雁屋哲の美味しんぼ日記


「日本全県味巡り 和歌山県篇」出発進行

2009年1月25日(日)@ 23:41 | 雁屋哲の美味しんぼ日記

 出だしが上手く行かなくて四苦八苦していた「美味しんぼ」の「和歌山県篇」やっと、とっかかりが見つかって、上手く進行できるようになった。
 締切りよりだいぶ遅れてしまったが、パンツのゴムと締切りは伸ばせば伸びる、と言う固い信念の男でありますので、(担当編集者はここの部分を読まないように)何とか切り抜けるつもりです。

 しかし、取材記録を見返すと、日本は凄い国だと改めてつくづく思う。
 実に実直に真面目に働いている人が多い。
 そして、それぞれが伝統の文化を維持している。
 有り難いことだと思う。
 東京などにいて、日本がいやになった、なんて思う人がいたら和歌山県でも、青森県でも、どこでもいいから地方へ行ってご覧なさい。
 日本人の本当の素晴らしさを、しっかりと掴むことが出来るから。
 私は自分で熱烈なる愛国者だと思っているが、これは、何か高等なイデオロギーが有っての物ではない。
 日本の美しい山や森を見ると心がしびれる、などという、単純なる郷土愛だ。
 自分で言うのも何だが、愛国心なんて物は、このような単純な郷土愛程度のものが一番いい。
 へんてこなるイデオロギーをくっつけると、厄介になる。
 国威発揚とか、外国人排斥とか、外人嫌いとか、領土を拡張しろとか、国を守る気概を持てとか、いやらしいものになる。
 和歌山県も、本当に良かった。
「美味しんぼ」であるから、全ては食べ物絡みの話になってしまうのだが、だからこそ、余計にその土地の人間の良さが現われて来るのである。
 これが、もっと実際の生活とかけ離れた主題で各県を取材したらこんなに、人々の生活の真実を掴むことは出来ないだろう。
 そう言う意味で、「日本全県味巡り」は実に有り難い。
 食べることというのは人間存在の根源である。
 その、食べ物を通して人々に接すると言うことは、嘘偽りのない人間の姿を見ることが出来ることである。

 この「日本全県味巡り」の取材をしていて、良く尋ねられるのが、「どうやって、こんな物を漫画にするんですか」という質問だ。
 ううむ、それは、私にも分からない。
 しかし、これまで8つの県を漫画で紹介してきた。
 和歌山県も、上手く行くだろう。

 ところで、今回の取材スタッフを紹介しよう。
 今回の取材の最終日、解散前に撮った写真だ。

和歌山県取材スタッフ一同

 ここに写っているのは8人だけだが、実際に各取材先に行くときには案内の人がついて来てくれる。
 常に10人以上の人間で取材して歩いているのだ。
 私の右にいるのが、和歌山県庁の仲さんと山下さん。
 漫画の第一回に登場しますよ。
 私の左にいるのが、もう長い間、日本全県味巡りを担当してくれているライターの安井洋子さん。彼女の作ってくれる資料がなかったら、日本全県味巡りは書けない。
 その左の若い女性が、カメラマンのアシスタントの伊藤さん。
 安井さんは大変に厳しくて、ある県で、私がある店を漫画に取り上げたところ、「どうしてあんな店を漫画に書いたんですか」と猛然と抗議された。それには困った。
 美人なので、どこに行っても、大変にもてる。
 おかげで取材が実に円滑に進む。ある県では「凄い美人さんが来てくれた」と大騒ぎになったことがある。村人たちが次々に安井さんを見にくるのである。
 右から二人目が、カメラマンの安井さん。
 ライターとカメラマンが同じ安井という名字なので、時に困ることがある。
 いちいち、「ライターの安井さん」とか「カメラマン安井さん」などと言わないと私が誰に話しかけたいのか分からないときがある。
 左端にいるのが私の甥の真中。この真中が、一月以上かけて、私の取材先を先行取材して、私が取材する意味のある場所を選択する。
 真中がいないと、何も始まらない。
 一番右にいるのが私の長男。ビデオ撮影担当である。
 本来は陶芸家なのだが、陶芸家は自分で時間を作ることが出来るので、私の取材に協力してくれるのである。
 もう、最高のスタッフである。
 このスタッフあればこその「日本全県味巡り」なのである。
 おっと、担当の編集者を忘れてはいけないな。
 今回、最終日には、雑誌の締切りがあって、東京に帰ってしまったが、彼の努力がなければ、これだけの取材陣を動かすことは出来ない。
 さあ、スタッフの努力を実らせるために、和歌山県篇、面白い漫画にするぞ。

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