雁屋哲の今日もまた

2016-11-19

まさかの福沢諭吉

以前から、私が福沢諭吉についての本を書いていることをお伝えしてきました。

福沢諭吉については2009年7月5日と7月9日に2回にわたって書いています。

そのブログを読んでくれた「高文研」の方が、安川寿之輔先生に「こんな人が、こんなことを書いていますよ」と知らせてくれて、それで、安川寿之輔先生とのつながりが出来、それ以来、安川寿之輔先生に色々とお教え頂きました。

私は福沢諭吉については、安川寿之輔先生の幾つも著作によって勉強し、日本人は全員安川寿之輔先生の著作を読むべきだと思っています。

しかし、安川寿之輔先生の著作はあくまでも学術書であり、私の妻や姉、弟のような一般の人間には取っつきにくい所があります。

しかも、安川寿之輔先生が著作の中で引用する福沢諭吉の文章は先生のその場での議論に必要な部分だけであって、福沢諭吉の文章全体を見渡すのが難しい。

といっても、ある一つの福沢諭吉の文書を取ってみても、明快であるのですが、さすがに明治時代の文章であり、読みづらい、おまけに福沢諭吉の書く文章はとにかく長い。

改行もなく、難しい漢字を使って、どうしても読者を納得させようと思うのでしょうが色々な例を挙げ、話があっちに飛びこっちに飛ぶ。一つ読むだけでくたくたになります。

で、私は、福沢諭吉の文章を現代文に直し、長すぎる所は(殆どがそうなのですが)要約して、現代の若い人達でも読みやすく、福沢諭吉の思想を確実につかめる形にしようと考えたのです。

本当なら、2011年には出版する予定だったのですが、2011年に福島第一原発事故が起こり、被災地と福島の取材に取り組み、また、その後「美味しんぼ」の福島編の中で私自身が体験した鼻血の話を書いた所、総理大臣まで出て来て、私をバッシングしたので、その反論の本を書いたりするのにまた時間を取られ、ようやく20115年11月に出版する所までこぎ着けたのですが、その内容を読んだ娘達が、マンガにした方が分かりやすい、と忠告してくれたので、急遽、文章だけの本をマンガの形に作りなおすことにしたのです。それで、更に時間がかかり、ようやく、この11月20日に出版することが決まりました。

書名は、「まさかの福沢諭吉」です。

私は、中学高校までに学校で教えられたとおりに、福沢諭吉は日本の民主主義の先駆者と漠然と考えていましたが、実際に福沢諭吉の著作を読むと、民主主義とは全く正反対の思想をこれでもか、これでもか、と述べているので、「まさか」と仰天しました。

書名は、私が福沢諭吉の著作を真剣に読み始めたとき、思わず声に出してしまったその言葉をそのまま使いました。

遊幻社刊 「まさかの福沢諭吉」作・雁屋哲、作画・シュガー佐藤。上下二巻。各巻1800円+消費税です。

若い人でも読みやすい形にするのが私の意図だったのに、私も福沢諭吉同様くどい性格なのか、マンガ形式にしたために800ページを越えてしまい、仕方なく上下二巻に分けざるを得ず、どうも気安く読んで頂こうという最初のもくろみから大きく外れてしまったようで、残念です。

それだけ、福沢諭吉については語るべきことが多いのです。

 

とは言え、福沢諭吉は、百年以上前の人間です。

様々な問題を抱えている、日本の社会の現状を考えると、今更読む価値が有るのかと思う方も多いと思います。

どうか、出来るだけ多くの人に読んで頂きたいと願っています。

そこで、次回から、「なぜ今、福沢諭吉なのか」を語るつもりです。

雁屋 哲

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