雁屋哲の今日もまた

2008-08-19

甘い物の食べすぎ・再録

〈これは、8月18日に載せた物ですが、手違いで、削除してしまったので、改めて掲載します。今日の日記はこのすぐ下にあります。〉

 近くにフランス人が経営している洋菓子店があって、結構美味しいケーキを作っているので、つい買いに行ってしまう。
 そこは、店の人間全員がフランス人で、彼らはフランス語で話している。
 余り食べ過ぎるので、とうとう連れ合いに、その店でケーキを買うのは一週間に一度だけ、と制限されてしまった。
 しかし、他の日も、色々甘い物を食べてしまうので、その店でケーキを買っても買わなくても、私が甘い物を食べすぎることには変わりはない。
 次女は、お菓子作りが趣味で、洋菓子も和菓子も、上手に作る。
 獣医なんかやめ、菓子屋になれとそそのかしているのだが、その気にならない。
 そそのかしておいて言うのも何だが、食べ物を職業にするのは大変だ。
 お菓子も趣味で作っている方が、楽しいだろう。

 そんな訳で、次女はお菓子を作ってくれるし、ジャムも作ってくれる。
 自家製のジャムは、市販のものとは比較にならぬ美味しさだ。
 市販のものは、煮すぎてしまって、果物本来の風味が欠けている。
 その点我が家のジャムは、自分の家でだけ食べれば良く、売る訳ではないので、そんなに煮る必要がない。煮方が浅いので、果物の風味がたっぷり味わえて、美味しいのだ。

 私は、バターをたっぷり載せたパンに(私はパンにバターを塗ったりはしない。載せるのだ。3ミリ厚ほどのバターをパンに載せて、パン全面を覆う。バターをこすってパンに塗るなんて、そんな下品ことはしない。)その上に、ジャムを載せる。これも塗るのではない。載せるのである。マーマレードなんか、1センチ厚ほどに盛り上げて載せる。
 バターとジャムの合わさった味は、もう、たまらない。
 よっぽど出来の良い洋菓子でないと、この、ジャム・バター・パンに対抗できない。

 そんな風だから、うっかりすると、一度に、コーヒーカップ5分目ほどのジャムを一度に食べてしまう。いや、正確に言うと7分目ほどだな。
 片面にチョコレートを塗ったクッキーに、ジャムを載せて食べるのもたまらなくいい。
 パルミエ(パイ生地で作ったクッキー)にジャムを載せるのも私のお気に入り。
 終いには、ジャムだけをそのまま舐めたりする。

 連れ合いや娘たちが、糖分の取りすぎだと心配する。
 しかし、つい最近、ブドウ糖の溶液を飲んだ後に血糖値を計る、対糖負荷試験をしたが、全く異常なしだったから、糖尿病になる恐れはない。

 何故こんなに甘い物を食べたがるかというと、最近、酒をやめているからだ。
 アルコールは、今飲んでいる痛み止めと一緒に取ると体に不都合を起こす。
 それに、骨の成長を遅らせると言う。
 骨の成長が遅れると、今の痛みが止まらないことになる。
 それは大変に困るので、酒を断っている。
 医者は、適当な量なら良いと言う。適当な量とはどれくらいかと尋ねると、ワインをグラスに、1、2杯だという。
 そんなものは、私にとって酒を飲むうちに入らない。
 連れあいの報告によると、私は一週間にウィスキーを三本消費するという。
 それは、晩酌程度に飲んでのことであって、ちっと調子がよいと、一本近く行く。
 大体私にとって案配の良い量は、日本酒の4合瓶一本くらいだ。ワインなら一本半か。
 これくらいだと、飲んで、2、3時間経てば、仕事に戻れる。
 それ以上飲むと、更に飲みたくなって、時間を忘れてしまう。

 ワイングラスに1杯や2杯のワインなんか飲むくらいなら、飲まない方がいっそ、気持ちがよい。
 それに、私はアル中でもアルコール依存症でもないので、飲まないと決めると、全然アルコールを飲まないで平気だ。

 アルコールと糖分とは密接な関係にあるようだ。
 アルコールを取らないと、その分、甘い物が欲しくなる。
 もともと、私は酒を飲みながら甘い物を食べるくらい、甘い物が大好きな人間なのだが、酒を飲まないと、その甘い物欲しさが更に昂進する。
 とは言え、どうもね、いい歳こいて、白髪の交じりかけた髭を生やした男が、ジャムをなめているのは、見ていて気持ちの良い図ではないだろう。
 昔の化け猫映画では、猫が殺された飼い主の血を舐めて、飼い主を殺した人間に復讐をした。
 あんどんの油をなめたりする。
 こんな汚らしい男が、ジャムをなめる姿は、あんどんの油をなめる猫よりおぞしいな。

 といって、やめるわけにも行かない。
 身体の芯が要求するのだ。
 今夜も、夕食の後に、甘い物をたっぷり食べようっと。

 ふ、ふ、ふ、楽しみだな。

雁屋 哲

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