雁屋哲の今日もまた

2008-04-07

真夏の正月

 日本とオーストラリアは季節が逆なので、時々とまどうことがある。
 日本の四月は春の真っ盛り。桜前線が北上して行って、それを追いかけると言うのも楽しいものですな。
 三年ほど前の四月に、突然福島に行きたくなって、連れ合いと、姉と三人で、車で飛び出した。
 大学の時に、福島県伊達郡の霊山神社にお世話になったことがあって、その霊山神社を訪ねてみたくなったのである。
 霊山神社の周辺は大きく変わっていた。神社も変わっていた。私の面倒を見てくれた当時の宮司、阿曽さんのことを尋ねても、現在の神社の人は私の顔を見ようともせず「何も知りません」と相手にしてくれない。
 がっかりしたが、帰りに、会津若松の鶴ヶ城に寄ったら、鶴ヶ城の桜の見事なこと、身も心も浮き立つ思いがした。日本の春は素晴らしい。すっかりいい気持ちになった。
 で、こちらの四月は、秋深まると言う所なんです。
 オーストラリアも州によって違うがシドニーのあるニュー・サウス・ウエールズ州では、十月の末から翌年の三月の末まで、デイ・ライト・セイヴィング・タイムと言って、時間を一時間進める。日本との時差は、もともと一時間あるのが、デイ・ライト・セイヴィング・タイムになるとそれが二時間になる。
 日本のテレビを見ようとすると、とても不便である。
 夜七時のニュースを、こちらの九時に見る。相撲も、打ち出しが、こちらの八時になる。
 例年、三月の最終土曜日の夜から、普通の時間に戻るのだが、今年はどう言う訳か、四月の第一週にまで延びたので、いろいろと間違いが起こったようだ。来年から、期間を延ばして、年の半分はデイ・ライト・セイヴィング・タイムにすると言う。そうなると、どちらが本当のシドニー時間なのか分からなくなる。私の家は、NHKに依存しているので、時差が二時間になるのは不便だから勘弁して貰いたいと思うのだが、こちらの人間にとっては、五時に会社が終わってもまだ明るいので、外で遊べて具合がよいらしい。日本と違って、普通の会社員は残業などしない。するのは、アメリカ系の金融会社くらいのものである。
 調子が狂うのが、真夏に正月を迎えることである。
 二年前までは、十七年間にわたって十二月二十八日に我が家で餅つき大会を開いていた。Tシャツで、汗みずくで餅つきというのも不思議な物だった。
 真夏でも、私の家では、お節は欠かさない。
 連れ合いと、娘たちで三日かけて作るのである。
 今年の、お節をお見せしましょう。

お節料理1

 この、梅花卵とリンゴ寒天は我が家のお節に欠かせない。
 今度は、逆の方向から。やはり、お重が中心です。

お節料理2

 今年は鯛の代わりに、秋谷の友人が釣ってくれた赤ムツを冷凍にして日本からもってきたので、それを焼いて、魯山人の器「緑釉長鉢」にいれた。

赤ムツ

 それを加えると、全体が豪華になる。

お節料理3

 最近は日本でも家庭でお節料理を作ることが無くなったそうだが、私の家では、何十年も作り続けていて、子供たちにも、その技は確実に引き継がれた。私の子供たちも、独立しても、正月にはお節を作ることだろう。
 こう言う時に、日本人に生まれて良かったな、と思うんです。これが真の愛国心と言う物ではないかしら。

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雁屋 哲

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