雁屋哲の今日もまた

2009-03-24

野球は戦争じゃないよ

「美味しんぼ」の和歌山県篇の原稿を必死になって書いていたら、沖縄の「あ」から電話がかかってきた。
「おい、WBC見ているか」
「え、見てないよ」
「何だよ、お前韓国の監督の態度はフェアーじゃないなんて書いておきながら、見ないのかよ」
「いや、どうせ韓国に勝てっこないし、原稿も一杯一杯でな」
「ふうん、今、2点差で日本が勝ってるよ」
「どうせ、逆転負けするさ」
「あ、今一点入れられた。一点差になっちゃった」
「ほらな」
「じゃ、最初のところを見てないな」
「何かあったの」
「開会式のセレモニーでさ、国旗掲揚とか国歌斉唱とかするだろう。その時の日本の選手たちの態度が実にだらしないんだ。
 ガムなんかくちゃくちゃ噛んでさ、だらだらしてんだよ。
 それに引き替え韓国の選手たちは、姿勢はぴちっとしてるし、実に引き締まった、礼儀正しい態度なんだ」
「ガムかあ」
「おれ達が子供のころ学校でガム噛むなんて許されなかっただろう」
「そりゃ、そうだ」
「人前でくちゃくちゃやるなんて最低じゃないか。それも、開会式のセレモニーでだぜ」
「まあな。君が代を歌うのがいやなら、控え室にいればいいんだし、ただ、黙っていてもいいわけだしな。他人にとっては大事なセレモニーを汚すことはないよな」
「だろう、見てて凄く不愉快だった」
「だから日本は韓国に勝てないんだよ。ソニーだってサムソンにこてんこてんだしな」
「どうして日本はこんなになっちゃったんだろうな。腹が立つよ」

「あ」はしばらく愚痴をこぼして電話を切った。
 私は君が代も日の丸も大嫌いだ。
 だが、サッカーの国際試合の時に両国の国旗掲揚、国歌斉唱となって周りの人間が立つと、みんなの雰囲気を壊すと悪いから一応は立つ。国旗は別に見ないし、君が代なんか、ああいう音楽的に劣悪な物を口にすると、せっかく歌は上手だとみんなに讃められているのに、その歌が下手になるおそれがあるから、死んでも歌わない。
 大体、あのあほらしい文句を口にする勇気がない。
 立っているのに飽きたら、勝手に座ってしまう。
 だからと言って、そこで、儀式を破壊するようなことはしない。踊ったり、騒いだり、ラッパを吹いたりはしない。
 しかし、日本の教育委員会のように、国歌斉唱の時には立て、なんて言われたら、寝ころぶか、あるいは、突拍子もない音階を外した全く別物の君が代を歌ってやる。
 いや、じつは、この突拍子もなく音階を外した君が代というのを、色々作って歌ってみたのだが、これが面白いのだ。
 この日記は、音符を書けないので、私のひどい君が代を乗せられないのは残念である。
 と言ってみたら、次男によれば、このブログに音楽も乗せられるそうで、そのうちに、雁屋哲バージョンの君が代をこのページに乗せて、さらに雁屋哲の評判を悪くしようと企んでいる。
 私が、見本を示すから、心ある方は、と言うか、君が代を国歌として認めることに反対する人は、私のまねをして、「おもしろ君が代」バージョンを作って頂きたい。

 ええと、いつもの事ながら、書いているうちに、何を書いていたのか忘れてしまういい加減なブログだが、「おもしろ君が代」は絶対に作りたいね。
 これから、教育委員のあほどもに、君が代を歌えと言われたら、ちゃんと起立して、この、「おもしろ君が代」を大声で歌うんだよ。
 それが、馬鹿な教育委員どもをやっつける一つの方法だと思う。
 教育委員の連中が、このページを見て対策を考えるおそれがあるので、実際に教育委員から攻撃があったら別の方法があるから、その際には報告をするように。

 あ、WBC では、日本が勝ってしまったようだね。
 日本ではただ喜んでいるようだが、韓国は大変みたいだね。
 韓国では、これは野球の試合ではない。韓国を植民地化した最悪の人間、伊藤博文(言っておきますがね、韓国にとってだけでなく、日本にとっても最悪の人間だったんですよ)と、伊藤博文を殺した安重根をとりあげ、伊藤博文をイチロー、安重根を韓国の投手に見立てて、この試合は単なる野球の試合ではなく戦争だ、などと物騒なことを韓国の有力な新聞で言っておりました。

 驚きましたね。
 スポーツってそんな物だったんですか。
 私は、ナショナリズムと言う物はそれ自体病気だと思っている。
 私が、何時も言っている愛国心とは、自分の育った国に対する感謝の念と、その地方で、その文化を共有する人間にたいする愛情だ。
 他国にたいする、敵愾心などとは無縁の物だ。
 敵愾心ではない。自分のひいきのチームが勝ったら気持ちがいい。
 それだけの話だ。
 スポーツってのはさ、フェアーに思い切り全力を出して、小ずるいことを考えずにさ、楽しくやろうよ。
 野球の試合を戦争に見立てたりするのはよそうよ。
 全て、スポーツは楽しむに限ります。
 韓国残念。
 でも、過去の戦績を見てご覧なさい。韓国の圧倒的勝利の記録。
 今回日本が勝てたのは幸運の限りであって、次に試合をすれば韓国が勝ちますよ。
 チームというか、一つの団体になったときの韓国人の力は凄いんだから。
 そう言う意味から、前回の日本戦の後の韓国の監督の言葉はまずかったね。
 とにかく、フェアーに行きましょう、フェアーにね。

雁屋 哲

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頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ
シドニー子育て記 シュタイナー教育との出会い
美味しんぼ食談
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美味しんぼア・ラ・カルト
My First BIG 美味しんぼ予告
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THE 美味しん本 山岡士郎 究極の反骨LIFE編
THE 美味しん本 海原雄山 至高の極意編
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