雁屋哲の今日もまた

2009-06-20

辻井さんの件についてのお詫び

 どうも我ながら軽率すぎるようだ。
 バン・クライバーン・コンクールで優勝した辻井さんについて書いた先日の日記にたいして、数人の読者からメールを頂いた。
 その中の一人の方は、

「(前略)「一度だけ  目が見えたら、母の顔が見たい」というのは、ご本人や父親が公表している有名なエピソードのようです。
(中略)
 そうだとすると、(質問の仕方はともかく)、くだんの記者は、 事前に調査した上での質問だったことになります。
 いくら何でも、何の予備知識もなく、「もし目が見えたら」とは 聞かないでしょう。
(中略)
 そういうわけで、6月11日の日記やご友人とのやりとりは、もしかしたら、誤解に基づくものかも知れないと思います。
(中略)
 蛇足ですが、「マスゴミ」という言葉を使う人(典型例がネット右翼)の文章や人格で感銘を受けることは、まずありません。雁屋さんも、あまり使わない方がよろしいかなと感じました。」

 と書いてくださった。
「マスゴミ」と言う言葉の品のなさまで指摘いただいて恐縮した。

 別の方は、

「(前略)
 会見で件の質問をしたのはテレビ朝日の記者と聞いておりま す。雁屋さんは、毎日新聞の記者が質問したと取り違えてらっしゃるのではないでしょうか。
 また、この質問について報道したのは毎日新聞だけではありません。朝日新聞は天声人語にまで盛り込んでいたかと思います。」

 と書いてくださった。
 確かに天声人語にも書かれているのを確認した。
 であれば、最初の方の仰言るとおり、その言葉は、ご本人からでた物であるようで、一方的に、毎日新聞を批判した私は間違い犯したことになる。
 それに、毎日新聞の名前を伏せたつもりでも、沖縄の核持ち込み秘密条項の話を出せば、事情を知っている人にはすぐに私が毎日新聞のことを言っていると分かってしまう。
 しかも、文末に「貧すれば鈍する」などと、失礼なことまで書いてしまった。
 毎日新聞には、心からお詫びする。
 でも、ずっと応援していることだけは確かなんですからね。それだけは信じてくださいね。

 と言うわけで、きちんと自分で調べもせずに、毎日新聞の記者を責めるような文章を書いてしまったことを、毎日新聞と、読者諸姉諸兄にお詫びします。

 以前にも書いたが、日本ハムで活躍した新庄選手が、ある年の初めに今年の目標はと記者に聞かれて「今年の目標は人の悪口を言わないこと」と言ったことに、私の連れあいがたいそう感心して、私も新庄選手を見習おうと思った、と言うことについては以前この日記か、コンビニ版の「美味しんぼ塾」に書いた。
 普通、野球の選手が「今年の目標は」と訊かれたら、「打率三割以上、ホームラン三十本以上」などと答えるところを、新庄選手は「人の悪口を言わないこと」と言ったのだ。野球選手としては不思議な答えだが、実に立派だ。

 また、「諸君!」の最終号に、評論家の櫻田淳氏が、次のようなことを書かれていた。

「氏にとっては『諸君!』は言論活動の最初期の主な舞台であって、氏は担当編集者との交わりを通じて二つの『作法』を教えられた。その『作法』の第一は、特段の事情がない限りは、個人を名指しして批判すると言うスタンスの論稿を書かないと言うことである。
 言論の世界で展開される様々な批評の対象は、あくまでも言論家が披露する言説の中身であって、言論家個人の人格や姿勢ではない」

 実にこの「作法」は立派なことである。
 私は新庄選手の教えにも、櫻田淳氏が体得した「作法」も無視したことになる。(もっとも、「諸君!」は二度までも、私の実名を挙げて長文の批評と言うより罵倒としか言いようのない上品な文章を掲載してくれたが)

 今度のことに懲りて、新庄選手の教えと、櫻田淳氏の「作法」を守ることにする。

 ご親切なメールを下さった読者諸姉諸兄に心からお礼を申し上げます。

雁屋 哲

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