雁屋哲の今日もまた

2010-09-23

中国人よ今こそ「史記」を読め

 最近、ふと考えた。
 私はこうして日本人として生きているが、世界には160ヶ国以上の国がある。
 たまたま日本に生まれたが、もし他の国に生まれていたらどうだっただろうかと考えたのだ。

 在日共和国の友人たちには申し訳ないが、前から言っているとおり、私は金正日氏のやり方に我慢がならないので、共和国に生まれなくて良かったと思う。(ここで、日本の朝鮮に対する侵略の責任問題を出さないでくださいね。単純に、今、生まれて来たらと言う前提の下に話しているのだから)
 生まれたくない国を列挙すると、中国、朝鮮人民民主主義共和国、ロシア、がまず筆頭にあげられる。
 根拠は、人間の自由が認められないからだ。
 自由に自分の意見を表明できない国など、牢獄に等しい。
 中国、朝鮮人民民主主義共和国、で自国の政府を批判すると、投獄されたり、強制収容所に入れられて結局餓死させられたりする。
 ロシアで、同じ事を行うと、アンナ・ポリストコフスカヤのように、公開死刑としか言いようのない暗殺で消される。
 イランでも、反政府言論は死を招くだろう。
 アフガニスタンでは、反タリバンの意見を言うと、すぐ隣に座っていた友人だと思っていた人間に頭を撃ち抜かかれる。

 最近の、尖閣諸島周辺での、中国漁船と日本の海上保安庁の船との衝突の件を巡っての中国政府の対応を見て、本当に、今の中国は情けない国だと思った。
 1945年以前の日本が中国に対して犯した侵略と、破壊・殺戮の罪は深い。
 しかし、それと、今度の問題を一緒にしないで貰いたい。
 当時の中国と、現在の共産党一党独裁の中国とは別の国である。
 ことの本質の追究をしようとせず、一方的に自分たちに理があり、日本が不正であると言いつのる、この自分勝手な態度は奇怪である。
 駐中国日本大使を夜中に呼び出す、この無礼さ。
 こんな侮辱を自分たちが受けたら、中国人はどう反応するか。発狂的な大騒ぎを国中で引き起こすのではないか
 まったく、最低の礼節を欠いている無礼者集団が今の中国政府だとしか思えない。
 1945年以後、外国で、1発の銃弾も撃たず、1人の外国人も殺さず、1センチの進出もした事がない日本を、いまだに軍国主義と罵るのは、異様なる意図を持っているのか、単に事実が見えない痴呆なのか。
 この、知恵が回りすぎる中国政府を見ていると、痴呆という事は無いだろう。
 日本を軍国主義とののしり続けることで、得ることが多いと判断しているのだろう。

 この辺のことは、外交の非常に長けた中国と、外交能力のない日本との差であって、ここで、中国の気勢に押されて、弱気になってもならないし、プッツンと切れて攻撃的になってもならない。
 これは、中国得意の外交ゲームの一つとしてみた方が良い。気長に対処するのだ。

 中国人観光客が日本に来たくないと言うなら来なければよい。
 日本の観光客、芸能人を上海万博に呼びたくないというのなら、日本人は行かなければよい。
 ここ数年、ちょいとばかり経済が優勢になったからと言って、思い上がってここまで露骨に拳を振り回す中国政府の浅薄さが、これから先の中国政府の危うさを感じさせる。
 中国は、自分の内政状態が危うくなると外敵を求める。
 今、中国は、経済の曲がり角で、国内で不満が充満している。
 そのはけ口に、尖閣諸島の釣り船がちょうど良い。
 日本を敵にすると、中国中の不満が解消する。
 そんな中国の、浅薄で、露骨な戦法に乗らず、逮捕した船長はしっかり裁判にかけ、有罪にした後で、国外退去処分にでもしてやればよい。

 こんな事を平気で言える国、日本は、今のところ有り難い国だ。
 1945年以前、軍部が支配していた日本は地獄だったが、世界では、その当時日本国民が味わっていた地獄を国民が味わっている国が多いのだ。

 私の父は中国人を尊敬していて、中国人は本当に「大人(ターレン)」だと言っていた。
 その影響で、私も中国人を尊敬していたのだが、ここ数年様子がおかしい。
 わずかな一時の成功に酔って、一切を駄目にする歴史は「史記」などを読めば幾らでもその例はある。
 中国人よ、今こそ「史記」を読め。

雁屋 哲

最近の記事

過去の記事一覧 →

著書紹介

頭痛、肩コリ、心のコリに美味しんぼ
シドニー子育て記 シュタイナー教育との出会い
美味しんぼ食談
美味しんぼ全巻
美味しんぼア・ラ・カルト
My First BIG 美味しんぼ予告
My First BIG 美味しんぼ 特別編予告
THE 美味しん本 山岡士郎 究極の反骨LIFE編
THE 美味しん本 海原雄山 至高の極意編
美味しんぼ塾
美味しんぼ塾2
美味しんぼの料理本
続・美味しんぼの料理本
豪華愛蔵版 美味しんぼ
マンガ 日本人と天皇(いそっぷ社)
マンガ 日本人と天皇(講談社)
日本人の誇り(飛鳥新社)
Copyright © 2024 Tetsu Kariya. All Rights Reserved.
掲載の記事・写真・イラスト等のすべてのコンテンツの無断複写・転載を禁じます。