雁屋哲の今日もまた

2009-09-01

自民党代議士の46パーセントが世襲

 30日の衆議院選挙の結果、民主党が大勝したので、日本は生まれ変わるのではないかと浮かれている人達がいるが、それはまず無理な相談だろう。

 ここまで国力が落ちてしまった日本を、20年前の水準まで戻すことはもはや不可能なことである。民主党でなくても、出来る相談ではない。

 自民党の衆議院議員の内、46パーセントが世襲議員であることが分かった。
 私は自民党の心配をするつもりはないが、これは自民党にとって大変な事態ではないのか。
 改選前の、自民党の世襲議員の割合は30パーセント台だった。それが、10パーセント以上増えたのだ。これは世襲ではない議員の数が減ったので、総体的に世襲議員のパーセンテージが上がったのだ。
 これは大きな意味を持つ。自民党の政治家は、政策や、政治的主張を唱えても当選できない。
 当選するためには、以前、このブログでも取り上げたが、昔の藩主のような封建的な基盤を持っていなければならないのだ。自民党に現代的な政治は望めないと言うことだ。

 もう一つ今度の自民党の当選議員で特徴的なのは、小選挙区では落ちたが党内力学おかげで、二流の古ぼけた議員が比例で復活して居直った、と言うことだ。

 世襲議員と、本来なら消滅すべき、古じいさんが執念深く崖に爪を立ててよじ登って戻って集ったのが今度の自民党の当選議員たちである。こう言う党に何か新しいことが出来ると思う方が間違っている。できるのは、民主党のあら探しだけだろう。

 一番意味が大きいのは、過去の三人の総理大臣が全部改選されて入って来たことだ。麻生氏は現職だから、まだ仕方がない。だが、安倍・福田という、総理の座を途中で投げ出した人間が当選したことが、本当に不思議だ。

 その国の最高の政治支配者になった人間が、自らその座を放り投げておいて、あろうことか、次の選挙にまた立候補すること自体が全く腑に落ちない。
 政治家として最高に力を振るえる地位を与えられながらその座を放り投げただけで、普通なら、座敷牢で死ぬまで蟄居と言うのが日本人としての美学だろう。
 首相の座を放り投げた段階で、一切の公的地位から身を引くのが当然なのに、代議士として居残り、あまつさえ今度の選挙に再び立候補した。
 この奇怪極まりない無責任な態度は何なのだ。ここまで人間としての恥の感覚を欠いた人間は、世界中で聞いたことがない。

 で、彼らを見せ物にして見せて歩いて見せたら、気持ち悪いもの見たさで、けっこうな見物人が集っていい商売になること間違いなしだ。
 自民党はそう言う珍しい人間を抱えているのだから、これからの選挙資金稼ぎに、そのような人間をまとめて「自民党・LDP醜悪動物見せ物団」などを作って、地方巡業をして政党資金を稼ぐことをお勧めしたい。
 そもそも、そのような奇怪な人間を選出した選挙区の人間に責任があるので、選挙区の代表も数十人ほど加わえて、「こんな顔の人間が、こんな代議士を選びました」書いた札を首から提げて歩かせると良い。

 世襲議員が全体の46パーセントと言う自民党の議員団の構成が心配だというのは、今まで世襲議員が、政治的に日本を良い方向に導いたことがないという厳然たる実績によることが一つ。

 もう一つは、自民党は今度の敗北を取り返して次の選挙に勝利するために一番必要なのは人材だが、その衆議院議員の中の46パーセントが世襲議員に占められてしまい、しかも、それに加えて、大物、と言うことは古ぞうきんのような使い古しで、かつて役に立ったことはないし、これらも役に立つことは絶対にないことがはっきりしているのに、自分だけは役に立つと思いこんでいる多幸症の人達、の数が比率的に多くなってしまったことだ。

 世襲議員は肉体的年齢は若くても、自分の父親・祖父の思考形態をそのまま受け継いでいるから、精神的年齢は非常に老衰している。新しい方針を立てる意識が最初から欠如している。
 直近の三代の首相は全て世襲だったが、自分の父親・祖父の栄光がそのまま今の世の中で通用すると勘違いして失敗した。

 一番哀れだったのは、安倍某で、祖父の岸信介は「満州国は私の作品」と公言するくらい、歴史的な自己批判ゼロの悪党だったが、悪党の親玉になるだけのことはあって悪知恵のすごさは余人の及ばないところだった。しかも、肝っ玉が太かった。

(ついでに言うと、今日本中で悪さをしている統一協会を日本に引き入れたのは岸信介で、その女婿の安倍晋太郎、その息子の安倍某も肩入れをしてきた。どんなに悪いことをしても、統一協会の組織まで警察の手が伸びないのは、安倍某を始め自民党の代議士が統一協会から金を貰っているからである。岸信介を始め自民党の代議士は自分の利益のために邪宗を日本に導き入れ、その邪宗が日本人から金を召し上げて韓国に宏大な敷地を作り、そこに中学・高校・大学まで作っているのに手を貸している。韓国で、韓国人と結婚した日本女性の大半は、統一協会の集団結婚式で日本からやってきた統一教会の信者の女性だという。岸信介以後の自民党の代議士は日本人が統一協会から毎年莫大な金を奪われている事実にふれようとしない。統一教会系の集まりに安倍某がお祝いのメッセージを送ったことが問題になったとき、安倍某は「秘書が勝手にしたこと」で逃げた。それで、安倍某の秘書に統一協会の人間がいることがはっきりした。秘書にがっちり食込まれていては、安倍某も統一協会が日本人を食い物にしているのを見ても、〈いや、気がつかないふりをしているだろうが、〉なにも手を打とうとしないだろう。こう言う人間を表現する最適な言葉があったな。売◎◎とか、◎国◎とか、◎◎奴、とか言うんだがね。
 ◎◎の中にどんな字を入れるか、それはお好みでね。売上増、全国一 旗本奴でも、いいんだよ。と、こうやって逃げを打っておくところは私もなかなかのもんだね)

 だが、岸信介の孫は、彦の方は祖父より良かったかも知れないが、豆はだいぶ落ちた。
(漢字の練習です。彦、豆を偏とし、頁を作りをとして漢字を作ってみてください)
 しかも、私自身そうなので、大変に同情するのだが、大腸が弱く、私と同じようにちょっとした精神的なストレス、食べ物によるアレルギーなどで、激しい下痢をする。
 これは、一国の総理大臣としての任務を勤めるのは大変に難しい。
 いや、代議士としても任務を十全に果たすのはきついだろう。
 要するに、安倍某は総理大臣どころか、代議士になることすら無理なのだ。
 その安倍某が、代議士になり総理大臣にまでなれたのは、本人に能力があったからではなく、取り巻きの封建的な家臣団がとにかく代議士に、とにかく総理大臣に、と形だけ付けることに道を造ったからだ。
 私は安倍某が首相の時の演説を聴いていて、途方に暮れた。およそ世界的な危機意識を欠いており、世界で日本が何をすべきか語ることが出来ない。自己陶酔的な美辞麗句でナショナリズムを煽り、実際には単純に、アメリカの防衛戦略に従うと言うだけである。
 それが、日本では、正しい防衛策を述べたと褒めそやされる。
 安倍某は小泉某の真似をして、アメリカの前にはいつくばって、アメリカ大統領の靴をなめることを日本の外交の基本と心得ていた。

 人間という物は面白い物で、Aという人間が、Bにぺこぺこすると、BはAを自分の言うがままになる子分とおもう。
 一方AはC、Dと言う人間に対しては偉そうに振る舞う。
 しかし、CとDは、AがはいつくばってBの靴をなめるところをみてしまった。と、なると、CもDも、ついでにEもFも、Aを軽蔑する。
 Aが、C、D、E、Fに兄貴風を吹かしても、みんなAのあわれな醜い姿を知っているから表面は笑顔を浮かべても腹の底でせせら笑うだけである。
 上の文で、Aは日本、Bはアメリカ、C、D、E、Fはアジアの国々、である。ヨーロッパで日本はハナから相手にされていない。
 ヨーロッパで日本が話題になるのは、アニメについてだけである。

 ここまで日本の国際的な地位を下げたのは、今までの自民党政府だったが、その自民党の中で、今回生き残ったのは、最近の三人の首相で良く分かったとおり、無能な世襲代議士が46パーセント、残りは、今までさんざん無能をさらけ出してきた老人ばかりである。

 大体町村某、伊吹某のように、選挙区で負けて、比例で代表制で復活した人間が、派閥の長に戻るとしたら、これは、もう派閥を統率する力もないだろう。選挙区で落ちた、と言うことはその地区の代表ではない、その代議士は選挙区という地盤を代表していないと言うことだ。代表する地盤のない代議士がどうして派閥の長になれるというのだ。

 今生き残った、自民党の代議士は、こんなクズばかり。
 リサイクルにも使用出来ない、産業廃棄物以下の存在である。
 これで、自民党を再生するのは難しい。

 若い力のある人間が大勢集って来て自民党再生のために力を尽くせば何とかなるが、今の自民党が若い人間を呼び込む魅力を持っているだろうか。

 もっとも、余り心配することはないのかも知れない。

 次の選挙で、今回落ちた候補者たちが、ゾンビのごとくよみがえってお涙頂戴的な選挙活動をすると、寛大な日本の選挙民は、「あら、可哀想に、今度は入れてあげようかしら」なんてんで、入れてくれる可能性はかなり高い。
 自民党再生を待つのではなく、日本国のさらなる破壊を待てば、自民党の再生もあり得るし、その場合、日本は地獄へまっしぐら、ということになる。

 しかし、真面目に考えて見ると、自民党の総選挙当選者の46パーセントが世襲、と言うのは本当に恐ろしい。
 いや、自民党のことを考えて恐ろしいと言っているのではない。
 この日本という国が、日本人がもはや駄目になってしまったのではないかという恐怖がこみ上げてくるのである。

(以前、この日記に書いた世襲議員のことについての記事を読んでください)

雁屋 哲

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