雁屋哲の今日もまた

2009-07-25

本の宣伝と、官僚の攻撃の話

 ちょっと宣伝させていただきます。

 ただいま、全国の書店で、「美味しん本」が表紙の色を取って「青本」「赤本」の2冊発売されています。
「美味しんぼ」公式ガイドブック、です。
 何が公式だか分からないが、まあ、一応当事者が作ったと言うことで公式ガイドブックと銘打ちました。
「青本」の方は、山岡士郎が表紙、「赤本」の方は海原雄山が表紙。

「青本」は

  • 花咲アキラ氏の仕事場公開。
  • 雄山から懐かしいサブキャラまで、作品世界を徹底研究(この本は、ここが面白い)
  • 最新和歌山県篇までの全589エピソードのデータを完全収録
  • 単行本に今まで未収録だった幻作品を掲載(この件は、よほどの「美味しんぼ」通でなければ見落としているはず)

「赤本」は

  • 「美味しんぼ」に登場した料理店・食材の徹底ガイド
  • 「雁屋哲」が語る「美味しんぼ」特別補修16講
  • ビジュアル版 全県味巡り、レシピ付き

などが内容です。

「青本」の定価は、本体1143円それに消費税。
「赤本」の定価は、本体1000円それに消費税。

「美味しんぼ」の愛読者の諸姉諸兄はどうぞ、一人二冊にお持ちになると、「美味しんぼ」が四倍楽しめます。
 お買い上げのほどよろしくお願いします。

 さて、話変わって、衆議院が解散して、投票日まで一月ちょっとになった。

 いま、新聞でも週刊誌でも、もはや民主党が次期政権を握るように書かれているが、そんなに簡単にはいかないだろう。
 この一ヶ月、自民党も、官僚たちも必死になって、民主党に攻撃を仕掛けてくるだろう。
 鳩山代表の献金問題も、その一つだ。
 どんなことでも、見つけ出してきて、民主党を攻撃して、自民党が政権を失うことを防ごうとするだろう。
 特に、官僚たちは必死だと思う。
 麻生首相が先頃成立させた15兆円もの補正予算の9割が、官僚の天下り先の団体に配られたり、ハコモノ建設を復活させたりするだけで(ハコモノ建設も官僚が甘い汁を吸うだけの物)、民間には、1割しか回らないという。
 そのような、すてきな自民党がいなくなったら、官僚たちはみんな困る。
 警察、検察は勿論、全官僚が総動員されて、民主党の弱点を暴き出すだろう。
 この一ヶ月、自民党と官僚たちが、どんなことを仕掛けてくるか、これはちょっと久々の見ものだ。
 50年以上権力を握り続けた自民党だ。社会の隅々にまで網を張っているだろうし、官僚に至っては、明治時代からの権力機構を維持している。その蓄積した力は恐るべき物がある。
 簡単には、官僚天国を明け渡すはずがない。
 なんだか、アメリカのテレビ映画のように、陰謀、また陰謀なんて事になるかも知れないな。

 これで、民主党が政権を握ったところで、大した変化は起きない。
 官僚の盤石の基盤が簡単に崩れるとは思えない。
 一年、二年で目に見える成果を上げられなかったら、浮気な国民はすぐに民主党から離れるだろう。
 今度の選挙で、どれだけ自民党が壊れるかによるが、中核の部分が残っていれば、民主党の失敗につけ込んでまたひっくり返せるかも知れない。
 とにかく、この一ヶ月の、自民党と官僚たちの民主党に対して、どんな攻撃を仕掛けてくるか、スリル満点である。
 この数週間で、麻生首相がえらく、みすぼらしくなった。
 オーラも何も発することのない、ただの、アラコキおじさんになってしまった。(アラフォーとはアラウンド・フォーティーのことでしょう。すると、アラコキはアラウンド・古稀ということですな)

 とにかく凄いよね。
 1990年からの失われた20年と言うのが凄い。
 日本の近代史上、これだけ不景気が長く続いたのは、戦時中を除いて初めてなのではないか。
 しかも、この先展望がないと来ている。

 失われた20年どころかか、更に10年20年と失い続けて、30年後には日本は中国の属国になるだろう。

 その前触れとして、今日のニュースで、秋葉原LAOXが中国の会社の傘下に入ったこと知った。
 LAOXのMAC館は私が秋葉原に行くと必ずのように寄ったところだ。
 駐車場が便利なこともあって、LAOXはずいぶん利用した。
 そのLAOXが成績不振であることは知っていたが、中国の物になってしまうとは信じられないことだ。
 中国は、今年中に、日本をけ落として世界で二番目の経済大国になるそうだ。
 長い間眠っていた獅子・中国が、今や目を覚まし活発に活動を始めた。
 それに反比例して、日本は、真っ逆さまに転落していく。
 20年後には、かなりの日本企業が中国の企業の参加になっているだろう。
 日本人が働いて、中国人の懐を潤す、という経済構造になる。
 今の官僚は、省益第一、国益第二だから、国を良くすることなどに力を使わない。
 我が亡き後に洪水は来たれ、の精神だから救いがない。

 ふと考えたが、失われた20年なんて、簡単に言うが、いまの40歳以下の人間は、高度成長期、バブル経済期のあの華々しい時代を知らないのだ。いいことを何も知らずに生きて来たのだ。
 なんて可哀想なんだろう。
 大学を卒業しても就職先がないなどと言う話も聞く。
 1969年に私が大学を卒業したときは、学生1人に、大企業3つか4つ学生を求めてやってきた。
 私達はどこへ就職するのもより取り見取りだったのだ。
 そんなことはもはや夢のまた夢となってしまい、気がついたら、不況、不況で、韓国、台湾、中国に次々に経済的に抜かれていって、大会社が正規雇用を不正規雇用に変えて、労働者を使い捨てにした上での利益確保という、およそ道徳心も何も無い社会になってしまった。
 若い人達は、何一つ楽しいことを味わった経験もない上に、厳しい現実を見せつけられ、不安と、自信喪失で弱気になってしまう。
 これは辛いだろうな。

 こんな社会を、民主党が簡単に変えられるとは思わないが、自民党に任せておいては一層ひどくなるだけだ。
 よりよい方を選ぶという積極的な明るい選挙ではなく、まだこちらの方がましかも知れないから試してみようかという、疑心暗鬼の選挙になるだろう。

 官僚たちの民主党追い落とし策は、いつ頃発動されるのだろう。
 ものすごく旨い手を使ってくるんだろうな。
 いったいどんな手を使ってくるんだろう。
 なんだか、ホラー映画か、陰謀満載のスリラーを見ているような気持ちがする。

雁屋 哲

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頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ
シドニー子育て記 シュタイナー教育との出会い
美味しんぼ食談
美味しんぼ全巻
美味しんぼア・ラ・カルト
My First BIG 美味しんぼ予告
My First BIG 美味しんぼ 特別編予告
THE 美味しん本 山岡士郎 究極の反骨LIFE編
THE 美味しん本 海原雄山 至高の極意編
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