雁屋哲の今日もまた

2011-08-14

再開直前に、ひと言

新しい私のホームページの形が整いました。

16日から正式に運用します。

URLは今までと変わりません。

ただ、前回も、申し上げたとおり、ページの名前というか、タイトルというか、それが、「美味しんぼ日記」から「雁屋哲の今日もまた」に変わります。

以前より、私の思うことを集中的に読んで頂けるように、ページのデザインも、極めてさっぱりしたものにしました。

私の「いやらしい、ぐだぐだ話し」を最大限、このページにアクセスした不運な人達に味わわせて差し上げるのにふさわしいデザインだと思います。

色々な人から、お前の言う事は毒がありすぎる。マムシかハブみたいな男だと言われたので、これから、私は自分の事を「マムシの哲」「ハブ哲」と自称したいと思います。

私の言葉には、私の批判の対象になった人間から見れば、「ひどい毒」があります。

3月11日過ぎに、私のホームページをダウンさせた人々にとっては、私のページは攻撃の対象にしたい「毒」をまき散らしていると感じたのだと思います。

しかし、私は、単なる事実を伝えたに過ぎない。

現実に、あの時私が書いた事実で、あのおかしな人達が攻撃してきた内容は、今になってみれば、常識になっているではありませんか。

今、あの内容を書いたところで、誰も、反感を抱いて私のページを攻撃しようとは、思わないでしょう。

私は、現在常識になっているが、あの時点で他の人が隠していた事を他の人に先立って明らかにしたに過ぎません。

それに対して、無智な人々が、恐れ反発した。

私のホームページを攻撃した人達は、今、どう思っているのでしょうか。

あの時の、私の「毒」が今では真実です。

さあ、私を攻撃して来た人達、どうしますか。

(ハブ哲がからんでいるんだよ)

私は、どんな事に対しても、「科学的」に考えると言う態度を持ち続けています。

と言うより、物事を正確に掴むためには科学的な思考以外の思考方法はないと自分の体験から確信しています。

様々な事象を自分で理解しようとする時に、物事を正確に理解し、自分以外の人達に納得して貰える説明をするためには、事実に対する科学的な分析、解析が絶対に必要である事を長い間の物書き稼業の中で痛感したのです。

科学的な考え方とはどんな物か、これについては、今までに何度も語っており、これからも、と言うより、すぐこのあとに書く「太地の中学生達に」と言う文章の中でも、語ります。

くどいようですが、この「科学的」に物事を考えると言う態度は、人間として真正な人生を送るためには必須な事だと思うので、くどいという批判を無視して、ここにも書きます。

科学的な思考態度とは、

1)どんな事を考えるにしても、その考えの基には事実がなければなりません。

2)その事実は、その説を唱える人だけが、事実として主張するだけでは不十分で、その人以外の第三者が何人もその説を唱える人と同じ条件で確かめても、同じ結果が得られれば、これは客観的な事実であると認められる。そうでなければなりません。

「自分はそう思う」「誰それさんが(神様が)そう言っているのだから、そう信じろ」という言い方は、意味がありません。

3)その客観的な事実の上に、論理を組立てていく。

これが、「科学的」な思考態度です。

宗教が科学と異なる点は、宗教が上記2)と3)を満たしていない事です。

科学的に物事を考えるとどう言う事が起きるか、その一例を挙げれば、「常温核融合」の問題があります。

核融合というと難しく聞こえますが、実際は私たちが毎日体験している事です。

我々が毎日享受している太陽の光は、どのようにして生まれているかというと、それは、太陽の中で水素原子がお互いに融合して、ヘリウムになる時に生成されるエネルギーが、光のエネルギーとなって、我々の元に届くからです。

太陽のような、極めて高温、高圧の状態では、水素原子どうしが融合してヘリウムになることは可能です。

水素からヘリウムになるときに、水素原子は0.7パーセントほど質量を失う。

アインシュタインが明らかにした事ですが、質量に光速の二乗を掛けた物が、エネルギーとして放出されます。

太陽は、地球から見れば大変に巨大な物体です。

その中の、失われた0.7パーセントの質量がエネルギーとして時々刻々放出されているわけです。

大変なエネルギーを、我々地球に与えてくれています。

そのお陰で、地球上には様々な生物が生息できるのです。

水素爆弾は、まず原子爆弾を使って核分裂によるエネルギーを生成し、それを利用して核融合を起こす物で、爆弾という限られた空間の中で、原爆という強力なエネルギーを与えられて初めて実現した核融合です。

この核融合を、人間の管理可能な状況で実現できれば、大変に具合の良いエネルギー源になると考えて、多くの科学者がこれまで研究を続けてきました。

しかし、原子爆弾のような、瞬間的に巨大なエネルギーを発する物がない状態で、核融合を引き起こす事は非常に難しい。

そのために、日本も国の研究機関で優秀な物理学者を集めて、数十年間研究を続けていますが、現実に太陽で展開されているあの状況を作り出す事がどうしも出来ない。

そのような状態を作り出すためには、極めて高温高圧高磁場の特殊な状況を作り出さなければならない。それが、ほとんど不可能だ。

ところが、20年ほど前にアメリカの二人の科学者が普通の室温で、ビーカーを使って、核融合が出来ると発表したのです。

これは、世界中の核融合研究者たちを驚かせました。

自分たちが、巨大な実験設備を使っても出来ないのに、室温・常温でビーカーの中で核融合を実現する事が出来る。

世界中がひっくり返るような大騒ぎになった。

これで、エネルギー問題は解決する、と言う期待が起きました。

ところが、実際に、その二人の科学者が、他の人達の前で実験してみせると、核融合など起こらない。

彼らと別の人間が、彼らと同じ方法で行っても、核融合は起こらない。

様々な人が、その二人が成功したと主張する方法で実験を繰り返しても、核融合は起こらなかった。

ここにおいて、二人の「常温核融合理論」は間違いであると、確認されたのです。

4)もう一つ。科学的な思考で一番大事なことは、自分の今言っている事は、現在手に入れる事の出来た事実の上に立ったもので、後に新しい事実が発見されたら、躊躇なく新しい意見を受け容れなければならない、と言う謙虚な態度です。

これが、科学的な思考方法と言う物です。

だれもが、実証可能で、確かめる事の出来る事実、それを基本にして論理を組立てていく。

私は、これが、人間にとって唯一可能な「過ちを犯さない」思考方法だと確信しています。

この私の「確信」が思いこみではなく、以上に述べた科学的な思考による物だ、と言うと、それは同義語反復で意味がないかと反駁されるかも知れません。

しかし、この、何が何だか分からない無明の世界の中で、何か物事を考えようとした時に、「科学的思考方法」以外に頼りになる物、私以外の第三者をも納得させる事の出来る議論の仕方、はないのです。

(宗教は、私の考えでは、この苦しい思考を、神や仏にすがる事で逃れた結果だと思います)

私の科学的な物の考え方、これは、どうしても、日本人全体に理解して頂きたいのです。

日本人は情緒、感情に流されます。科学的な思考は苦手です。

科学者を自認する人でも、最後の判断のところで、情緒的になることを嫌と言うほど見てきました。

(こう言う事は、私が日本人として、長い間生きて来たから言える事で、他の国の人間が言ったら、私自身簡単には受け容れられないでしょう。

ふ、ふ、おかしいね。同じことを、外国人に言われたら反発を感じるところは私も日本人なのであるわいな、と思います)

個人的な思いこみでは、たとえば、如何に、環境保護の言葉を並べても、その言葉を聞く人達は「本当かな、どうなのかな」という疑いを抱きます。

しかし、きちんとした科学的データを元に、科学的な分析の方法を説明して語ると、その話を納得して頂けます。

そのような基本的な態度を維持して、これからも、思った事を「今日もまた」書きつづろうと思います。

マムシの哲、ハブ哲は目を光らせています。

雁屋 哲

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