雁屋哲の今日もまた

2009-04-16

環境問題の取材

 今回、環境と食の問題を取材して回っている。
 青森、岩手、沖縄まで飛び回るので、もはやくたくたである。
 取材して回れば回るほど、日本という国は、どうなってしまうのか、その心配が恐怖としてつのってくる。

 一番の恐怖は、環境破壊の現場に近い人間が声を上げないことだ。
 行政と、ゼネコンにお金を貰って権利を売り飛ばした漁民や、農民の例をいやと言うほど見せられてきた。
 一旦お金を貰うと、もう二度と反対することは出来ない。
 しかし、お金を貰う段階ではここまですさまじい環境破壊、早い話が自分たちの生活の破壊に至るようなことだとは思っていない。
 で、いざ、物事が実際に動き始めると、「え、そんなひどいことだったの」と驚くが、既にお金を貰っているので、もう、何にも言えない。
 そう言う人達ばかりではない。
 危険物を扱う産業でも、それが地元に来れば、地方にお金が入る。
 それ以外、地方が生き延びる道はないのではないだろう、だから、危険などと大声で言わず。そのような施設受け入れることが地方のためになる、と主張する人も多い。

 しかも、いまだに地方の選挙は昔からのボスが支配する。ボスが決めた議員は、全て、ゼネコン、行政の言うことに従う人々ばかりである。俗に言う、毒饅頭を食べてしまった人々である。

 彼らが言うのには、争点は、環境問題だけではない。地方には地方の解決しなければならない問題がある。環境問題など票にならない。
 そう言っておいて、地方の病院の数が少なくなり、出産も他県に行かなければならなくなるようなことには無関心である。

 日本中、どこに行っても、環境破壊の構図は同じなので、これでは漫画にならない、と心配している。
 そこをどう漫画に書くか、それが、漫画原作者としての私の技量を問われるところだろうと思う。

 私は、「日本全県味巡り」の和歌山県篇の次に、「美味しんぼ」で、食と環境の話を書く。
 環境は、読者諸姉諸兄、自分自身で解決しようと思えば出来ることなのだ。

 毎日、くたくたになるまで、取材を続けている。
 読者諸姉諸兄に、この取材の結果を早くお伝えしたいと思っている。

雁屋 哲

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頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ
シドニー子育て記 シュタイナー教育との出会い
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My First BIG 美味しんぼ予告
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