久し振りに、「雁屋哲の食卓」を行きましょうか。
今回は、軽く、「ピピーの焼きそばです」
「ピピー」というのは、写真でお分かりの通り、ちょっと偏平で細長い貝です。
オーストラリアでは、これを、アサリの代わりに食べる。
仲々味の良い貝で、私の家では人気がある。
今日のピピーの焼きそばは私の家がよく行くシドニーの中華街の「富豪酒家(Regal Restaurant)と言う店の料理である。
大皿に人数分が大盛りになって出て来る。
茹でた細い麺を油で炒めて、焦がしてある。
一見、お焦げのような感じがする。
しかし、この麺が普通の中華麺ではない。
米の粉を使って作った麺である。
だから、癖がない。
柔らかく、気持ちの良い味わいと、歯ごたえを備えた麺である。
その麺を、表面はこんがりと炒め、中は柔らかく仕上げてある。
その上に、炒めたピピーをかけてある。
これも、単に、ピピー炒めただけではない。
そのまま食べたら、死んでしまうほど辛い唐辛子の断片を加え、日本で言えば浜納豆などと同じ、味噌の同類の大豆を発酵させた黒豆のソースで味を付けてある。
それを、個人の皿に取り分けるとこうなる。
私が、この店に行くと、人数に合わせて、6品から10品注文する。
うっかり注文しすぎると、その席に座った全員が、食べ物地獄を経験することになる。
お腹が一杯なのに、更に食べなければいけないというのは、時には拷問に等しい。
私と一緒に中華料理を食べる人は、最初の内は、「美味しい、美味しい」喜んでくれるが、終いには、困惑と憎悪の混じった表情で私を睨むことになる。
今日は、次女のボーイフレンドの送別会で、その男は普通の人間の三倍は食べる人間なので、今夜、私を恨むことはなかったと信じる。
どうぞ、一度シドニーでピピーを味わってください。
本当に美味しい貝ですよ。









