雁屋哲の今日もまた

2020-04-15

政府は何のためにあるのか

前々回の続き、私達があまりに豚である話を書きたいのだが、今目の前に、そのような原則的な話では追いつかない、とんでもない問題が突きつけられたので、それについて考えることにする。

私達があまりに豚であることについては、次回以後に続けます。

2020年4月13日付け、朝日新聞デジタル版からの引用

⻄村康稔経済再⽣相は13⽇の参院決算委員会で、新型コロナウイルスの感染拡⼤による⾃粛要請に応じた店舗に対し⾃治体が独⾃に⾏う休業補償について、国から地⽅⾃治体に配分される臨時交付⾦は財源に充てられないとの考えを⽰した。国⺠⺠主党の浜⼝誠⽒の質問に答えた。

臨時交付⾦は政府の緊急経済対策で⾃治体向けに創設され、1兆円が計上されている。⻄村⽒は「国として事業者の休業補償を取る考えはない。従って国からの交付⾦が(⾃治体が⾏う)事業者への休業補償には使えない」と述べた。

他⽅、⻄村⽒は、国は「補償」はしないが、売り上げが半減した個⼈事業主に100万円、中⼩企業に200万円を上限に現⾦給付などの「⽀援」策を講じることを強調。⾃治体が国と同様、「⽀援」として給付を⾏う場合には臨時交付⾦を使えるようにする考えを⽰した。また、交付⾦の配分額は、⾃治体の⼈⼝、感染状況、財政⼒などを「総合的に判断」するとした。(三輪さち⼦)

 西村再生相の言ったことの要点は、

1)「国として事業者の休業補償を取る考えはない」

2)国からの交付金が(自治体が行う)事業者への休業補償には使えない。

3)売り上げが半減した個人事業主に100万円、中小企業に200万円を上限にして現金給付などの「支援」策を講じることを強調。

の3点である。

 

a)私はもし政府が「国として事業者の休業補償を取らない」というのであれば、日本は終わると考える。

個人事業者が破綻したらこの国の経済は完全に潰れる。

大企業がどんなに栄えても、個人事業者が消えてしまったら、それが日本経済にどれだけの打撃を与えるか、考えられないとしたら、それは政治家失格である。

日本では(いや世界中同じだろう)全ての事業主が自転車操業をしている。毎月、毎月収入が入ってこなかったら中小企業だけでなく、ソフトバンクのような企業でも、やって行けなくなる。

収入が途絶えたら、事業は潰れる。事業主もそこで働いている人達も、たちまち生活が困難になる。

そのような人間が、国中に溢れる。これは、第二次大戦に敗戦した直後と同じ事態になる。

日本は国としての借金が1000兆円を超えている。すさまじい負債の額である。

ここで例えば100兆円を個人事業主のために使ったら負債額は更に増えて財政の困難は増す、と政府と財務省の役人たちは考えたのだろう。

しかし、ここで、日本の個人事業主たちが仕事を失ったらその損害は途方もないことになる。

財政が困難になるどころの騒ぎではなくなる。確実に、日本経済はこわれる。

国としての借金が増えても、経済が今のシステムを保っていれば、必死に努力をすることで、回復する可能性はある。しかし、システムが壊れてしまっては、一切の可能性はなくなる。

崩壊したシステムを1から作り直すためにはどれだけの年月と労力と犠牲が必要になることか。

選択の方法としては、

i)個人事業主を救済する。

更に借金は増えて、財政は困難になるが、全破壊に至らなければ努力して回復する道を探る可能性はある。

ii)個人事業主は救済しない。

更に借金が増えることはないが、この方策をとれば、一切の可能性はなくなり、自動的に直ちに日本は破滅する。

という二つの選択がある。

悪い方か、より悪い方を選べ、という厳しい問題だ。

 

いや、難しい問題ではないだろう。

今のコロナヴィルス禍は百年に一度という大きな禍(わざわい)だ。

平常時の感覚では対処できないだろう。

とにかく今あるものを守り抜くことが必要だ。

勇気をふるって、「悪い方」を選択するのだ。

今の政府の方針では「より悪い方」を選択することになる。

政府は「国として事業者の休業補償を取る考えはない」という。

政府の役割は一体何なのだ。

国を守り、国民の生活を守ることだろう。

この災禍に当たって、ありとあらそる知恵を振り絞って国民の生活を守り抜くのが政府の存在価値なのではないか。

ここで、しゃあしゃあとして、「国として事業者の休業補償を取る考えはない」とは何事だ。

戦う前に手を挙げて、国民が野垂れ死にしていくのをぼんやり眺めているつもりか。

桜を見過ぎて頭の中が花盛りになってしまったか。

財政が厳しいのはどこの国でもおなじことだ。しかし、オーストラリアでは、70パーセントまで補償することになった。

その代わり、外出禁止など厳しい措置を取っている。

日本のように、飲食店に自粛してくれ、と言うだけのいい加減な対応ではない。

飲食店は、テイクアウト以外は営業禁止となっている。

厳しい措置のおかげで、オーストラリアでは感染拡大が抑えられている。

 

 

b)奇怪なことは、

「国からの交付金が(自治体が行う)事業者への休業補償には使えない。」

と言いだしたことだ。

こんなことを言うその真意は小池都知事に対する、対抗意識だという。

小池都知事はコロナヴァイルス禍対策を先頭に立って行っている。

人によっては、次の選挙目当ての人気取り行為だ言う。

人気取りで結構だ、それで、日本の経済が助かるなら、どんどんやって貰いたい。

今、コロナヴァイルスに対するきちんとした対策を出している政治家は小池都知事だけではないか。

自分の家で犬と遊んで、ドッグドリンクを飲んでいる動画を投稿して、「皆おうちにいてね」なんてつぶやくしか能のない男の数千倍、国民にとっては有り難い。安倍晋三氏とその周りの人間は、自分たちのメンツみたいなものにこだわって、この国を滅ぼす気か。

 

c)さらに、あきれ果てるというか、何か物事をしっかり考えたことがあるのか、という疑問を抱いてしまうのは、第3番目の

「売り上げが半減した個人事業主に100万円、中小企業に200万円を上限にして現金給付などの「支援」策を講じることを強調。」

したことだ。

これ、100万円を毎月くれるんですか。

それとも、一回こっきり。それも、それが上限?

一回こっきりで、それが上限だというのなら、そんなものは焼け石に水だ。

こんな誤魔化しの手を使って、一体何になると考えているんだろう。

 

これから半年が勝負だ。

第二次大戦の敗北のような悲惨な目にわれわれは遭いたくない。

安倍晋三君、君はもう無理だ。

小池都知事か誰かに代わって貰いなさい。

それも、一刻も早く。

 

あまりに豚な私達も、生き残るためには愚かな指導者を追放するしかない。

生きるか死ぬか、その決断は今すぐにしなければ手遅れになる。

今こそ、あまりに豚な私達が、目覚めるときだ。

雁屋 哲

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