雁屋哲の今日もまた

2009-09-25

世の中はめまぐるしく変わる

 いやはや、世の中の変化はめまぐるしい。
 私は今「美味しんぼ」で「環境問題」に取り組んでいる。
 取材は春に行い、8月一杯に原稿を書き上げる予定で進めて来た。
 私としては、8月頃から連載を初めて欲しかったのだが、小学館の予定もあるのだろう、9月27日発売号からの連載となった。
 それはよいのだが、政権が民主党に変わって公共工事の見直しが始まった。
 私が最初に取り上げたのは沖縄の泡瀬干潟であるが、私が取材しているときには埋め立て工事が中止になる気配はなかった。
 ところが、新政権は泡瀬干潟の工事を止めると言った。
 おお、何と素晴らしいことだ!
 これで、あの美しい泡瀬干潟を守ることが出来る可能性が生まれてきた。
 新政権には、どうか、その方針を変えることなく、泡瀬干潟の埋め立て工事を中止して貰いたい。
 それはいいのだが、そうなると、「美味しんぼ」が民主党政権の後追いをしているように見られるのではないかと、心配になってくる。
 私が、「美味しんぼ」で、取り上げて出版を待つばかりになっている築地市場の豊洲移転問題も、新政権は見直すという。
 ああ、連載を、8月から始めていたら、と悔やんでも悔やみきれないが、とにかく新政権が、公共工事の見直しに大きく一歩踏み出してくれたことは、本当に有り難い。
 頼むから、途中で腰砕けになったりせずに、旧勢力側に飲込まれたりしないように、日本の未来を掛けて新政権には頑張って貰いたい。

 八ッ場ダムの問題で、新政権がダム建設中止を宣言したら、ダム推進派が大騒ぎしている。
 他にも、中止宣言を受けたダムの地方関係者が、抗議をしている。
 推進派の人達の中には、ダム建設に深い利害関係があり簡単にやめられたら困ると言う人も少なくないようだ。
 しかし、私が天竜川水系を回ってみたところ、ダムがその地方の住民に寄与している例は全くと言って良いほど無かった。
 むしろ、環境破壊、川の死滅、生態系の破壊、などで川の周辺の住民は生活を破壊されていた。
 この件については、「環境問題篇」の「天竜川」ついての話で書いてあるので、是非お読み願いたいと思う。
 要するに、今、ダムの建設を推進している人達は、十年後二十年後に自分たちの子孫から激しく恨まれることになるということなのだ。
 ダムを造って一旦川の流れを止めてしまったら、その被害は海にまで及ぶ。ダムを造って喜ぶのは、行政(政治家、関係省庁の役人、自治体の役人、)ゼネコン、御用学者たちだけである。
 地方の住民には殆ど恩恵がない。しかも、ダムの寿命は思ったより遙かに短い。すでに機能を失ったダムが幾つもある。
 ダムの推進運動に邁進している方は、天竜川の状態を見に行って貰いたいと思う。
 今一時の利益のために国土を破壊して、それで、子孫になんと言うつもりなのだ。
 ダムを良い物だと思っている方は、是非「美味しんぼ」の「環境問題篇」を読んで頂きたい。
 天竜が水系のダム問題、長良川河口堰の問題、それぞれについて要点をまとめてある。
「美味しんぼ」が新政権の後追いをしているように思われたら心外だが、新政権の公共工事見直し宣言は、地獄に仏、のように有り難い。
 どうか、このまま、めげず、負けず、この方針を貫いて貰いたい。
 残りは、新政権が原発問題にどう対処するかだ。
 六ヶ所村の核燃料再処理工場はどう扱うのか。
「美味しんぼ」が後追いしていると思われても構わない。日本の前途のために、今まで完全に政治家に失われていた理性を、何とか取り戻して貰いたいのだ。

雁屋 哲

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