?」
とオリンピック聖火ランナーが疑問を抱く。
これは漫画にしては生なセリフだが、マンガ家として練達の域に達している山科けいすけが敢えて生なセリフを書いた所に、氏の抑えがたい怒りの噴出を私は見た。
山科けいすけの怒りはまだ収まらない。
6月4日号には、次の漫画が掲載された。
迷走老人として、菅義偉の顔が描かれ、その下に「名前『ガースー』、特徴・姑息・卑劣・陰険。質問されるの大嫌い」と書かれている。
その迷走老人の顔が、スカ・カスによく似ていること。
そして、パパの愛娘の言葉「こんなヒトが日本の中心を走ってるの?!」に山科けいすけの言いたいことの全てが表されている。
この漫画に付け加えることは何も無い。
いつもは、心温かい漫画を描く山科けいすけがこのように怒りに満ちた漫画を描いた所に、今の日本がどんなに危ういことになっているかが表れている。
山科けいすけの怒りは正しい怒りだ。
私達も今の状況に流されっぱなしになっておらず、山科けいすけの正しい怒りを共有して行動に移さなければならない。
私達に出来ることは選挙の投票しかない。
今度の選挙では、このアヘ・ヒンソーとスカ・カスを必ず退治してやらねばなるまい。
(週刊朝日様、私は40年以上御誌を定期購読しています。シドニーに来てまで定期購読している愛読者です。
山科けいすけ様、私は自分の愛読者には私の漫画を引用することを許してきました。
愛読者であることを盾にして図々しいことですが、お二方に今回の引用をお許し下さるようお願いします。寛大なご厚情を賜りますよう乞い願います。不都合であるなら、直ちに削除します)