雁屋哲の今日もまた

2010-03-02

賞と言う物

 ノーベル賞という物を矢鱈有り難がるが、こんな賞は本当に有り難がるべき物なのだろうか。
 賞という物の性格からして、賞を与える側の思惑が一番強力に意味を持つ。
 その一番顕著な例がノーベル平和賞と文学賞である。
 ノーベル平和賞は、佐藤栄作氏が授けられたことで、ノーベル平和賞はただの低劣で悪質なジョークだと言うことが明らかになった。
 佐藤栄作氏以来、ノーベル平和賞だけは貰ったらおしまいだ、と言う人間が増えた。
 オバマ大統領が平和賞を受けたが、佐藤栄作の後だったので笑いも起こらなかった。

 佐藤栄作氏にノーベル平和賞が与えられたときに、世界中の人間が大笑いに笑ったので、今回オバマ氏に平和賞が授与されたときに、すでに笑うエネルギーを失っていたのである。
 ある日本の文学者は、ノーベル文学賞を喜んで貰っておきながら、日本政府が贈ろうとした文化勲章を拒否した。
 そのニュースを読んだとき、あまりの恥ずかしさに、ウィスキーをWで5、6杯飲まずにはいられなかった。
 その文学者は、文化勲章は天皇から貰うので天皇制反対主義者としては貰うわけにはいかない、と言うような事を言ったと記憶している。

 では、スエーデン王室の過去はどうなの。惨憺たる残虐な殺し合いの末に保たれた王室ではないか。そう言う王室から勲章など貰っていいのか。
 ノーベル賞と、日本の文化勲章との差違をきちんと語ってくれよ、ええ、こら、その文学者さん。
 天皇制などという言葉を用いずに、人間が人間に賞を与えるというこのばからしさを、文学者ならきちんと分かるように話してくれ。(でも、ノーベル賞を喜んで貰ってしまったからには何も言えないだろうな)

 何を言いいたいかというと、私は最近シドニーで、大腸鏡検査を受けたのだが、それはつまり、日本人の学者と、オリンパスという会社の作った、グラス・ファイバー・スコープのおかげだと言うことなのだ。
 この、グラス・ファイバー・スコープでどれだけの胃ガン、大腸ガンの患者が助かったことか。さらに、この、グラス・ファイバー・スコープを応用して、腹を開かずにファイバー・スコープを用いて手術を行うのが普通になった。
 この、グラス・ファイバー・スコープが救った人間の数は数え切れない。
 それなのに、ノーベル賞を与えられずにきているのだ。

 CTスキャンの場合、発明してから数年でノーベル賞を貰った。
 確かに、CTスキャンは素晴らしい技術だ。
 しかし、人の命を助けたことからすれば、グラス・ファイバー・スコープの方が遙かに役だっているしこれからも、検査・治療の中軸をになう物だろう。
 その、グラス・ファイバー・スコープに賞を与えないノーベル賞は何か極めて強い政治的な偏りがあるように思われる。

 そう言うわけで、ノーベル賞などと言ういい加減な賞を有り難がるのは止めよう。
 代わりに、「全人類を代表して感謝を捧げる賞」などを作りたいと思うが.じゃあ、その賞を決める委員会はどうして作るのか、などと言う問題がすぐ起こる。

 結論。
 如何なる賞も、下らないから廃止すべきだね。
 ただし、文学や漫画を志す若い人に道を開く新人賞だけは大事だし、人類の福祉に貢献した人を力づける賞も必要だ。

雁屋 哲

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