雁屋哲の今日もまた

2009-11-26

こんち、また6年2組のお噂でお耳をけがします

 11月23日に、私の同級生、田園調布小学校1956年卒業の6年2組の一行が私の家に来てくれた。
 総勢21人来るはずだったのが直前になって風邪で倒れて実際に登場したのは17人。しかし、後で一人追っかけ参加があり、同学年で4組の人間も夫婦連れで飛び込み参加をしてくれてにぎやかでたのしい集まりになった。
 料理は、近くで取れた相模湾の、金目鯛、ヒラメ、メジマグロの刺身。
 私は料理は、お客様にして貰う方針なので、ここは腕自慢の「た」君にお任せした。「た」君は釣りをした後、自分で調理をするのが得意だと言うことで包丁さばきも堂に入っていて見事なお作りを作ってくれた。ヒラメの縁側を特別に小鉢に取ってスダチをかけたり、メジマグロの端っこの部分でたたきを作ったり芸が細かい。
 この季節の金眼の刺身は実にとろけるように旨い(じつは12月を過ぎるともっと旨くなる)こんなものを食べられるのも海を目の前にしているおかげだ。
 もう一つの料理は、元々九重部屋でちゃんこをご馳走になったときに教わった肉団子鍋で、九重部屋は牛か豚の肉を使っていたと思ったが、私の家ではそれを更に我が家流に変えていって、現在は良い鶏肉を探してそれを挽肉にし、刻んだ長ネギを加え、すり下ろした山芋を加え、大さじ二つで合わせるような形で取ってまず茹る。
 鍋は出汁昆布をしき、そこに芋焼酎と少量の醤油を加え、後はお好みで、椎茸、白菜、ネギ、等を加える。おっと、主役の肉団子を忘れてはならない。
 食べるときに、鍋の汁を小鉢に取り、ゆず胡椒をたっぷり混ぜて、更にお好みで醤油で味を足して食べる。
 単純な鍋なのだが、これが実にいける。サッパリしているので幾らでも食べられる
 我が家の冬の定番料理である。
 これを、私の妻と2組女性軍が手早く下ごしらえをして、刺身に続いて鍋料理に移った。
 今回はちゃんと酒を飲む人間もそろっていて、飲み、食い、おしゃべりで楽しい時間を過ごした。
 食後は「こ」君が抱えてきた三味線の演奏会。
 耳の具合が悪く、まるでいじることができず、音響的に未調整のオーディオルームで申し訳なかったが演奏会を開いて貰った。
「こ」君とは2年生の時からのつきあいだから、おお、来年で60年のつきあいだ。
「こ」君は、まあこれだけ温厚で優しい人間も滅多にいない希有の人格の人間で、小学生の頃私達は当時はやっていた広沢虎三の「次郎長三国志」という浪花節に夢中になった。
「こ」君が一枚のレコードを貸してくれて(SP盤です)、これをおぼえて来て、学期末に学級で開く演芸会でうなろうというのである。
 今でも忘れないが、「次郎長三国志」の中の「石松代参」のところである。
 冒頭はこうなっている、

「その夜はやすんで、翌の朝、はなから起きた石松は、うがい手水に身を清め、そよと吹く風無常の風、雨だれが落ちが三途の川、これが親分きょうでえ(兄弟)の一世の別れになろうとは、夢にも知らず石松は、清水港を後にする」

(何せ50年以上前に覚えた文句なので正確ではないが、今にして思えば、小学生がこんな浪曲をうなっていたのだから、日本の文化の変わり様は凄いものですね)

 その「こ」君、民謡もするが、長唄の方が格が上だというので、最近は長唄専門。
 2組の仲間が勢揃いしているところで三味線という楽器の説明から、始めて、実にいい声と三味線でみんなを楽しませてくれた。
 いや、もう実に楽しい集まりで、2組の仲間は私達の宝物だ。
 会の終わり頃には、次はいつ、どこにする、と相談が始まる。
 12月には忘年会を開くという。私がシドニーに帰る前に開いてくれと頼んでいるのだが。

 つきあいは長ければ長いほどいい。2組集まりは最後の一人になるまで続けよう。

雁屋 哲

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