雁屋哲の今日もまた

2016-03-22

またまた、ご無沙汰を

このブログを再開すると言ってから、また休止してしまいました。

2015年の末から、2016年の始めに掛けて、転倒してすねの骨を折ったり、更に転倒して肋骨にひびを入らせたり、しかも途方もなく悪質な風邪にかかって、三ヶ月近くも苦しんだり、散々な目に遭い、ブログを書く気力がなかったのです。いまだに、声が良く出ません。折角の美声なのに、とみんなに言われてくさって居ます。

放送業界の人に声優になれと言われた声なのに、声が出なければ仕方がない。

どうもね、人生仲々思うように行かない物ですよ。

このまま消えてしまおうかな、と強く思ったのですが、黙って見過ごすことの出来ない事柄が続けて起こっているので、どうしても何か言いたくなってしまう。

どうせ、何を言っても仕方がないだろうし、言いたいことを言わずに済ませるのが一番楽なことであることも分かっているけれど、何も言わないのもかえって苦しい。

で、仕方がない。

思っていることをまたちょろちょろと言うことにしました。

しかし、何かを言うその前に、「美味しんぼ」について述べておかなければならないでしょう。

「美味しんぼ」は現在休載しています。

ずいぶん長い休載ですが、終了したわけではありません。

ただ、再開云々については、今、私の一存では言えません。

その機会が来れば、スピリッツ誌の編集部から、読者の皆さんにお知らせすることになるでしょう。

念を押しておきますが、今回の休載は、例の鼻血問題で各方面から圧力がかかったからではありません。

鼻血問題とは、全く関係がありません。

それに、たとえどの方面から、どのような圧力がかかろうとも、スピリッツ編集部、小学館は勿論、作者である私も、それに屈することは絶対にありません。

「美味しんぼ」は、これまでにいくつかの企業、団体から、気にくわないことを書いたと言うことで、攻撃を受けて来ました。

「美味しんぼ」一つのために、小学館の発行する雑誌の全てに対する広告の出稿を止めて圧力を掛けてきた企業もあります。

広告の出稿停止は、出版社にとって大きな痛手です。

それでも、私も、スピリッツ誌も、小学館も、そのような圧力に屈することなく、必要であれば、政府、大企業、各種団体を遠慮なく批判してきたという実績があります。

今回も、鼻血問題が騒がれたあとも、スピリッツ誌編集部も小学館も私の意見に何一つ干渉することなく、「福島の真実編」を途中で掲載中止にするようなこともせず、最後まできちんと連載を続けました。

小学館は、弱い立場にある私達物書きが、自由に発言できるように守ってきてくれたと私は心から感謝しています。

ただ、「美味しんぼ」は、基本的に食べ物を主題にしており、原発問題だけを取り上げる漫画ではありません。

その点は誤解のないようにお願いします。

必要があれば、これからも原発問題に触れることもあるでしょうが、食べ物に関しては、まだ様々な題材があるので、原発問題に留まることなく、話の幅を広げ、より面白い漫画にしていくつもりです。

しかし、いくら何でも連載30年は長すぎだ。

そろそろ終わりにしたいと思っていますが、どんな形で終わらせるか。

今までの登場人物総出演で、美味しい食べ物の話でどんちゃんどんちゃん楽しく騒いで大団円。

そう考えています。

スピリッツ誌からのお知らせを、今少しお待ちください。

さて、今回何を言いたいかというと、あの、高市早苗総務大臣のお言葉と表情です。

人の顔の生まれつきの骨組みや肉の付き方などの形状は、本人の責任ではないが、目つき、口の利き方、言うことの内容に応じて様々な形態を取る唇など、その人間が表す表情という物は、当人が今の人間になるまでに自分で作り上げた物で、その表情・顔つきについては批判しても構わないと思います。

かつてジャーナリストとして活躍した大宅壮一は「男の顔は履歴書だ」と言った。

まことにむべなるかなで、中年に達した男(女性も同じ)の顔は親に貰った物だけでなく、自分が生きてくる間に経験したことによって出来上がったその人格の変化が表情に表れるということでしょう。

表情、顔つきは、精神の表れ、に他ならないでしょう。

そう言う意味で言うのですが、私も、この歳になるまで色々な人間の顔を見てきましたが、高市早苗のあの時のような人間の表情は初めて見ました。

女権論者によれば、女性の美醜を云々してはいけないようです。

醜いというのは論外で、美しいというもその女性の内面に関係のないことだから、言ってはいけないのだそうだ。

しかし、それは肉体的な、先天的な美醜についてでしょう。

後天的に 自分が送ってきた 精神生活の故に顔にへばりついた表情について言っていけないことはないはずです。

ご注意ください。

私は、肉体的な顔の美醜については一言も言っていないし、これからも言うつもりはありません。私は美人コンテストの審査員ではありませんし、私自身、おのれの醜貌に苦しんできた人間ですから。

(いやあ、用事深く言おうとすると、ここまでくどくど言わなければならないんですよ)

で、あの「電波を止める」 と言った時の高市早苗総務大臣の表情は寒気がするほどひどい物でした。

凶悪、悪逆、下品、下劣、不当な思い上がり、驕慢、これで誰かさんから良い点をもらえるだろうという媚びと期待に満ちた表情。

その全てがごちゃ混ぜになったもので、人間、どうしたらこれほどの醜悪な表情を人前にさらすことができるのか、私はテレビの画面の前で、その表情に怯えてしまい、もう死ぬんじゃないかとうろたえ、こんなに心臓が弱っているのなら今のうちに遺言状を書かなければならない、とまで考えました。

人間長い間生きていると、色々な物を見ますが、あんな醜悪な人間の表情を見せつけられるとは夢にも思いませんでした。

如何なる訓練を積めば、あのように全ての人を震え上がらせることの出来る表情を、全国民に向かって見せることが出来るのでしょう。

これこそ、高市早苗総務相のそれまで過ごしてきた人生に裏付けされた、人がまねをしようにもまねの出来ないことでしょう。

繰返して念を押して言っておきますよ。

私は、彼女の肉体的な美醜について言っているのではない。

彼女の表情、その表情を作り出す彼女の精神、について語っているのです。

表情の話はそれまでにして、高市早苗総務省の言った言葉を考えましょう。

彼女の言った要点をまとめます。

1)放送事業者が政治的公平性を欠く放送をくりかえし

2)行政指導でも改善されないと判断した場合

3)電波法76条に基いて電波停止を命じる

4)放送法を所管する立場から必要な対応は行うべきだ

ここで、重要なことは

A)政治的公平性を欠く

B)行政指導でも改善されないと判断した場合

C)電波停止を命じる

の三つでしょう。

一体「政治的公平性を欠く」とはどう言うことか。

政治的公平性とは実に曖昧な言葉で、どういうことだろうかと真面目に考えはじめると、迷路に陥る。

だが、こんな曖昧な言葉を誰が言ったのか考えれば、その意味はすぐに分かる。

言ったのは、高市早苗総務大臣です。

であれば、簡単なこと。

「政治的公平性を欠く」とは、「現今の政府与党を批判すること」、以外に考えられない。

高市早苗総務大臣は「あたしたちを批判するような放送内容は政治的公平性を欠くものなのよ」

と、  最初の脅しをかけたのです。

ついで、「  行政指導でも改善されないと判断した場合」と来た。

これは、

「あたしたちが、政府批判をするなと行政指導してやっても、言うことを聞かず政府批判をしていると、あたしたちが判断した場合」

と言うことでしょう。

「何が何でもあたしたちの判断が正しい。だからあたしたちの指導には従うのよ」

という、二度目の脅しですね。

そして、

「電波法76条に基いて電波停止を命じる」

でとどめを刺しましたね。

決定的な脅迫だ。

電波を停止されたら放送局の命は絶たれる。

「あたしたちの言うことを聞かないと放送局の命を奪うわよ」

まことにすさまじい脅迫で、これほどすさまじい暴力的な脅迫をした政治家は、他にいるだろうか。ヒットラー、スターリン、毛沢東、金正恩、くらいのものかなあ。

でも、ヒ氏、ス氏、モ氏、キ氏も高市早苗の高飛車なたいどにはおよばないだろうねえ、

「ヒスモキ」もびっくりでしょうねえ。

さらに、高市早苗は言いいます、

「放送法を所管する立場から必要な対応は行う」

要するに

「あたしたちは何でもしちゃうんだかんね!」

ということなんですよ。

政府に対する批判は許さない。敢えて批判したら電波も止めてしまう。

国会で大臣がこんな暴力的な脅迫をして、その大臣がそのまま居座っている国とはどんな未開で野蛮な国なんだろう。

一体どこの国の話なんだろう。まさかそんな国は、少なくとも民主国家とされている国の中には無いだろう。

オーストラリア人も、アメリカ人も、フランス人も、そう考えますよ。

オーストリア人も、スロバキア人も、ニュージーランド人も、セルビア人も、そう考えますよ(私の友人たちを総動員しちまったい)

ところが、民主主義国家の中に、あったんですよ。

ああ、それがなんと我が日本国だったとはね。

日本国では、2015年から2016年に掛けて、自分の意見を言うキャスターが次々に各放送局から追われた。

降板という言葉を使うのは日本人独特の卑しいごまかしです。

いやだねえ、こう言う誤魔化しの言葉を言う方も、それを黙って聞いている方も。

各放送局は政府に媚びを売るために自分たちの仲間であるキャスターを追放したのです。

仲間を売ったんだ。

仲間を売るなんて、ああ、なんと言う卑怯な、連中なんだろう。

人間としての矜持も何もあったもんじゃないね。

 

これから先は見えていますね。

全ての放送局は、政府に対して少しでも批判的に思われるものは、たとえ実際に政府自身がそんな風に取らなくても、前もって神経質に、放送内容から外すでしょう。

私は以前、世の中にはあまりに辛くて悲惨なことが起こるので、良い話、楽しい話だけを載せた新聞を発行して貰いたいものだ、と言ったことがありますが、ああ、良かった。

高市早苗様のおかげで、これから放送局は世の中の良いことばかり放送して、政府与党が全てこの世の中を上手く動かしていることを、日本人全てに分からせてくれるでしょう。

これからの日本は、政府与党が素晴らしいことばかりしてくれる、良い国になります。

私達は、本当に幸せな国民になります。

お国のすることに、文句を言いません。

私達、何か間違った考えを抱いたときにはすぐに、あの時の高市早苗先生のお顔を思い出しましょう。

お上に逆らわないってことは気持ちがいいねえ。

ああ、幸せだなあ・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

「世界一 幸せな国民」

 

頭上に梁が

縦横に無数に張り巡らされています

梁は日本全土に広がっていて

しかも、梁からは巨大な岩石が

ひとりひとりの頭の上に吊り下げられています

岩を吊り下げているのは糸ですよ

細い糸です

あ あそこで 糸が切れて

岩が人の上に落ちて人がつぶれた

どうも あの人は 駄目なようですね

岩の糸を管理している役人がやってきた

鋭い目で 私達をにらんでいます

は あの役人はなんと言いましたか

ほう 糸は言葉に敏感だ

はあ そうですか

そう 言いましたか

そんな こんなで

私達は 言葉選びが上手になりました

あ また あっちで糸が切れた

やれやれ あの人も あんなことを言ってしまっては駄目ですね

まあ 三 四年もすれば

糸が切れることもなくなるでしょう

糸を切るような言葉を口に出す人はいなくなるでしょうから

日本全土に梁を巡らすことに賛成したのは私達

頭上に重い岩を下げることに賛成したのも私達

ただ 糸がこんなに切れやすいとは思わなかったけれど

でも 私達は幸せです

糸を切るような言葉を口に出さない癖が身についたので

平穏に暮らせます

私達は 世界一 幸せな国民です

 

雁屋 哲

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