あれから一週間
まず嬉しいお知らせです。
2017年5月27日のこのページで書いた、木村巴さんの「憤怒」の展示が3月1日から13日まで、伊東市の「池田20世紀美術館」で行われます。
また、同時に、木村巴さんの新作「太陽の末裔」も展示されます。
この展示会は、「伊東市全国絵画公募展」として隔年に行われるもので、木村巴さんの「憤怒」は前回は大賞を獲得、「太陽の末裔」は今回入選した物です。前回の大賞獲得作品なので、今回も「憤怒」は展示されるのだそうです。
「太陽の末裔」は私はまだ見ていませんが、木村さんによれば、「安倍政権となって『全ての女性が輝く社会』と自信を持って公約していることに対して自分の考えを表現して見た」ものと言うことです。
政治的な主張の有る絵画はともすると主張ばかりが強調され、芸術性が薄れてしまうのですが、「憤怒」の場合、そのように表層に流れる物ではなく非常に深く人の心をとらえるものとなっていました。
「太陽の末裔」も楽しみです。
伊東というと遠いように思えますが、東京近辺にお住まいの方からすれば、日帰りの小旅行にうってつけではありませんか。絵画展を見た後、伊東周辺で温泉に入って一泊というのもこれは悪くないですねー。
是非お出かけ下さい。最近、国宝展とか、若冲展などは、入場まで3時間待ちなどと言うことがざらにありました。
「憤怒」は並ぶのに値する作品です。
さてさて、あれから一週間経ちました。
あれから、って何のことかですって?
男子フィギュアスケートの羽生弓絃選手と、スピードスケート女子短距離の小平奈緒選手のことですよ。
土曜日の、男子フィギュアスケートの決勝戦は大変でした。
いや、羽生選手が大変なのは当然ですが私の家が大変だった。私の次女はフィギュアスケートの大フアンで、ソチオリンピックで浅田真央選手がまさかの失敗をしたときには、泣いて大変でした。
今回も羽生選手のことで頭がいっぱいになっていて、金曜日に羽生選手がSPで首位に立つと有頂天になると同時に、
「明日の決勝は」と猛然と心配し始める。
土曜日の決勝戦は、妻が次女と並んでインターネット経由で見ていましたが、妻の観測によると、いざ羽生選手が滑り始めると次女は呼吸をしなくなり、手の体温が下がって冷たくなったと言います。
だから、羽生選手が金メダルを取ったときの喜びようと言ったらすさまじかった。
私の長女は家から離れてアパートに住んでいますが、週に何度か我が家に戻ってきて夕食を一緒にします。
しかし、土曜日は、「もし羽生選手が負けたら、家に来るのは止めようと思っていた」と言います。
みんな、そのような場合に次女の傍にいたくないというのが本音でした。
羽生選手が勝ってくれて本当に良かった。テレビのニュースでは、日本中のあちこちでテレビを見ながら泣いている女性の姿を写しましたが、私の家でも同じでしたよ。
しかし、その日、日曜日とNHKはすごかった。いったい何度羽生選手の演技を繰り返し放送したことか。
私が次女に、さすがにこれはやりすぎで飽きるだろう、といったら、次女は、何度見ても良いと答えました。
私が羽生選手はすごいと思うのは、これだけ日本中から期待をかけられ、しかもけがから回復して4回転ジャンプを跳び始めたの2週間前だというのに、その痛みをこらえてきちんと滑りきったところです。
これまで、日本の選手は試合前に金メダルは確実などと言われていても実戦になると負けてしまうことが多かった。というか、ほとんどそうだった。
しかし、羽生選手は期待通り金メダルを取った。私はその精神の強さに心を打たれました。
なんという強い心を持っているのだろうか。
小平奈緒選手もすごかった。勝利をつかんだこともすごいけれど、良い記録を出した後、観客席が湧いているのを見て、唇に指を当てて、「しーっ」と言いながら、観客席の前を走りました。静かにしないと次に滑る選手に悪影響おを及ぼすと、自分が良い成績をあげるとすぐに競争相手のことを思いやったのです。
これは見事でしたね。金メダル自体も素晴らしいけれど、この思いやりがなんとも価値のある行為だったと思います。
小平選手と韓国の、世界記録保持者でこれまでオリンピック2連覇の李相花(イサンファ)選手との友情物語も素晴らしい。
地元で絶対に勝ちたい李相花(イサンファ)選手は負けて泣いていましたが、それでも、小平奈緒と抱き合って祝福していました。これまでも李相花選手は小平奈緒選手にいろいろとよくしてくれていたそうです。自分と戦う相手によくして上げた李相花選手の度量は広いと思います。二人は友人同士だそうです。互いに相手を認め合って戦う、本当の好敵手同士だったんですね。
どうも、オリンピックとかサッカーのW杯になると、俄然愛国心の塊になります。
日の丸は苦手で、君が代はもっと苦手ですが、本当の愛国心というのは日の丸や君が代を越えたところにあるのだと私は思います。
私の家ではまだ夕食時は羽生選手の話題で、良かった良かった、とみんな笑顔です。