雁屋哲の今日もまた

2008-07-12

パレスティナ問題 その6

 昨日は大変失礼しました。以下の文を作成してアップロードしようとしたのだが、どうしてもアップロードできない。

 丸一日掛けても通らない。今日になって管理人に見て貰った。さてこれで通るかどうか。

 さて、パレスティナもイギリス委任統治時代に入り、これからいよいよ話は面白くなるのだが、話を進める前に、これから登場する重要人物を数名紹介しておこう。
 歴史というのは、まず人物だ。
 ある時点で、この人物が登場しなかったら世界の歴史はまるで違ったものになっただろうと思われる人物が少なくない。
 ヒトラーのように、あの人物一人が世界中に地獄は存在することを知らしめた。
 人道的に言えば全ての人間は生きる価値が有ることになっているが、その人道的見地からして生まれてこなかった方が人類のためになった人間はいるものなのである。
 以下に紹介するのは、存在して良かった人間も、しない方が良かった人間もいる。

「シオニズム」の主導者、テオドール・ヘルツルについては以前に書いた。
 ヘルツルは、ユダヤ人の主権国家が建設できるならウガンダでも良いと言った。
 そのヘルツルの意見は多くユダヤ人の反感を買い、結局ヘルツルは、第六回シオニスト会議で、「パレスティナこそわれわれの民族が安住できる唯一の土地である」といい、第七回シオニスト会議でウガンダはユダヤ人の国を建国する地として正式に却下された。

 ヘルツルの後、シオニズムの有力な指導者となったのは、ハイム・ヴァイツマンだった。
 白ロシアのモトルで生まれたが、ヴァイツマンの家庭は完全に伝統的ユダヤ人雰囲気に包まれていた。当時のロシアはツアー体制で、ユダヤ人が高等教育を受けることを阻む様々な制約があったが、ヴァイツマンは強固な意志と努力で、当時自然科学の分野で最高の大学の一つだったベルリン工科大学に入学した。
 その後、1904年イギリスに移住し、マンチェスター大学で生化学の講義を担当したが、シオニズムに目覚め、大英帝国の存在とその支配階級の好意を利用して、ユダヤ人の為の国を建設する計画を立てた。

 ヴァイツマンはシオニストの指導者として世界の政治家達と交渉する際にヘルツルに匹敵する才能を示した、ユダヤ人史上特筆大書すべき偉大な人間である。

 ヴァイツマンは、イギリスの有力者たちと次々に親しくなっていき、その多くをシオニズムの支持者にしていった。
 ヴァイツマンが親しくなったイギリスの有力者たちには、
 バルフォア宣言を書いた、保守党の政治家で後の外務大臣アーサー・バルフォア、
 後の首相ロイド=ジョージ。
 同じく後の首相ウィンストン・チャーチル、
 自由党の国会議員ハーバート・サミュエル。
 サミュエルはユダヤ人支配階級に属していた。
 ヴァイツマンはサミュエルと連携して、シオニズムを進めていったのだ。

 なかでも、バルフォアを味方にしたのは大きかった。
 バルフォアは外務省官僚に大きな影響力を持っていたが、極めて意志の強い人間であり、簡単には自分の意志を変えない鋼鉄の意志の人物であった。
 その、バルフォアをいかにして、ヴァイツマンが抱き込んだか、非常に興味深い挿話がある。

 と、書いていて、時間がなくなった。

 続きは、また明日。

雁屋 哲

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