雁屋哲の今日もまた

2013-04-14

マリノスが勝ったぞ

13日、土曜日、日産スタジアム。横浜マリノス対川崎フロンターレ。

観戦してきました。

久しぶりのマリノスの試合、いやあ、はらはらした。

こんなに体に悪い試合は滅多にない。

前半、中村俊輔のコーナーキックに、富沢が上手く合わせて1点取ったが、後半何が何だか分からないゴール前のやりとりで、フロンターレに1点取られた。

取られた瞬間、日産スタジアムはフロンターレのサポーター達はのぞいて、静まりかえった。

私と連れ合いは四人並びの席の真ん中。私の右は、大阪から中村俊輔のプレーを見たいばかりに飛行機で飛んできた方。

連れ合いの左は横浜マリノスは勿論、Jリーグとサッカーにものすごく詳しい方。

というサッカーマニアのお二人と一緒に観戦できて楽しかった。

それが今日の最高の収穫だろうか。

さんざん絶好の得点機を逃して、(中村俊輔のキックを受けた中澤の絶好のヘッディングもわずかに外れた)、神も仏もある物か、もう引き分けかとあきらめたところに、中村俊輔のコーナーキックはキーパーにはじかれたが、途中から出場した端戸(この選手は私は初めて知った。)が上手いこと蹴り込んで、2点目を獲得。

そのまま、時間切れで、マリノスが勝った。

私の右にいた方は、マリノスの獲得した2点とも中村俊輔が起点になったので、大変満足しておられた。大阪から来たその方の念力が通じたのではないか。

嬉しかったのは、試合後マリノスの選手たちが観客席を回って挨拶をするときに、私達の前に我が愛する中澤が来たので、思い切り大声で「なかざわーっ!」と叫んだら、それが聞こえて中澤祐二選手が私の方を見て手を挙げてくれたことだ。

嬉しかったねー!(って、私ってサッカーお宅かしら)

 

シドニーでは、小野伸二が加入した、Western Sydney Wanderers の試合を楽しみ、秋谷に来れば、横浜マリノスの試合を楽しむ。

人生には色々なことがあって、秋谷とシドニーの苦しい二重生活はあと数年続けなければならないが、横浜マリノスと、 Western Sydney Wanderersのおかげで、その辛さ、苦しさが軽減される。

ああ、サッカーは素晴らしい。

 

一つ気になったことがある。

Western Sydney Wanderersのサポーター達は試合前から、試合後まで、一瞬の途切れもなく、次から次へと歌を変え、応援の方法を変え、会場の観客も巻込んで、盛り上げる。

前回の、Sydney FCとの試合の際には、その前にあまりに騒ぎすぎて、入場を拒否されたサポーターがいた。

で、その試合の際、サポーター席には「ここは、本日入場拒否された我々の仲間の為に沈黙を守る席だ」という横断幕を掲げて、サポーターたちは一切声も上げず静まりかえっている。一種のストライキだな。

そのうちに、警官たち数人がサポーター席に乗込んできて、その横断幕を納めさせた。

(警官とは何事と、仰言るか。実は、数試合前に Western Sydney Wanderersが負けたときに、サポーターたちは荒れ狂い、ピッチの中にペットボトルを投込むわ、発煙筒をたくわの大騒ぎになり、次の試合から、スタジアムの前にRiot Police(暴動鎮圧警察)と書かれた、警察特別仕様の黒いランドクルーザーが3台も駐まり、騎馬警官も3人と馬3頭が配置され、サポーター席は大勢の警官が前後を取り囲む事態となったのだ。)

静まりかえったサポーター席というのもつまらない物で、警官たちが横断幕を納めさせてサポーター席から引き上げると、観客たちが腕をサポーター席に向かって突き出して「RBB,RBB」と叫びだした。

RBBとは、Red and Black Blockと言う意味である。

横浜マリノスが、トリコロールと言って、赤、青、白の三色をシンボルカラーとしているように Western Sydney Wanderersは赤と黒がシンボルカラーである(だから、私達家族も Western Sydney Wanderersの試合を観戦に行くときには、赤と黒の服装に身を固める)

Blockと言うのは、サポーター席の事である。

「RBB」と叫ぶことで、観客は、 Western Sydney Wanderersのサポーター達に、何時ものようにやってくれと、催促したわけである。

すると、その催促に答えて、 Western Sydney Wanderersのサポーター達は、待ってましたとばかりに、応援を始めた。

観客も喉の渇きを癒されたがごとくに、サポーター達に合わせて、声を上げ、歌を歌い、手を叩き、場内は熱狂に包まれた。

私達家族も、喉がかれるまで、叫び、歌を歌い、手が痛くなるまで叩き続け、スタジアム全体を包む熱狂の渦に巻き込まれて、その熱に酔った。

 

しかし、横浜マリノスのサポーターたちは品が良すぎる。

観客全員を自分たちに巻込む事をしない。

しかも、途中で、全く音も声も発しない時間がかなりある。

それは、つまらない。

何のためにサポーター席にいるのか。

Western Sydney Wanderersのサポーター達は、試合が始まる前から、終わった後まで、声を出し続け、観客たちを巻込む。

横浜マリノスのサポーター達は素晴らしいと私は常々思っている。

今日一緒になった大阪から来たという方も、マリノスのサポーターは、大阪の他のチームのサポーターより遙かに見事だと、讃めておられた。

しかし、私はもっと欲張りである。

Western Sydney Wanderersのサポーターたちのあの疲れを知らぬ休み無しの応援と、スタジアム全体を巻込むサポートを横浜マリノスのサポーターにも、して欲しいと思う。

今は、サポーターと観客の間に、隙間がある。

これは、サポーターとして考えて貰いたいことだ。

サポーターの観客に対する働きかけがない。

自分たちがサポートしているから良いという物ではないだろう。

観客もサポーターも一致して横浜マリノスを応援してこそのサッカーではないか。

横浜マリノスのサポーターたちよ、日産スタジアムの観客に働きかけて、スタジアムを熱気の渦に巻き込んでくれ。

 

私は、3ヶ月ぶりに、3月25日に秋谷に戻り、28日には、東京駅・ステーション・ギャラリーで、木村荘八の絵画展、銀座のソトコト・ギャラリーで、葛飾北斎展を見て、4月3日には、三十年ぶりにお会いした編集者の方が秋谷にいらして下さり、4月5日には福島第一原発の敷地内を見学し、9日には、小学校の同級会で小田原に行き、などしている。

特に、4月5日の福島第一原発敷地内見学についてはご報告しなければならないと思っているのだが、ある事情があって、まだご報告できない。

(お前に、報告して貰う必要はないよ、と仰言る方もおられると思うが、福島第一原発の敷地内に入る機会がない方も多いと思うので、余計なことと思うが、報告したいのだ)

「ある事情」などと言うと、大げさに聞こえるが、何のことはない。私に同行してくれた安井敏雄カメラマンが敷地内で撮影した写真の検閲を東電がしていて、まだどの写真が使って良いという許可が出るのか分からないからだ。

写真無しの報告だと、淋しいからね。

雁屋 哲

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