そんな情けない思いをしていたところに登場したのがスィート・ポークだ。
これは、日本で取り寄せていた黒豚に負けない旨さだ。しっとりした肉質、肉からにじみ出るうま味。また、脂身がとろりさらりとしていて、頬に笑い皺が増えてしまう。しかも、取り寄せる手間もない。近くの肉屋に行けばいつでも手に入る。
この豚肉を薄切りにして常夜鍋にすると、もう、これはたまりません。シドニーは生シイタケに限らず生のキノコ類が一年中手に入るので、鍋にはそのキノコ類を入れる。豆腐も入れる。
さらに、コス・レタスと言って葉の形が長くて歯触りも味わいもレタスそっくりの野菜(この、コス・レタスという名前は娘に聞いたもので正確かどうかは分からない。不正確でも構わないんだ。美味しいんだからね。日本のレタスより、もっとしゃくしゃくして鍋料理には持って来いだ)を入れる。これがまた、豚肉と妙に合うんだ。豚肉を食べてちょっと飽きたかなと言う時にこのコス・レタスを食べると、また豚肉に手が出る。切りがないね。
家族全員で鍋を囲んでふはふは言って食べちゃ、「ああ、又肥っちゃう。こんなに美味しくちゃ困るじゃないの」なんて罰当たりな事を言う。豚ちゃん有り難うっ!
勿論、トンカツも最高の物が食べられるようになった。私はカツ丼なるものが大好きだが、これは、揚げたてのトンカツで作るべきですね。私の家では、わざと沢山トンカツを作って翌日カツ丼にしたりカツ・サンドイッチにしていたが、やはり、カツ丼は揚げたてのトンカツで作らなければ駄目だ。スィート・ポークで作った揚げたてのカツ丼の素晴らしい事。
誰が考え出したか知らないが、カツ丼と言うのは本当に美味しいねえ。ああ言う物を考え出した人間にこそ、文化勲章や、国民栄誉賞などを差し上げるべきじゃないのか。
で、ふと考えたんだが、あちこちに牛丼屋はあるのに、どうしてカツ丼屋が無いのだろう。カツ丼は日本人以外にも好まれるし、だれか、カツ丼屋チェーンを展開しないかねえ。
さて、そのスィート・ポークの次に、シドニーに現れたのが、有機飼育の牛肉だ(こちらでは、オーガニック・ビーフと言う)。私は日本にいる時は頻繁にステーキを自分の家で焼いていた。ところが、シドニーに来てどうしてもこちらの牛肉が私の舌に合わない事が判明した。仕方がないので牛肉は野菜と炒めたり、味噌に漬けたりして食べるようになり、肉の味その物を味わうステーキは避けるようになった。
牛肉の旨さ その2
2008年5月6日(火)@ 13:31 | 未刊行 美味しんぼ塾
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