開会式のスキャンダル
8月8日の、シドニー・モーニング・ヘラルドの万里の長城を聖火リレーランナーが走る写真につけられていたキャプション、「Olympic torchbearers get lost in the smog….」について、読者の方からメールを頂いた。
その「get lost」は「消え失せろ」という意味ではないかと、ご指摘になっている。
たしかに、「get lost」には、「消え失せろ」という意味があるが、それは、例えば気にいらない人間に、面と向かって「Get lost! 」(うせろ!)などと言うときに使われるのだと思う。
この、ヘラルドの文章は、いわゆる平叙文であり、その場の情景を描いたものなので、「消え失せろ」というのは、文脈から考えて合わないと思う。
やはり、オーストラリア人らしく、皮肉を効かせて「スモッグがひどいので、道に迷っちゃうよ」とか「スモッグの中で迷子になっちゃう」などと言う意味だと思う。
いずれにせよ、こう言う細かいところまで気を配って読んでいただいていることに、感謝します。
書く方も張り合いがあるというものです。
で、開会式の話ですが、一人で歌を歌った可愛い女の子、私はすぐに口パクだと分かった。
私は、子供なので、開会式の雰囲気に飲まれて間違うといけないから、前もって録音しておいて、それに合わせて口をパクパクさせたのであって、当然、流れた歌声は、あの女の子が、前もって歌ったものだと思っていた。
だが、今日のシドニー・モーニング・ヘラルドには、開会式のスキャンダルとして、その女の子のことについての記事が載った。
それによると、開会式で口パクをした可愛い女の子は、Lin Miaokeと言う子で、会場に流れた歌声は、別のYang Peiyiと言う女の子の歌ったものだったと言う。
最初から、Yang Peiyiちゃんが歌うことになっていたのを、開会式直前になって、Lin Miaokeちゃんに変えられたのだそうだ。
リハーサルを見に来ていた共産党の政治局員が、Lin Miaokeちゃんに変えろと命令したのだという。
その理由は「国家の利益」だそうだ。
Yang Peiyiちゃんは声が素晴らしいが、見た目はLin Miaokeちゃんの方が良い。
で、開会式に出るのはLin Miaokeちゃん。
しかし、歌声はYang Peiyiちゃんのもの、としたのだそうだ。
二人の写真を、転載する。
左が、開会式で口パクをやらされた、Lin Miaokeちゃん。
右が、本当に歌を歌った、Yang Peiyiちゃんだ。
私は、二人とも、可愛いと思う。
共産党の政治局員はてめえの面を鏡で良く見ろよ。Yang Peiyiちゃんの容姿に文句をつけられるような、顔かたちをしているのか、ってんだ。(写真はクリックすると大きくなります)
寸前になって引っ込められた、Yang Peiyiちゃんも可哀想だが、Lin Miaokeちゃんも、自分が歌っているものだと思いこんでいて、会場に流れている歌も自分の声だと思ったと言う。
どうも、ひどいことをするもんだと、腹が立ったね。
なにが、「国家的利益」だ。
そう言っては何だが、あの、中国の共産党の幹部たちって、実に人間味のない顔つきをしているね。
中国共産党の歴史を読むと、余りに残酷無惨で、寒気がする。
権力争いの激しさと言ったら、凄まじいもので、その権力争いに生き残って共産党の政治局員になった人間は、どんな人間か想像がつく。
顔つきも非人間的になるわけだ。
顔だけじゃないね、心も非人間的だ。
今回のことで、中国政府は、二人の女の子を傷つけた。
Yang Peiyiちゃんは容姿を問題にされて、開会式直前に下ろされた。
これは、Yang Peiyiちゃんにとっては、死ぬまで忘れることの出来ない屈辱だ。人生の大きな傷となる。こんなひどい目に遭って、これを乗り越えていくのは大変だ。
Lin Miaokeちゃんも、自分で歌ったと思っていたら、実はそれが、Yang Peiyiちゃんの歌声だったと知ったとき、どれだけ驚いたことか。
自分は単なる人形として扱われたことに気がついてひどく傷ついたことだろう。
Lin Miaokeちゃんの受けた傷も大きい。
ああ、ほんとうに厭だねえ。
北朝鮮と言い、中国と言い、何が国家の利益だよ。
共産党のお偉いさんたちの、個人的な欲望のためではないか。
開会式を派手にやり遂げれば、国威発揚、中国共産党の権威拡大、自分たち共産党幹部の繁栄。
こんな図式だろう。
そのために、二人の可愛い女の子を、生涯掛かっても瘉されないほど深く傷つけた。
レーニン・スターリン・毛沢東・金日成主義は、人間性を圧殺する思想だ。
共産主義とは全く無縁の、権力者の暴力で人民を圧制の下に置く、最悪の体制を作った。
なんてことを書いていたら、パレスティナ問題に話が行かなくなった。
また明日。