雁屋哲の今日もまた

2008-06-04

血糖値の検査

〈「シドニー子育て記 第一章 その2」を追加しました〉

 余りに大きな手術だったので、その後体調がひどく乱れた。
 夜手洗いに頻繁に行くようになり、のどが渇く。
 試しに、指に針を刺して血を採って血糖値を計る機械で調べてみたら、血糖値が正常値の上限すれすれ、時にはわずかに超える。
 これは一大事、糖尿病になったかと思った。
 シドニーに来て以来、いろいろとお世話になっている大先輩が、軽い糖尿だと伺っていたので、私の家にお見えになったとき、「糖尿かしら、心配です」と言ったら、私の数値を聞いて、鼻先で笑われてしまった。
「そんなもん、糖尿なんかじゃない」と言うことである。
 それでも心配だから、医者に相談したら其の場で尿の検査をしてくれて、「尿に糖は出ていない。問題ないが、心配なら、対糖負荷試験を受けなさい」となり、その試験を受けることになった。
 朝、空腹時に血液を採り血糖値を計り、其の場でブドウ糖液を200だったか300CC飲み、2時間後に再び採血して血糖値を計る。
 そのために、検査日まで3日前までの食生活の指針が渡される。
 糖分を摂らずに検査を受けても意味がないので、いつもより炭水化物をたくさん摂るように指示される。しかし、その内容を見ると、オーストラリア人にとってはいつもより多いと思われる炭水化物の量が、私の通常の生活で摂っている炭水化物の量と変わらない。
 如何に日本人は普段炭水化物を沢山摂っているのか良く分かった。
 それでも、私は検査の値を厳しくするために、検査前三日間は徹底的に甘い物をたくさん食べた。ケーキ、アイスクリームにジャムかけ、クッキーにジャムかけ、ヨーグルトに蜂蜜、ジャムかけ、と、これでもかというくらい、甘いものを食べた。
 もちろん、麺類も、油物もしこたま食べた。
 そして検査を受けた。
 昨日、その結果が出た。
 尿も血液も全く問題がないと出た。

 次女によれば、猫でもストレスがあると血糖値が22に上がることがあるという。
(血糖値は、日本はデシリットル・dlあたりのブドウ糖のグラム数で言う。
 正常値は、日本の糖尿学会では、空腹時血糖80mg〜110mg/dl、食後二時間で80mg〜140mg/dl 未満となっている。
 オーストラリアでは、70〜105mg/dl が正常値とされている。
 さらに、オーストラリアでは、これを、通常、ブドウ糖の重量でなく、1リットルあたりの分子量・モルグラム数で示す。
 ブドウ糖、C6H12O6の分子量は、180.156g/mol であるから、正常値は、3.8〜5.8mmol/l となる。mmol はミリmolの事、1/1000mol である。
 次女の言った猫の22と言う数値はこれから判断すると、凄まじい血糖値と言うことになる)
 私は、これが時に6.2まで上昇したので心配したのだが、全くの杞憂という事になった。
 私も猫並みにストレスに弱い人間なんだろう。

 のどが渇くことは、夜睡眠中に寝室で電気ヒーターをつけっぱなしにしていることが原因だと分かった。(今、シドニーは冬なんです)
 去年までは何でもなかったことだが、手術で体調が変わったのだろう。
 ヒーターを止めたら、ぴたりとのどの渇きが収まった。
 それに不思議なことに、検査の後、夜中に手洗いに行く回数が一回にまで減った。これも正常だろう。
 結局何だったんだといぶかしく思うが、やはり、手術後の体調異常による一過性のものだったのだろう。
 どうも、気が弱くて心配性な物だから、つい、つい、先走って不安になって検査を受けてしまう。

 検査の結果が出る前まで、「検査の結果、糖尿と分かったらもう食べられないのだから」と言って甘い物をしこたま食べ続けた。
 検査の結果、心配ないと分かって、「これで安心」とまた甘い物をしこたま食べ続けている。
 もともと、私は酒を飲んだ後に必ず甘い物を食べなければ気がすまなかった。お菓子を食べながら、ウィスキーやコニャックなどの強い酒を飲むのもおつな物だ。和菓子だったら焼酎だな。
 酒飲みは甘い物が嫌い、などと言う図式は私には当てはまらない。
 それがなにしろ、10週間以上酒を飲んでいないので、余計に甘い物が無性に欲しくなるのだ。

 私は最近酒が弱くなった。
 連れ合いに言わせると、2〜3時間でウィスキーを一瓶の60パーセントほど飲むと、足元が乱れるそうだ。
 それで、転んだことはないが、いまの状態で転ぶのは大変に危険である。
 だから、リハビリが進んでも、足元にしっかり自信がつくまで酒は飲むまいと決めている。

 以前も酒について未練がましいことを書いたな。
 酒飲みとは実に卑しい物だ。
 酒は憂いを払う球箒(たまぼうき)と言うけれど、実は酒は鬱病に非常によろしくない。私もこの身で体験した。
 最初に軽く酔いが回って来るところまでは良いが、酔いが深くなると、鬱が忍び寄ってくる。酔っぱらって寝込んだ翌日、完全にしらふになるとこんどは徹底的な鬱がのしかかってくる。
 それは凄い物で、自分の体中が、泥になったような感じがする。
 生きる希望も、喜びも、働く意志も、何も無くなる。
 笑うどころか、何も感情が働かなくなる。死んでしまおう、とまで思う。
 酒は鬱病には大変よろしくない。

 08年2月28日の東京新聞電子版に共同配信の以下のような記事を見つけた。

「憂さ晴らしに酒を飲んでもむしろ逆効果?嫌なことを思い出した直後にアルコールを摂取すると、かえってその記憶が強められることを松木則夫東京大教授(薬理学)らがラットの実験で見つけ、28日までに米専門誌の電子版に発表した。人の場合なら、嫌なことを忘れようと酒を飲んで一時的に楽しくなっても、翌日には楽しいことを忘れ、嫌な記憶が強く残ることを示しているという。松木教授は「酒を飲まずに、嫌な記憶に楽しい記憶を上書きしてしまうのが良いのでは」と“しらふの気分転換”を勧めている。実験で、かごに入れたラットに電気ショックを与え、恐怖を学習させると、かごに入れただけで、身をすくめて固まるようになる。チームはいったん固まった直後のラットに飲酒相当のアルコールを注射した。その結果、注射しないラットと比べると、かごの中で固まり続ける時間が長くなった。その効果は2週間続き、記憶が強くなったと判断されたという。(共同)」

 こんな記事を読むと、本当に気持ちが萎えますね。
 しかし、私はくじけないぞ。
 上の実験結果は「やけ酒は逆効果」であると言っていると取ればよい。
 やけ酒でなく、楽しい酒なら良い訳だ。
 早く、脚を丈夫にして、もとどおりがぶがぶ飲むんだい。
 だって、コレステロールも、血糖値も全く正常だし、心臓の検査をしたら「こんなきれいな心臓は見たことがない。動脈の内側がすべすべしている。一切の動脈硬化がない。あなたは心臓が原因で死ぬことは絶対にありません」と言われたくらいだ。

 鬱病も、大分良くなったし、脚さえ良くなれば心配有るまい。
 早く我が脚よ丈夫になれ、と自分を励ましつつ、今日もこれからリハビリに行ってきます。

雁屋 哲

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