参鶏湯(さんげたん)
私はいつも年月日を表記するのに西暦を使っている。私は現在の天皇制に反対する者だが、西暦を使うのは、それが理由ではない。
昭和、大正、明治など元号を使って表記すると、計算が面倒くさいからだ。私の父の生年は明治四十二年だが、はて、生きていたら今何歳だろうと考えても、すぐに答えは出て来ない。平成元年は昭和六十四年と、昭和元年は大正十五年と、大正元年は明治四十五年と、それぞれ重なるし、それを織り込んで各年号毎に数を重ねて計算するのは非常に手間が掛かる。その点、西暦は、ずっと一続きなので便利だ。
私は、天皇制反対主義者だが、もし、皇紀を使うのなら、年号を使うより遙かに便利なので、そちらの方を取りたい。
で、今年はなんと、平成二十年というので驚いた。
二十年と聞くと、私達の世代の人間は、ぎくりとなる。
それは昭和二十年という特別な年を思い浮かべるからだ。
昭和二十年が何故特別か。それは、日本が開闢以来初めて戦争で外国に負けて、外敵による占領という屈辱を味わった年だからである。
昭和元年から二十年まで、日本は激動の内に大破滅に向かって真っ逆さまに陥っていった。途中、昭和十年頃は、日本もかなり豊かだったようだが、それからは、日常の物資にも事欠くような状態になり、戦争が始まると乏しい配給食料でかつかつの生活を送らなければならなかった。
私は、その昭和二十年に北京から引き揚げて来たのだが、その当時の日本はどこへ行っても焼跡だらけ。アメリカは徹底的に都市爆撃を行い、日本中の主な都市は全て爆撃で破壊され尽くしていた。
一般市民を殺すための無差別爆撃は明らかな戦争犯罪なのだが、誰もアメリカを非難しないのはどうしてだろう。日本の無差別爆撃を指導して数百万の日本人を焼き殺したアメリカの責任者、カーティス・ルメイを記録映画で見たが、小太りで凶悪な面構えで葉巻をくわえて、まるでマフィアのボスみたいな感じで、日本の地図を広げて冷酷に日本人殺戮計画を立てていた。本人の言うことがいい。「これで、もし戦争に負けたら、俺は戦争犯罪人で死刑になる」
その、日本人を数百万も人道に反する無差別爆撃で殺したルメイに、なんと日本政府は、勲一等旭日大綬章という二番目に高い勲章を与えたのである。信じられないことである。
今も、日本の政府はアメリカの言うなりである。
日本に本当の右翼はいないのか。なぜ、ルメイに勲一等を与えた政治家、授かりに来たルメイを放って置いたのか。テロを扇動するわけではない。右翼なら、日本人を大量虐殺したアメリカ人が勲一等を与えるなどと、これほど世界中に無惨な恥をさらす行為を、やすやすと許すのはおかしいだろう。
昭和二十年の日本は、がれきの山に埋まっていた。人心も荒廃していた。
その、中から日本人は再び立ち上がり、1980年代には二十一世紀は日本の世紀などと威張れるようになっていた。
そして、昭和六十四年、平成元年、日本の経済の崩壊が始まった。
それから、二十年、日本の経済の崩壊は止まらない。
二十一世紀は日本の世紀どころか、世界中から日本は相手にされなくなってしまった。イギリスの経済雑誌「エコノミスト」は日本の経済の最盛期に「陽もまた沈む」と言う題で、日本の経済の崩壊を予言した先見の明のある雑誌だが、せんだって、JapanとPain(苦痛)をかけ合わせた「Japain」という題で、日本の経済の行く先が難しいことを書いていた。
特に、小泉純一郎が首相になってから、それまで何とか踏みとどまっていた日本の経済が一気に悪化した。小泉某は、「自民党をぶっ壊す」とわめいて人気を取ったが、自民党は壊れず、日本を壊した。
以前、シドニーの豪華なホテルの殆どは日本の持ち物だった。それが、今は全て外国に買われてしまった。日航ホテルも、全日空ホテルも、リージェントも、インターコンチネンタルも、何もかも失った。シドニーにあった日本の会社の支社の殆どは撤退し、日本人学校は生徒数が激減して一学年一学級を成り立たせるのが大変だという。
私は、自分の目の前で、日本という国が衰亡していくのを見るとは夢にも思わなかった。こんなに情けないことはない。
そこで、平成二十年である。
昭和二十年をどん底として日本が繁栄を取り戻したのと同様、この平成二十年をもって、日本がまた繁栄を取り戻して貰いたいのだ。
日本人は、能力がある。こんなことになったのは、思い上がった東大卒の官僚と、愚かな二世、三世政治家たちのせいである。
腐れ官僚と、屑政治家を追い払って、新しい日本を作ろうじゃありませんか。
で、元気の出る食べものを一つ。
参鶏湯です。私の家の近くの肉屋では常に有機飼育の鶏を置くようになって、我が家の食卓は非常に豊かになった。その有機飼育の鶏は、味が濃厚で純粋で、ブロイラーのような臭みが一切無い。それどころか、鶏本来の食欲をそそる良い香りがする。
その鶏に、朝鮮人参、クコの実、ニンニク、ナツメ、それに餅米少々を加えて、圧力鍋で煮る。
まあ、この参鶏湯の美味しいこと。韓国で参鶏湯の専門店に行ったが、その専門店の参鶏湯に劣らない、いや鶏がいいからうちの方が美味しいかも知れない。
翌日、体中に力がみなぎっているのが分かる。元気を出すのには最高の食べ物だ。
それに添えて食べても美味しいのが、キムチジャガイモの千切りをマヨネーズで和えてお好み焼き風に焼いた、ジャガイモとキムチのガレット。
香ばしくて、キムチの辛さと酸っぱさが効いて、それに、マヨネーズがこくを出して、不思議な味わいで、病みつきになる。
こんな物を食べて、元気を出しましょう。
写真はクリックすると大きくなります。