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	<title>雁屋哲の美味しんぼ日記 &#187; 雁屋哲の美味しんぼ日記</title>
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	<description>「美味しんぼ」原作者、雁屋哲の公式ブログ。</description>
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		<title>駄目なものは駄目</title>
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		<pubDate>Fri, 19 Mar 2010 13:39:11 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　そもそも、民主党などに期待はしていないと私は繰り返し言った。
　民主党の構成人員を考えればすぐに分かることで、民主党という党自身の構成に、深い疑いを抱いていた。
　恥にまみれた社会党を逃げ出した連中を始め、汚らしい人間 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　そもそも、民主党などに期待はしていないと私は繰り返し言った。<br />
　民主党の構成人員を考えればすぐに分かることで、民主党という党自身の構成に、深い疑いを抱いていた。<br />
　恥にまみれた社会党を逃げ出した連中を始め、汚らしい人間の集まりではないか。<br />
　ただ一人、高潔だった、石井紘基議員は、右翼の回し者に殺された。<br />
　石井紘基議員以外に、民主党に本当にこの日本を正そうという高潔な志を持った。議員がいるか。</p>
<p>　鳩山由紀夫を見よ。<br />
　毎月母親から一千五百万円の金を貰っていたことを知らないと言うなら、話にもならない魯鈍である。<br />
　さらに、毎月一千五百万円貰っていることを知っていながら、知らなかったと言うならこれは嘘つきである。<br />
　魯鈍も、嘘つきも、国を導いて行く人間としての資格はない。</p>
<p>　では、小沢一郎はどうか。<br />
　私は、１０年前に小沢一郎はきちんと法で裁いておくべきだったと思う。<br />
　政権党の民主党の幹事長になったから、と言ってあわてて検察庁が動いたことが滑稽でばかばかしいことなのである。<br />
　代議士の年収は、三千万くらいしか行かない。当然、政治献金を受けとることになるが、それが、どのように正しく処理され記帳されているか、それが問題だ。<br />
　いったい、代議士をしているだけで、どうして東京都内に三十億円もの不動産を購入できるのか。<br />
　あり得ないだろ。<br />
　その、政治資金問題は別にして、小沢一郎は何を目的としているのか。</p>
<p>　これまでの所、小沢一郎は、政治権力を握ることに自分の存在意義を掛けていると言うことしか分からない。それだけが、あの男の目的なのではないか。お山の大将になりたい。それだけである。<br />
　その政治権力を握った後、この日本をどう動かしていくのか、日本をこの絶望的な破滅の底からどのようにして救い出すのか、その計画なり、方向性なりを、一つも聞かせて貰っていない。</p>
<p>　今度の夏の参議院選挙で、民主党は勝つのだ、そう言う言葉は彼の周辺から聞こえてくる。<br />
　政治権力を一身に集めて、さて、それで何をするのかね。<br />
　小沢一郎からは、今や、アメリカの属国より更に下の、中国の属国になろうとしている、この、惨めな日本という国をどう救うのか、そんな言葉が聞こえてこない。</p>
<p>　金持ちが金を集めて金の使い道が分からなくて馬鹿な遊びをする。<br />
　小沢一郎を見ていると、江戸時代の金の使い道に困って遊び狂った御大尽を思い出す。<br />
　権力を集めたが、その権力で何をどうしたらいいか分からない。権力で遊び狂われたら、江戸時代の大店の勘当された若旦那の遊びより遙かに困るんだがね、どーじゃろかね、おーい！</p>
<p>　鳩山由紀夫総理大臣の目はうつろだ。<br />
　きょろきょろと、正に鳩が豆鉄砲でも食らったような目つきで周りを見回す。<br />
　言葉にはしまりがない。意味のある言葉を言えない。<br />
　すぐに前言を取り消す。それなら最初からしゃべるな。<br />
　小沢一郎は、牛舎の中で自分のたれたクソを練り回している性格の悪い牛のような目つきでちらちらと周りをうかがっている。</p>
<p>　ちきしょーっ！<br />
　これが、私の愛する日本国の上に立つ人間の姿なのか！</p>
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		<title>ご無沙汰しました</title>
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		<pubDate>Fri, 19 Mar 2010 03:07:34 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　ずいぶんご無沙汰してしまった。
　とにかく、今スピリッツに連載中の「美味しんぼ」「環境問題篇その２」にすっかり時間とエネルギーを取られて、ブログに書き込む余裕が仲々取れないのだ。
　環境問題は、色々取材して回ったのだが [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　ずいぶんご無沙汰してしまった。<br />
　とにかく、今スピリッツに連載中の「美味しんぼ」「環境問題篇その２」にすっかり時間とエネルギーを取られて、ブログに書き込む余裕が仲々取れないのだ。<br />
　環境問題は、色々取材して回ったのだが、いざ、漫画に書くとなると、取材したこと、書きたいことの百分の一も書けない。<br />
　それも、当然のことで、「美味しんぼ」はあくまでも漫画であって、漫画の場で問題解決の提案などすることは出来ない。<br />
　このような問題が起こっています、と言うことを読者に伝えて、問題提起をすることが役目だ。<br />
　そう割り切れば、いいのだが、それでも、その問題の取捨選択が難しい。<br />
　ページ数を幾ら使っても良いと言うのなら別だが、週刊誌には割り当てられた紙数がある。</p>
<p>　このブログをご覧の読者諸姉諸兄には良くお分かり頂けると思うが、私は、長々とたっぷり書く性質である。<br />
　短く書くのは苦手である。<br />
　実は、物を必要以上に長く書き込まず短く書くことは大変な技術を要することなのである。<br />
　それについては、「美味しんぼ」を始めるときに、自分に課したことが二つある。<br />
　（このことは前にも書いた覚えがあるが、くどいのは私の性分なので、また書きます）</p>
<p>　一つは、「読み切り形式にすること」<br />
　と言うのは、それまで私の描いてきた劇画は、連続物の大河方式とでも言う物で、次回も読者をして読ませようという気にさせるための「引き」を毎回最後に作る。<br />
　読者はその「引き」が気になって、つい次回も読もうと言う気になってしまう（のではないかと、書く方は期待しているが、必ずしもその策が上手く行くわけではない）。<br />
　しかしこれは、作劇術しては、少なくとも私には安易なように思えた。ちょっと話が苦しくなって上手く動かない、などと言うときに、思い切って派手な引きを作って、その週を乗切り次週で何とか形を作る、何てことも出来るのである。<br />
　しかし、毎回読み切りだとそうは行かない。毎回２０頁内外で起承転結をきっちりと収めなければならない。<br />
　これはかなり難しい。</p>
<p>　実は、劇画原作の大先輩、と言うより、劇画原作の創始者の一人である小池一夫先生（もう一人は、梶原一騎先生）はこの読み切り連載が非常に巧みである。<br />
　「子連れ狼」にせよ、「ゴルゴ13」にしろ、読み切り連載の醍醐味を味わわせてくれる。（「ゴルゴ13」は小池一夫先生が作ったキャラクターだと言うことを知らない人が多い。初期の「ゴルゴ13」はめちゃくちゃ面白い。物語も小池一夫先生がお書きになったからだ。漫画という物は、主要キャラクターを最初にしっかり作っておけば、その後の話は誰が書いても大丈夫なのだ。その良い例が「ゴルゴ13」だ。小池一夫先生が「ゴルゴ13」を離れた後、何十人の脚本家が話を書いたか知らないが、いまだに「ゴルゴ13」は不滅の人気を誇っている）<br />
　で、私も小池一夫先生を見習って読み切り形式に挑戦しようと思ったのである。</p>
<p>　もう一つの課題は、「人情噺にすること」。<br />
　食べ物の話は後味が良くないと困る。そこで、読んだ後気持ち良くなるように人情噺でいくことにした。<br />
　人情噺というと、インテリの人は軽蔑する。<br />
　インテリの人は暗くて絶望的な話が好きなのだ。<br />
　そんな、食べ物漫画は書きたくない。<br />
　だから最初から、インテリのゲンちゃんが何か偉そうなことを言っても、笑って聞流すことにした。</p>
<p>　しかし、実に残念ながら、この「環境問題」に関しては、自分に課した二つの課題を二つとも破ってしまった。<br />
　現在発売中の「美味しんぼ第１０４巻」「環境問題その１」は９話連続だし、人情噺はない。<br />
　今連載中の「環境問題その２」も９話連続で人情噺がない。</p>
<p>　これが辛い。<br />
　しかし、自分で設定した二つの課題を破ってまでも、私は、「環境問題」について、読者諸姉諸兄が考えるきっかけを作りたいと思ったのだ。<br />
　そんなこんなで、苦戦の日々が続いている。</p>
<p>　この一ヶ月、外に出たのは、編集者との打ち合わせで一度か二度だけである。<br />
　土竜のように、書斎に閉じこもっている哀れな日々である。</p>
<p>（土竜と言えば、スピリッツに連載中の「土竜の唄」いいねえ！最高！是非読んで下さい。<br />
　スピリッツでもう一つ私の愛読していた「アフロ田中」がなんと、オーストラリアに行ってしまった。編集者に、田中が、シドニーで私とビールを飲む場面を入れるように強要しよう。さもなかったら殺す！）</p>
<p>　前回は全然釣りに行けなかったが、今回は絶対に、岸壁からのルアーづりを、物にするぞ。<br />
　ところで、「美味しんぼ第１０４巻」買ってくださいね。<br />
　日本の環境を守るために。（なんて、格好付けちゃって。売れなきゃ出版社も私もとても困る、と言う理由 が大きい。と、ほ、ほ、ほ。）</p>
]]></content:encoded>
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		<title>草原の輝き</title>
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		<pubDate>Tue, 02 Mar 2010 11:38:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　ワーズ・ワースの有名な「草原の輝き」という詩がある。
　最近その詩が気になってならない。
　&#8221;Splendor in the Grass&#8221;
　William Wordsworth
　Though [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　ワーズ・ワースの有名な「草原の輝き」という詩がある。</p>
<p>　最近その詩が気になってならない。</p>
<p>　&#8221;Splendor in the Grass&#8221;<br />
　William Wordsworth</p>
<p>　Though nothing can bring back the hour of splendor in the grass,<br />
　of glory in the flower, we will grieve not.<br />
　Rather find strength in what remains behind.</p>
<p>　これを、試しに，私の今の心に合うように訳してみた。</p>
<p>　草原が輝き、満開の花が咲き誇っていたあの頃には<br />
　もう戻れない。<br />
　だが、嘆き悲しむまい｡<br />
　見出そうよ。<br />
　あの全てが盛りだったときの力が私達の中にまだ残っているのを。</p>
<p>　五十歳以上の人々に、私から贈ります。</p>
]]></content:encoded>
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		<item>
		<title>賞と言う物</title>
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		<pubDate>Mon, 01 Mar 2010 15:23:47 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　ノーベル賞という物を矢鱈有り難がるが、こんな賞は本当に有り難がるべき物なのだろうか。
　賞という物の性格からして、賞を与える側の思惑が一番強力に意味を持つ。
　その一番顕著な例がノーベル平和賞と文学賞である。
　ノーベ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　ノーベル賞という物を矢鱈有り難がるが、こんな賞は本当に有り難がるべき物なのだろうか。<br />
　賞という物の性格からして、賞を与える側の思惑が一番強力に意味を持つ。<br />
　その一番顕著な例がノーベル平和賞と文学賞である。<br />
　ノーベル平和賞は、佐藤栄作氏が授けられたことで、ノーベル平和賞はただの低劣で悪質なジョークだと言うことが明らかになった。<br />
　佐藤栄作氏以来、ノーベル平和賞だけは貰ったらおしまいだ、と言う人間が増えた。<br />
　オバマ大統領が平和賞を受けたが、佐藤栄作の後だったので笑いも起こらなかった。</p>
<p>　佐藤栄作氏にノーベル平和賞が与えられたときに、世界中の人間が大笑いに笑ったので、今回オバマ氏に平和賞が授与されたときに、すでに笑うエネルギーを失っていたのである。<br />
　ある日本の文学者は、ノーベル文学賞を喜んで貰っておきながら、日本政府が贈ろうとした文化勲章を拒否した。<br />
　そのニュースを読んだとき、あまりの恥ずかしさに、ウィスキーをＷで５、６杯飲まずにはいられなかった。<br />
　その文学者は、文化勲章は天皇から貰うので天皇制反対主義者としては貰うわけにはいかない、と言うような事を言ったと記憶している。</p>
<p>　では、スエーデン王室の過去はどうなの。惨憺たる残虐な殺し合いの末に保たれた王室ではないか。そう言う王室から勲章など貰っていいのか。<br />
　ノーベル賞と、日本の文化勲章との差違をきちんと語ってくれよ、ええ、こら、その文学者さん。<br />
　天皇制などという言葉を用いずに、人間が人間に賞を与えるというこのばからしさを、文学者ならきちんと分かるように話してくれ。（でも、ノーベル賞を喜んで貰ってしまったからには何も言えないだろうな）</p>
<p>　何を言いいたいかというと、私は最近シドニーで、大腸鏡検査を受けたのだが、それはつまり、日本人の学者と、オリンパスという会社の作った、グラス・ファイバー・スコープのおかげだと言うことなのだ。<br />
　この、グラス・ファイバー・スコープでどれだけの胃ガン、大腸ガンの患者が助かったことか。さらに、この、グラス・ファイバー・スコープを応用して、腹を開かずにファイバー・スコープを用いて手術を行うのが普通になった。<br />
　この、グラス・ファイバー・スコープが救った人間の数は数え切れない。<br />
　それなのに、ノーベル賞を与えられずにきているのだ。</p>
<p>　CTスキャンの場合、発明してから数年でノーベル賞を貰った。<br />
　確かに、CTスキャンは素晴らしい技術だ。<br />
　しかし、人の命を助けたことからすれば、グラス・ファイバー・スコープの方が遙かに役だっているしこれからも、検査・治療の中軸をになう物だろう。<br />
　その、グラス・ファイバー・スコープに賞を与えないノーベル賞は何か極めて強い政治的な偏りがあるように思われる。</p>
<p>　そう言うわけで、ノーベル賞などと言ういい加減な賞を有り難がるのは止めよう。<br />
　代わりに、「全人類を代表して感謝を捧げる賞」などを作りたいと思うが.じゃあ、その賞を決める委員会はどうして作るのか、などと言う問題がすぐ起こる。</p>
<p>　結論。<br />
　如何なる賞も、下らないから廃止すべきだね。<br />
　ただし、文学や漫画を志す若い人に道を開く新人賞だけは大事だし、人類の福祉に貢献した人を力づける賞も必要だ。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>大分旅行</title>
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		<pubDate>Sun, 28 Feb 2010 14:44:04 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　２月２０日、２１日と、田園調布小学校六年二組の同級会で大分県に行ってきた。
「美味しんぼ」では、「日本全県味巡り」というシリーズを続けているが、その最初の県が大分県なのである。
　そのきっかけは、当時の木下敬之助大分市 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　２月２０日、２１日と、田園調布小学校六年二組の同級会で大分県に行ってきた。<br />
「美味しんぼ」では、「日本全県味巡り」というシリーズを続けているが、その最初の県が大分県なのである。<br />
　そのきっかけは、当時の木下敬之助大分市長が我が六年二組の仲間の一人と大学で同級だったことで、その同級生の仲立ちで、大分県に来てみないか、と言うことになり、大分県を取材して回ったのがそもそもの「日本全県味巡り」の始まりだったのである。</p>
<p>　大分県に私が行ったのはその時が最初だったが、実に驚いた。<br />
　大分県は地図を見てもお分かりの通り大きな県ではない。<br />
　で、あるのに、様々な多様な文化を持っている。<br />
　これが一つの国なら分かるが、一つの県である。<br />
　大陸からの文化の入り口と言うこともあったのだろうが、実に面白い。<br />
　ここで書き始めると、止めどがないので、美味しんぼの第７１巻に大分県の特集をしてあるので、是非お読みいただきたい。</p>
<p>　私は、「日本全県味巡り」を始めるときに、読者が地方の郷土料理などに興味を抱くかどうか自信がなかった。<br />
　当時の日本は、フレンチだ、イタリアンだ、ファーストフードだ、とやたら欧米の食文化が旺盛を極めていて、郷土料理などには見向きもしないのではないかと恐れた。<br />
　私が、「日本全県味巡り」を始めようと思ったのは、当時のその風潮を耐え難く思っていたからだ。<br />
　自分たちの生まれ育った郷土にこんなに素晴らしい料理があるのに何が悲しくて欧米の食の真似をするのか、それも、ファーストフードなどアメリカでもジャンクフード（ジャンクとは、クズ、のこと）と呼ばれているような物を何を喜んで食べているのか。</p>
<p>　かつてフランスに、皆さんご存じの、美食家、ブリア・サヴァランという男がいて、「どんなものを食べているか言ってご覧なさい。そうしたら私は貴方がどんな人間か当ててみせよう（手元に本がないので正確に引用できないが、大体そう言う意味の事を言った。要するに、何を食べているかでその人間が分かる、ということだ。高級なものばかり食べていれば高級な人間かと言えばそうではない。毎日高級レストランで食事をすることは家庭的に極めて惨めであることを示してもいる。この言葉は、使い方によっては嫌みだが、正しく使えば、役に立つ。</p>
<p>　ある時、若い編集者が、『毎日深夜から明け方まで働いているので夕食は買って来た弁当だけです』というので、それは健康に悪い、だらだら仕事をしているから遅くなるんだ。さっさと仕上げて早く家に買って家で食事をしなさい、と言ったら、『印刷会社の仕事が始まる時間に合わせて原稿を送るために、こういう時間帯で働いているんです』と言ったので、そうとは知らず、勝手なことを言って悪かったと謝ったが、今になって考え直すと矢張りおかしい。夜の６時過ぎに全部仕上げて印刷会社に送っておけばいいわけではないか。やはり、何か出版社独特の文化があって、明け方まで会社に居残っていないと気が済まないのだろう。<br />
　サヴァラン風に質問して、毎日弁当を買って来て食べています、と答えたら、編集者か、IT産業の労働者か、いや、今はかなりの多くの人が弁当で夕食をすましているようだから、今の日本ではサヴァラン風の質問は余り意味がないかも知れない）」</p>
<p>　しかしですね、今回大分で、色々と気楽な料理屋で昼食を取ったが、大分の郷土料理である「団子汁」をメニューに載せている店が多かった。<br />
「今日の昼は『団子汁』を食べました」などと答えたら、その人には、１００点を差し上げたいね。<br />
　２０日の夜は、大分に詳しい方に紹介していただいて大分市城崎町の「寿楽庵」でふぐを楽しんだ。<br />
　ここのふぐは東京のふぐ屋のふぐの二切れくらいの厚みがある<br />
　厚いからと言ってもったりなどしておらず、私はその二切れで鴨頭ネギ（あさつきのこと）を巻いて食べました。<br />
　歯ごたえは勿論、しゃっきりもちもち、香りも味も深く、堪能しました。勿論白子も太くて大きい物が出て来て、同級生たちは泣いておりました。</p>
<p>　この店を紹介して下さった方が、なんと、モエ・エ・シャンドンのブリュット・アンペリアル（フランスの最高のシャンペンの一つ。ブリュットbrutは辛口の意味）の３リットルもの大瓶を差し入れて下さって、ふぐとシャンペンを合わせるという機会にめぐまれた。<br />
　シャンペンはワインの持つ不純物を徹底的に取り除いた物なので、ふぐとも衝突することがなく、実に案配が良かった。<br />
　ふぐとシャンペンの取り合わせなど、私なら思いつかないところで、その方のおかげで新しい味の世界を開くことが出来て、感動した。</p>
<p>　湯布院では、以前一泊して食事をした「亀の井別荘」で夕食を楽しんだ。<br />
　それはいいいのだが、驚いたことに、湯布院に来てみれば、１０数年前とは様変わり。<br />
　ひなびて静かで上品なところだったのが、何と「ここは原宿か」言いたくなるような風情。<br />
　色々と小じゃれた店が並び、大きな駐車場が出来て、大型の観光バスが何台も並んでいる。ハングルで一行名を書いた札を付けたバスが二台も停まっている。<br />
　韓国にまで知られる有名な観光地になってしまったのだ。<br />
　若い人達はこれでよいのだろうが、我々、昔の湯布院の姿を知る者としては落胆した。<br />
　この喧噪では、湯布院がかつて持っていた心洗われるすがすがしさを感じられない。</p>
<p>　しかし、「亀の井別荘」の料理の味は、以前と同じ極上。<br />
　ご主人の中谷さんの厳しい目が行き届いているからだろう。<br />
　料理で一番大事なのは、料理の腕前もさることながら、料理を貫く思想だ。</p>
<p>　東京に、私の愛していたレストランがあった。<br />
　シェフは数人変わったが、味はいつも極上だった。<br />
　それが、オーナーが亡くなったとたんに味が落ちた。<br />
　その時私は痛感した。レストランとは、プロデューサーが一番大事なのだと。<br />
　プロデューサーを失ったレストランは、船長のいない船と同じだ。<br />
　そのレストランは、結局つぶれてしまった。</p>
<p>「亀の井別荘」の料理の味が極上を保っているのは、プロデューサーとしての中谷さんの料理の思想が全ての料理人に伝わっているからだ。<br />
　この時期にスッポンは時季はずれだが、「湯布院は不思議なところで、この季節でもスッポンを飼っておけるんですよ」と中谷さんは仰言る。<br />
　味付けもしっかりしていて、実に美味しいスッポン鍋を味わった。<br />
　女性は美容に敏感である。「この、スッポンを食べるとお肌がつやつやになるんだよ」といったら同級生の女性たち、喜んでスッポンをしっかり食べた。<br />
　スッポンはグロテスクだと言っていやがる女性もいるのだが、我が六年二組の女性にそのような柔な神経の持ち主はおらず「こんなスッポンならまた食べたい」と意気軒昂。</p>
<p>　鯉の洗いも、川魚臭さが全くなく、さらりとしていて、しかも脂の乗り具合も良く、川魚は苦手なんだと言っていた同級生も、「これはおいしい。すごいよ」と感服していた。<br />
　何から何まで、「亀の井別荘」の味は、他の料理屋とは格が違うと思わされた。<br />
　実に堪能した。</p>
<p>　料理は素晴らしかったが、今度の旅行は実に疲れた。<br />
　と言うのは、良く歩いたからだ。<br />
　私は、宇佐八幡というのが昔から不思議で仕方がなかった。<br />
　例の、道鏡の件である。<br />
　道鏡は、孝謙上皇、のちの称徳天皇の信任が厚く、人臣最高の地位である法主に任ぜられた。<br />
　ついに、７９６年に宇佐八幡宮から「道鏡を天皇にすれば天下太平になるだろう」というご神託が下ったと伝えられた。その真偽を確かめるために、宇佐八幡宮に和気清麻呂が遣わされ、和気清麻呂はそのご神託は詐りであると報告したために、道鏡は天皇になれなかった。<br />
　称徳天皇が女性であるために、称徳天皇と道鏡の間のことについて、後生、道鏡をロシアの怪僧ラスプーチンまがいに扱った下卑た話が流布したが、実際は道鏡自身は優れた人物だったと言う説もある。</p>
<p>　いや、何が不思議と私が思ったかというと、天皇家にとって一番意味があるのは伊勢神宮なのに、どうして宇佐八幡宮が道鏡を天皇にすると天下太平になるなどと言うご神託を出し、それを宮廷が確かめに行ったかと言うことだ。<br />
　宇佐八幡宮と天皇の権力はそんなに近い物だったのだろうか。<br />
　長年それを不思議に思っていたので、今回、とにかく宇佐八幡宮を見てみたかった。道鏡と宇佐八幡宮の謎は、きちんと歴史の本を読まなければ分からないのは当たり前だが、とにかく、その宇佐八幡宮を実地に見てみたかったのだ。<br />
　そこで、同級生たちと行ったのだが、いやはや、その境内の宏大なことといったらあきれるばかり。延々と歩いて本殿まで達したときには、最早くたくた。<br />
　くたくたになるまで歩いたところで、分かったのは、神社とは実に空虚な空間だと言うことだ。</p>
<p>　元々神道と言う物は、空虚だ。<br />
　悪い意味の空虚ではない。<br />
　神道を理解するためにいったいどれだけの本を読んだか分からないが、書いてあることはみな同じ。ただ敬う、そのことだけだ。<br />
　教義という物がないのだ。こんな宗教は他にあるだろうか。<br />
　神社によって、その祀る神が違うと言うことが他の宗教では絶対に考えられないことだ。<br />
　例えば、江戸っ子に愛されてきた神田明神は、大己貴命(おおなむちのみこと)、少彦名命(すくなひこなのみこと)を祀る神社だが、境内には、平将門(まさかど)を祀る将門社がある。創建当初、近傍に将門の首塚があったことから、相殿(あいどの)にその霊を祀り、この地の守護神としたとも伝えられている。<br />
　江戸っ子は、その気っ風からして、お上に逆らった平将門を愛していて、神田明神と言えば平将門と思っていたのだが、明治の天皇制専制主義になって、天皇に逆らった平将門を祀る神社はまずいというので、色々ともめたらしい。</p>
<p>　そもそも宇佐八幡宮は、、八幡大神(はちまんおおかみ)、比売大神(ひめおおかみ)、神功(じんぐう)皇后を祭神とし、八幡大神、八幡大菩薩(だいぼさつ)を信仰の対象として建てられたのだが、宇佐八幡宮の縁起によると、５７１年頃、３歳の童児が現れ竹葉を立てて八幡神は八幡神応神(やはたがみおうじん)天皇の霊であると託宣したとある。そこで、その八幡神というのがそもそも、第十五代天皇の応神天皇だとされていて、その本宮が宇佐八幡宮なのである。<br />
　こんなことを、ユダヤ、キリスト、イスラムのような一神教を信じる人が聞いたら呆れるだろう。</p>
<p>　訳が分からないことに、この道鏡が天皇になることを防いだというので八幡神を鎮護国家神とする信仰が生まれて、それが、八幡神は王城鎮護、勇武の神として敬われるようになったというのだ。<br />
　とくに、武士には厚く信仰されて、鎌倉幕府の建てた鶴岡八幡宮など、日本中に八幡信仰が広まった。読者諸姉諸兄の家の近くにも、何とか八幡という神社があるのではないか。<br />
　実際に宇佐八幡宮の本殿に向かってみても、訳が分からないことには変わりはない。<br />
　ただひたすら、歩き疲れた。<br />
　帰り道、同級生たちと話したのだが、この宏大な神社をどうやって維持しているのだろうと不思議になった。<br />
　国からの援助があるわけがないし、氏子と言ったって周囲にそれだけの人口もない。やはり、八幡信仰を持ったお金のある人達によって維持されているのだろうと言うことになった。</p>
<p>　私は、宗教心という物を全く持っていない。と言うより、宗教と聞くと寒気がするような人間である。<br />
　私からすれば、宗教こそ、人類がもつ最悪の病気だ。<br />
　宗教によって救われた人間と、宗教によって精神も肉体も殺された人間と比べると、圧倒的に後者の人数が多いことは世界史を少しでも読めば分かることである。<br />
　そのような他者を絶対的に否定する宗教が多い中で、明治以後の国家神道を別にすれば、神道はただ敬って清潔に生きるということだけしかないさっぱりした宗教で、宗教の中では一番良いのではないかと思う。<br />
　明治以後の国家神道は、この清新な神道を汚した物であり、これは史上最悪の宗教の一つで、いまだに日本人のかなりの部分に悪影響を及ぼしているのは、情けないことである。</p>
<p>　宇佐八幡宮だけではない。<br />
　大分には他にも、青の洞門やら色々見て歩くところが多く、いつもは書斎に閉じこもっている私にとっては久しぶりの大運動会になった。<br />
　帰って来た翌日は、午後３時まで、起きられなかった。<br />
　体中が綿になった、と言う比喩はよく使われるが、その比喩を実感した。<br />
　くたくたに疲れたが、小学校の同級生たちとの旅行は最高である。<br />
　小学校の時の遠足を泊まりがけでしているようなもので、こんなに楽しいことはない。<br />
　すばらしい、同級生たちをもてたことが私の誇りであり、生き甲斐でもある。</p>
<p>　有り難きかな、田園調布小学校六年二組（１９５６年卒業）。</p>
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		<title>モンテクリスト伯</title>
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		<pubDate>Fri, 12 Feb 2010 13:48:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　去年の十一月から、鬱がぶり返し、毎日の大半の時間を鬱に必死に耐えるために費やしている。
「美味しんぼ」の環境編の第２部を書き始めたのだが、腸の具合も悪くなり、鬱と腹痛の二重苦でコンピューターの前に座る気もしない。
　予 [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　去年の十一月から、鬱がぶり返し、毎日の大半の時間を鬱に必死に耐えるために費やしている。<br />
「美味しんぼ」の環境編の第２部を書き始めたのだが、腸の具合も悪くなり、鬱と腹痛の二重苦でコンピューターの前に座る気もしない。<br />
　予定より大幅に遅れ、いつもは、花咲さんが絵を描き上げるよりずっと前に原稿を渡しているのだが、今回は、花咲さんが絵を描き終わったのに次の原作が仕上がらないという異常事態になってしまった。</p>
<p>　人間は、こう言う時に過ちを犯しやすい物で、鬱と激しい腹痛に苦しみながら目を書棚にさ迷わせていると、その目が「モンテクリスト伯」を捉えてしまった。<br />
　それも、Classique Garnier版の物である。<br />
「よせ、こんな時にフランス語の本なんか読むな」と自分に言い聞かせたのだが、手が伸びて本を摑んでしまった。<br />
「モンテクリスト伯」は、私の最愛の小説で、中学以来何度読み返したか分からない。<br />
　１９５５年に、河出書房版、世界文学全集の中の「モンテクリスト伯」上下２冊を、姉が父からから買って貰い、それを私が奪った。<br />
　今も手元にある本の裏とびらに「昭和三十年、八月二十六日、父より」として姉が自分の名前を書き込んでいる。</p>
<p>　姉は非常な達筆で、とても中学生とは思えない見事な字で書いてある。<br />
　字の上手い下手は生まれつきの物だと私は思う。良く、何でも練習すれば上手になるというが、字については、それは全く当てはまらない。私は、四十年近く物書きを商売として、この間に書きつぶした原稿用紙は何枚になるか計算すると気が遠くなるほどである。それほど、毎日字を書いていながら、書く字はますます下手になる一方である。</p>
<p>　それに対して、姉は、一日に何回という回数、それも、事務的な物を書くことが多いと思われる。<br />
　それなのに、感嘆するほど字が綺麗だ。お習字の先生になったら良いのではないかと思うほど素晴らしい字を書く。姉は、何も習字の勉強をした訳ではない。生まれつき、上手なのだ。姉に字を書いて貰ってそれを人に見せる度に、私は、ひどく誇らしい気持ちになる。<br />
　私は、何もかも、姉には頭が上がらないが、この字に関しては更に絶望的に姉には対抗出来ない。<br />
　姉の署名の横に、私の、ひどい字で「昭和三十六年　哲也氏に渡る」と書いてある。<br />
　姉から奪ったのは、その数年前だったのだが、あるとき姉が私の書棚にこの本があるのを見て「これは私のよ、返して」と言ったので、私が「もう、これは、僕のもんだい」といって上記の文句を書き足して今に至るまで持っているのである。（ひどい弟だ）</p>
<p>　もう、本の箱も茶色に変色し、ぼろぼろで、本自体、紙が茶色になっていて、しかも汗や食べ物のついた汚ない手で読んだのだろう、頁のあちこちにしみがついている。<br />
　河出書房版の上下２冊の「モンテクリスト伯」は私の生涯の宝物で、あと何年生きられるか分からないが、生きている間は何度も読み返そうと思っている。<br />
　この、Garnier版は、１９７８年に出版された物で、と言うことは、私がパリに行けるだけの生活の余裕が出来てから、バリで買ったものだ。<br />
　バリの古本屋で本を買うと、その裏表紙に、その値段が鉛筆で書いてある。<br />
　この本の裏表紙にも、鉛筆で、値段などが書き込んであるので、新本屋ではなく古本屋で買ったのだと思う。<br />
　ついでだが、バリの古本屋は大変に律儀である。<br />
　探している本の作者と本の題名を言って、店にない場合、古本市場を探して後で届けるという。<br />
　で、日本の住所を書いておくのだが、本が見つかると、日本まで送ってくれる。<br />
　本の代金と送料は、本と一緒に知らせてくれる。<br />
　私が本だけ受取って、お金を払わなかったらどうなるか。<br />
　全くの信用商売である。<br />
　これが、同じフランス人どうしなら分かるが、私のように日本に住んでいる人間に対しても全く信用一本で、貴重な本を送ってくるのである。</p>
<p>　神田神保町の古本屋も、バリの古本屋のように、外国人を信用して本を送るのだろうか。<br />
　私は、何度かバリの古本屋に注文したが、間違いのあった試しがない。いつも、頼んだ本を極めて短期間の間に探して送ってくれた。<br />
　私は、１０年くらい前までは、結構フランス語に自信があったのだが、股関節と膝の関節入れ替えで、全身麻酔と、大量の輸血を三度も受けて以来極端に（体力と共に）記憶力が低下し、幾つものフランス語や英語の単語の意味を忘れてしまった。（カンガルーの血を輸血されてしまったのだ、と冗談に言ったら日本人の殆どは文字どおり信用しましたね。日本人の知的水準はどうなっているんだ、と私は嘆きました）</p>
<p>　さらに、鬱病の薬も記憶力を衰えさせるようだ。<br />
　毎週送られてくるTimeを読むのにも、「あ、辞書が必要だ」と思ったりするくらいで、フランス語となると日常的に読んだり聞いたりする頻度が極端に低いので、忘却の程度はさらに甚だしい。<br />
　その状態で、「モンテクリスト伯」をGarnier版を辞書を引かずに読むのは非常に辛いのだが、「モンテクリスト伯」の場合、山内義雄訳の河出書房版を何度も読んで各章を細部に至るまで記憶しているので、フランス語の単語が少しくらい分からない程度では全く困らない。<br />
　鬱のどん底にある人間特有の異常な精神状態で、私はGarnier版をブンブン読んでしまった。<br />
　と言っても、私が一番読みたいと思っていたのは、主人公であるエドモン・ダンテスが１４年間無実の罪で閉じ込められていたシャトー・ディフの牢獄から脱出するところと、モンテ・クリスト島で宝物を発見するところだった。<br />
　その部分は、何度も読んで、その度に興奮していたのでGarnier版で、フランス語で読んでも全く苦にならず、ますます興奮して読み返した。</p>
<p>　フランス語の単語を忘れはしたが、中学生の頃から何度も読み返したと言うのは大変な強みで、単語など忘れていても、話はずんずん頭に入ってくるのである。<br />
　とは言え、矢張りフランス語なので読むのに時間がかかる。日本語で読む数倍時間がかかる。<br />
　こんなことを、「美味しんぼ」の原稿を書かなければならない時にしてはいけない、と自分を責めながら、しかし、あまりに面白いので止められない。<br />
　流石に、ダンテスが以前世話になった、恩人に恩を返す所まで読んで、「美味しんぼ」に戻った。</p>
<p>　先週の分を書き終わって、直ちに、「モンテクリスト伯」に戻ったが、ダンテスが復讐を始める段になると、やたらと会話の部分が長くなり、フランス語で読むのは辛くなったので、山内義雄訳の１９５５年出版の、河出書房版の古い本を開くことになった。<br />
　山内義雄と言う人はすごい人で、驚いたことに、Amazonで調べてみると、「モンテクリスト伯」の日本語訳の本は山内義雄氏の物しかないのである。（他に、翻訳した人の物が提示されているが、その総ページ数の少なさから、意訳か、部分訳であることが想像される。完訳は山内義雄氏の物しかないようだ。その他の、「モンテクリスト伯」を変形した物は除く）<br />
　これは、山内義雄氏が凄いのか、日本人が「モンテクリスト伯」に対して興味を抱かないのか、そのあたりは私には分からないが、それにしても、１９５０年代から今に至るまで、山内義雄氏の「モンテクリスト伯」の翻訳本が幾つかの出版社から出ていることは驚くべきことである。</p>
<p>　山内義雄氏の翻訳のすごさは、最後にある。<br />
「モンテクリスト伯」の最後に、１４年間の地獄のような牢獄生活、それからの長い厳しい復讐の年月を経て、エドモン・ダンテス（モンテクリスト伯）がフランスを離れる時に、自分の恩人の息子に残す言葉がある。<br />
　それは、フランス語では、</p>
<p>　Attendre et espèrer!</p>
<p>　である。</p>
<p>　山内義雄氏の翻訳では「待て、而して希望せよ！（待て、しこうして希望せよ）（而しては、『しこうして』、ではなく『しかして』と読む人も多い）となっている。<br />
　この文章の翻訳の仕方も色色あると思うが、私は、この山内義雄氏の翻訳になる「待て、而して希望せよ」が、一番最初に読んだせいか、一番心になじむ。ここに、山内義雄氏が「モンテクリスト伯」を翻訳してきた総決算があるような気がする。この、フランス語も凄いが、山内義雄氏の翻訳による日本語も凄い。<br />
　そしてこの、「待て、而して希望せよ」という文句が、私の人生で何度も私を救ってくれた。<br />
　非常に辛くて、先が見えないくらい辛い時にも、私はこの文句を唱えて自分を落ち着かせてきた。<br />
　今の今も、鬱と体調不調に苦しみながら、「待て、而して希望せよ」とまるで祈祷文を唱えるように口に出して繰返している。<br />
　私は、色々苦しんでいる若い人達にこの言葉を贈りたい。</p>
<p>「まて、而して希望せよ」</p>
<p>　そして、読者諸姉諸兄よ、まだ、「モンテクリスト伯」を読んだことがないのなら、今直ちに本屋さんに駆け込んで、注文して下さい。<br />
　本屋さんですよ。Amazonはだめ。<br />
　町の本屋さんの数が激減している。<br />
　町の本屋の数が、その町の文化程度を示す物であることは洋の東西を問わず確かなところです。<br />
　町の本屋がこんなに減っていく日本は、もはや文化国家ではない。<br />
　お願いだから、読者諸姉諸兄、本はネットで買わず、町の本屋に注文して買ってください。<br />
　送料もかかりません。ただし、ネットで注文するより１日２日遅いかも知れない。<br />
　しかし、その１日２日が本の価値の本質と何の関係があると言うんですか。<br />
　便利さ第一におどらされて、本屋という文化を支える物を失ってはおしまいです。</p>
<p>　何を言いたいかというと「モンテクリスト伯」を本屋に注文して、皆で読もう、と言うことです。<br />
　こんなに面白本は他にない、と私は太鼓判を押します。<br />
　この本を読まずに死ぬなんて、それは、惨めな人生だと、敢えて私は言います。</p>
<p>　鬱病の最中に、こんな文章を書いて、鬱がますますま進行してしまった。<br />
　どうすればいいんだろう。</p>
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		<title>悲しい国だね</title>
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		<pubDate>Mon, 01 Feb 2010 00:20:44 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　米原万里氏の書いた「打ちのめされるようなすごい本」という、本の書評とエッセイの合わさったような本がある。
　打ちのめされるのは、米原万里氏の紹介した本よりも、米原万里氏本人にである。
　その知識、頭の良さ、見る目の鋭さ [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　米原万里氏の書いた「打ちのめされるようなすごい本」という、本の書評とエッセイの合わさったような本がある。<br />
　打ちのめされるのは、米原万里氏の紹介した本よりも、米原万里氏本人にである。<br />
　その知識、頭の良さ、見る目の鋭さ、潔癖さ、人間を完全に信じるその心の豊かさ。<br />
　２００６年にガンのためになくなってしまったが、どうしてこのような素晴らしい人がこんなに若く亡くなってしまうのか。</p>
<p>　むかし、神は才能のある人間を早く自分の手元に上げたいので、美しい人才能のある人間は早死にをするのだ、と言われていた。<br />
　そうとでも思わなければ、とても納得がいかない。<br />
　私のような下らない人間がのうのうと生き延びているのに、米原万里氏のように「打ちのめされるようなすごい人」が若くして亡くなってしまう。<br />
　米原万里氏はこの「打ちのめされるようなすごい本」の中に、これはどうしても読まなければならないと思う本をいくつも取り上げているが、そのなかで、今日の話題にふさわしいのは「もっとも恐ろしい武器とは」という副題付きで、高木徹著「戦争広告代理店」を取り上げた頁だろう。</p>
<p>　２１世紀にもっとも恐ろしい武器となるのは情報である、と言う真実を雄弁に裏付ける本である、と米原万里氏はこの本を紹介する。</p>
<blockquote><p>「本書では、メディアに乗せられた情報が戦争の趨勢に決定的な役割を果たす様が、ユーゴ内戦時、新興国ボスニアに雇われたアメリカの広告代理店の活躍を通して伝えられる。対セルビア戦を有利に展開し、国際的承認を勝ちとるまで、ボスニア政府首脳に言葉遣いから発言のタイミング、敵に不利な情報を流すためのネーミング（例えば「民族浄化」という語によってナチスを連想させる）など、手取り足取り指導して行く様が具体的に紹介されている。これでもかこれでもかと、セルビア武装勢力による残虐行為を世界中のメディアにばらまく一方で、ボスニア側による勝るとも劣らない蛮行は巧妙に伏せられ、先進国、わけてもアメリカの戦いには「人道と民主主義」とい名分があると世論に浸透させる。」</p></blockquote>
<p>　ここからが大事なので、きちんと読んで欲しい。</p>
<blockquote><p>「偽情報であれ一面的情報であれ、大量に繰返し叩き込まれたそれは、事実以上の重みを持って人びとの意見を立場をコントロールしていく。」</p>
<p>「圧倒的に多数の人びとは自由なる意志に基づいて、己の意見や立場を決定していると無邪気に思い込んでいる。あたかも自身の意志で、さして必要もない商品を喜々として買い求め、インタビューに際しては、テレビキャスターや新聞の論調を反復する。（中略）それが情報操作の結果であるなんてつゆほども思わない」（本書４７１頁）</p></blockquote>
<p>　誠に、恐ろしい話である。高木徹氏はボスニアとセルヒアの戦いについて語っているのだが、米原万里氏はそれを現在の日本の状況に布衍して語っている。<br />
　そして現在、それが現実になっている。</p>
<p>　今朝の毎日新聞の世論調査の結果によると、小沢氏の辞任を７６パーセント人が求めている。<br />
　この人たちは、何を根拠に、自分たちの態度を決めたのだろう。<br />
　毎日検察が垂れ流すリークを、それが正しいかどうか検証することなく紙面に載せていく新聞、ニュースで流すテレビ、その影響によるものだろう。<br />
　要するに、７６パーセントの人びとはテレビ、新聞を操る検察の意のままに、彼らの言葉を反復しているに過ぎない。<br />
　これまでの新聞やテレビの通じて知った限りでは、私自身、小沢一郎氏がどんな罪を犯したのか犯さなかったのか、分からない。検察のリークからだけでは何事も判断できない。今までのリークから判断すること自体が間違いだ。リークは証拠にはならないのだ。それなのに、この７６パーセントの人びとは何を根拠に小沢一郎氏の辞任を求めるのだろう。</p>
<p>　この検察のやり方は本当に恐ろしい。<br />
　無罪か有罪かはっきりしないうちに、いかにも有罪と思われる情報を垂れ流しにして、人びとを操る。戦争広告代理店のやり方と全く同じだ。小沢一郎氏に負の印象をこれでもか、これでもかと植え付けてきた。<br />
　この手を使えば、どんな人間でも、その社会的地位を失わせることが出来る。<br />
　逮捕した石川議員がこんなことを言っている、などと、平気でばんばん流している。それは、違反だろう。公判で言っていることではない。検事に対して言っていることである。これを表沙汰にする権利が検事にあるのか。<br />
　これでは、公平な裁判など期待出来る訳がない。<br />
　司法制度が公平に出来上がっている先進国から見たら、日本のこの状況は信じられないほどでたらめなものに見えるだろう。検察のしたい放題がここまで許されては、民主主義も何もあった物ではない。検察という大きな権力を握った者の思い通りだ。</p>
<p>　小沢一郎氏が怪しいのは、１０年も前のことからだろう。なぜその時にきちんと調べておかなかったのか。<br />
　どうして、民主党政権が出来てから慌てて、鳩山、小沢と、やり玉に挙げ始めたのか。<br />
　小沢一郎氏は野党にいたから、西松建設などから献金を貰っても、賄賂として追及できない。<br />
　せいぜい、帳簿の付け方という形式的なことになってしまうだろう。<br />
　一方、自民党の二階氏は、自民党の権力者と君臨し、小沢一郎氏より多額の金をあちこちの建設会社から貰っている。和歌山県に行ってみればすぐに分かる。あの道も、橋も、トンネルもぜんぶ二階先生が作ってくれたという。完全に収賄罪が成立する。<br />
　その二階氏には検察は手を出さない。小沢一郎氏よりはるかに、二階氏を洗う方が政界浄化として意味があるのにそれをしない。<br />
　検察の意図はあまりに見え見えである。検察は政界を浄化したいのではない。自分たちにとって邪魔な小沢一郎氏を取り除きたいだけなのだ。<br />
　見事に、検察は、小沢一郎辞任要求７６パーセントという世論を獲得した。何の証拠もなしに。ただ、疑いがある、疑いがある、というだけで。国民は見事におどってくれた。</p>
<p>　悲しい国だね。日本って。</p>
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		<title>ポチのファッションモデル・デビュー</title>
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		<pubDate>Tue, 26 Jan 2010 04:10:59 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　ええ、また、こんち、我が家の老犬ポチのお噂で失礼致します。
　オーストラリアのアパレル会社 TiAmo Intimates の秋用のファッションのカタログに、オーストラリア有数のファションモデルとならんで登場したのでご [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　ええ、また、こんち、我が家の老犬ポチのお噂で失礼致します。</p>
<p>　オーストラリアのアパレル会社 TiAmo Intimates の秋用のファッションのカタログに、オーストラリア有数のファションモデルとならんで登場したのでございます。</p>
<p>　このモデルは、御年４２歳だそうですが、中年女性向けのファッションのモデルとして有名なんだそうです。（ファッション衣料は若い人だけのものではありませんからね。むしろ、懐具合が良く購買力の高い中年以上の女性の方がファッション会社としては狙い目で、従って彼女のようなモデルの出番が多いのです）</p>
<p>　これが、カタログに載った写真（クリックして大きくして見て下さいね）</p>
<div class="center"><a href="http://kariyatetsu.com/wp-content/uploads/2010/01/PochiWeb.jpg" rel="shadowbox[post-1213];player=img;" title="ポチのモデルデビュー"><img title="ポチのモデルデビュー" src="http://kariyatetsu.com/wp-content/uploads/2010/01/PochiWeb-150x150.jpg" alt="" width="150" height="150" /></a></div>
<p>　ポチが、ファッションモデル・デビューした陰には、次男のガールフレンドがいます。</p>
<p>　彼女は、このカタログを作る仕事に関わっています。</p>
<p>　オーストラリアでは、普通の個人の家をテレビの撮影やファッションの撮影に使うことが多い。私の隣の家でも、ちょっと前にテレビか何かの撮影が行われていた。</p>
<p>　次男のガールフレンドが、隣家の奥さんに使用料を尋ねたら、「一日１０００ドル」と言われて、それなら、ただで使える我が家を使おうと言うことになったそうです。私の家で撮影の準備を色々して大変だったようです。</p>
<p>　その時、私たち夫婦は日本にいたので、知りませんでした。残念、私がいたら、１０００ドル以上ふっかけて金儲けをしたのに。</p>
<p>　コマーシャル用にペットを貸出す会社もありますが、ポチも無料出演です。</p>
<p>　なんて、お金の話をしましたが、私たちはポチがこんな有名なファッション・モデルとならんでカタログに登場しただけで大変に満足です。</p>
<p>　いい思い出になります。こちらからお礼をしたいくらいです。</p>
<p>　ところで、ポチという名前をきくと、雄犬のように思われるかも知れませんが、れっきとしたレディです。「犬の名前はポチに決まっている」と私が、家族の反対を押し切って強引に命名したのであります。</p>
<p>　で、家族の者は、「ポチ子」、などと呼んだりしています。</p>
<p>　それにしても、もうじき１６歳と言うことは人間の年齢にすると９０歳を超えるそうで、その年でファッションモデル・デビューとは、立派なもんじゃありませんか（え？　自分で自分の家の犬を讃めてどうするって？　ま、それは、犬馬鹿というやつで、大目に見て下さい）</p>
<p>　年齢が年齢だから、ファッションモデル・デビューしたから、どんどん、モデルの仕事を下さいとは言えない。</p>
<p>　如何に何でも高齢過ぎて、獣医である次女の見立てによると、９月まで持つかどうかと言うところだそうで、この写真を撮る時も、次女が背後でいろいろと助けの手を出しているのです。</p>
<p>　そうなると、この写真がポチにとってデビューでありフィナーレと言うことになります。</p>
<p>　そう思って、このカタログ写真を見ると、胸に迫る物があるのです。</p>
]]></content:encoded>
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		<title>犬が欲しい</title>
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		<pubDate>Fri, 22 Jan 2010 15:33:35 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

		<guid isPermaLink="false">http://kariyatetsu.com/nikki/1211.php</guid>
		<description><![CDATA[　良く、人は犬好きと猫好きに分かれて、犬好きは猫が好きではなく、猫好きは犬が好きではない、と言われている。
　それが私には全く理解できない。
　私は犬も猫も大好きである。
　私の人生の中で、自分の周りに犬や猫のいなかった [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　良く、人は犬好きと猫好きに分かれて、犬好きは猫が好きではなく、猫好きは犬が好きではない、と言われている。<br />
　それが私には全く理解できない。<br />
　私は犬も猫も大好きである。<br />
　私の人生の中で、自分の周りに犬や猫のいなかった時期は極めて短い。<br />
　今、私は犬が欲しくて欲しくて仕方がない。犬が欲しい欲しい病に罹っている。<br />
　私の家には、１６歳のラブラドールのポチがいるが、ポチは次女の犬であって、私はビスケットをやったり頭を撫でたりしているが、それは、ポチの次女への愛情のおこぼれを頂戴しているだけだ。ポチの主人はあくまでも次女であって、私ではない。</p>
<p>　私の家の周りには犬好きが多く、道を歩くと犬を連れて散歩している人達にしょっちゅう出会う。<br />
　すると、私は、その人の連れている犬から目が離せなくなる。ああ、かわいい。欲しい。<br />
　胸の奥がうずくのである。つい、つれて歩いている人に、「可愛い犬ですね」などと声をかけてしまう。犬連れの人は、自分の犬を讃めて貰うと本当に嬉しそうな顔をする。ちょっとの間犬を挾んで立ち話をしたりする。最近はオーストラリアでも小型犬が人気があるようで、大きな体のオーストラリア人が小さな犬を連れているとちょっと釣り合わない感じがする。</p>
<p>　では、自分の犬を飼えばよいのだがそうも行かない理由がある。<br />
　私と妻は長期の旅行に出ることが多い。今までは、そう言う場合子供たちが犬の面倒を見てくれていたが、子供たちもそれぞれ仕事を持って家にいることが少なくなると、犬の面倒を見て貰うことが出来ない。<br />
　それに、３年前に、もう一匹の犬に死なれたことがいまだに応えていて、自分の飼い犬に自分より先に死なれることを異常に恐れているのである。</p>
<p>　むかし、フィラリアの良い薬がなかった頃、犬は大体３年から４年で死んだ。子供の頃から何度、犬や猫に死なれて泣いたことだろう。田園調布の家の庭には、死んだ犬や猫を埋めたから、後であの土地を買って整地をした人はあまりに多くの犬や猫の骨が出て来たので驚いたのではないかと思う。</p>
<p>　犬や猫に死なれるのは本当に辛い。だから、私は、次に犬や猫を飼うのは、私があと２、３年の寿命と分かった時まで待つことにした。<br />
　犬に看取って貰って死ぬのだ。<br />
　と言うと、娘たちは異議を申し立てる。</p>
<p>　普通の人は、ペットを残して死ぬのがいやだから、年取ったら飼わないようにするのよ、と言う。<br />
　他の人のことはどうでも良い。私は、犬に看取られて死にたいのだ。犬の死ぬのを看取るのはもうまっぴらだ。さんざん看取ってきたんだもの。</p>
<p>　今朝、起きたら、私たちの寝室の前の廊下に、ポチが「ポロ」を三つ落としていた。<br />
「ポロ」とは早い話が、うんちのことである。<br />
「ポロ」と言うくらいだから、ころころしていて、床を余り汚すことはない。しかし、洗浄用のスプレーをかけ、紙タオルなどで拭いて、結構手間がかかる。<br />
　このところ、頻繁に「ポロ」を落とす。<br />
　自分で下の始末が出来なくなったら、もう、人間も犬もおしまいだ。<br />
　次女も、ポチの寿命はもう長くないと覚悟しているようだ。<br />
　近所に、牧羊犬の兄弟がいて、これがポチととても仲良しだった。<br />
　しかし、二匹ともお馬鹿さんで、あるとき飼い主が帰ってきたのを見て喜んで二階のベランダから飛び降りて二匹とも足を折った。<br />
　それが応えたらしく、二匹の内の一匹はそれからすぐに死に、残りの一匹も去年死んだ。<br />
　この、牧羊犬とポチが大変な仲良しで、もう双方共に老犬なのに、散歩の途中で合うと、子犬の頃と変わらぬ様子で、楽しそうにじゃれ合った。</p>
<p>　やはり、犬にも相性という物があるんだな。<br />
　ポチは、よその犬には大変に攻撃的で、相手が何もしないのに歯をむいて威嚇したり、ひどい時には襲いかかったりするのだ。（しかし、弱いので逆にやられるのが情けない）<br />
　私たち家族が一番恐れているのは、ポチが死んだ時に、次女が狂乱状態に陥るのではないかと言うことだ。<br />
　家族全員、ポチが死んだら、次女の姿を見たくないから、しばらく家に近寄らない、などと言う。</p>
<p>　しかし、命有る物は必ず死ぬ。<br />
　今の内に毎日可愛がっておこう。<br />
　ポチはとてもきれいで、お利口さんの犬なんですよ。（と書けと次女に命令されました）</p>
<p>　ところで、犬にはタマネギとかネギは食べさせてはいけないんだね。次女が学校で学んできて初めて知った。<br />
　それまで、タマネギ入りのハンバーグなんて、喜ぶから食べさせていたんだが、貧血などの悪影響をあたえるらしい。</p>
<p>　ああ、犬が欲しいな。<br />
　友人の家に行ったらシーズーがいた。猫よりちょっと大きいが膝に載せられる。<br />
　おとなしくて抱かれているのも好きなようだ。<br />
　シーズーがいいな、といったら、娘たちが驚いて、「ええっ！お父さんがシーズーを！」だってさ。<br />
　私の趣味ではないと思っていたらしい。確かに、ちょっと面白い顔をしているな。</p>
<p>　柴犬もいいな。<br />
　きりっとしていて、愛らしくて。</p>
<p>　ああ、犬が欲しい。<br />
　今日大腸検査をしてきたがどこも悪いところはなかった。<br />
　まだ寿命はあるみたいだ。<br />
　となると、当分犬は飼えないな。</p>
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		<title>小沢一郎殺し</title>
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		<pubDate>Tue, 19 Jan 2010 14:15:32 +0000</pubDate>
		<dc:creator>雁屋 哲</dc:creator>
				<category><![CDATA[雁屋哲の美味しんぼ日記]]></category>

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		<description><![CDATA[　現代の特高、検察は、小沢一郎を殺す気だな。
　戦前の特高警察は、自分の好きなように被疑者を捕まえてきて、拷問にかけて、自分たちの求めるような自白をさせるのが仕事だった。
　特高とは「特別高等警察」のことで、戦前の日本の [...]]]></description>
			<content:encoded><![CDATA[<p>　現代の特高、検察は、小沢一郎を殺す気だな。</p>
<p>　戦前の特高警察は、自分の好きなように被疑者を捕まえてきて、拷問にかけて、自分たちの求めるような自白をさせるのが仕事だった。<br />
　特高とは「特別高等警察」のことで、戦前の日本の思想に関わることは、特高と憲兵隊が仕切っていた。<br />
「蟹工船」の作者、小林多喜二は１９３３年２月２０日に築地警察署に捕まり、警視庁特高係長中川成夫が指揮を取って小林多喜二を寒中丸裸にして、杖や棒で打ち打擲した。<br />
　小林多喜二はその日のうちに、死んだ。<br />
　当時の特高警察は、今で言うところのムームーのような上っ張りを制服の上に来て、被害者を拷問した時に飛び散る血で、制服が汚れるのを防いだという。<br />
　殺されて帰って来た時、小林多喜二の睾丸はスイカのような大きさに紫色にふくれあがっていたという。<br />
　小林多喜二を殺した特高警察の面々は、戦後も何一つ問題なく安楽な日々を過ごし天寿を全うした。<br />
　目出度し、目出度し、である。いい国だよ、日本て国は。</p>
<p>　現在の特高である、検察は、流石に小林多喜二にしたような暴力的な拷問は出来ないだろうが、もっと高度で効果的な精神的拷問術を心得ている。<br />
　小沢一郎が昔から、心臓に持病を抱えているのは周知の事実である。<br />
　この心臓に不安を持った男を尋問（と言う名の拷問）にかけるのは、特高の体質を受け継いだ検察の役人たちにとっては、舌なめずりをしたくなるほど、楽しいことだろう。<br />
　ここまでに既に、検察のリークによって、小沢一郎はかなり痛んでいる。<br />
　ここに、更に呼び出して、ねっちりと、マムシがカエルをあしらうような陰険で執拗な精神を痛めつける取り調べを行えば、小沢一郎の心臓は持たない。<br />
　肉体的な暴力よりも、精神的ないたぶりが、その人間に対する破壊的な効果を遙かに上げることは知られている。<br />
　私は、小沢一郎の、あの蓄財趣味が全く理解できないが、それが、彼の命を取る理由になるとは思えない。<br />
　第一、この、日本航空の破綻を始め、日本の国力が真っ逆さまに落ち込んでいるときに、小沢一郎を殺すことは検察のする仕事なのか。<br />
　小沢一郎を攻めるなら、三年ほど前にきちんとしておけば良かった。検察が今問題にしているのは、その頃の問題だからだ、。そうすれば、民主党が政権を取ることもなっかただろうし、検察の官僚諸君が今になって慌てる必要もなかっかたのだ。<br />
　民衆党が政権を取ったから慌てて小沢攻撃を始めた、ところが情けない。<br />
　こう見ていると、日本の検察官僚は本当に先の読めない、とろい人間ばかりがそろっているね。頭の悪さが際立っている。東大の法科卒がそろっているから仕方がない。東大の法科卒と言えば、本当に頭の悪い人間がそろっているからね。</p>
<p>　ここまで来て騒いで、この国をどうするつもりなの。<br />
　やくざの方が、遙かに国のことを考えているよ。</p>
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