雁屋哲の今日もまた

2010-04-16

アメリカと言う国は・・・

 アメリカの、ワシントン・ポストという新聞が、鳩山首相について、

「不運で愚かな日本の首相」と紹介。

 

鳩山首相が「最大の敗者」「不運で愚か」とワシントン・ポスト紙が酷評

「鳩山首相はオバマ大統領に2度にわたり、米軍普天間飛行場問題で解決を約束したが、まったくあてにならない」

「鳩山さん、あなたは同盟国の首相ではなかったか。核の傘をお忘れか。その上で、まだトヨタを買えというのか。鳩山首相を相手にしたのは、胡主席だけだ」

 と書いた。

 一国の首相に対して、これだけ無礼なことを書くか、とまず驚いた。
 しかし、その真意を斟酌すると、さもありなんと思う。
 民主党政権になってから、日本国内で民主党に対する攻撃が激しい。
 検察の鳩山・小沢に対する攻撃もそうだ。
 しかし、それが、全部日本の国内発生的な物と考えるのは甘い。

 私は陰謀的な物の考え方は取らないが、今回の一連の事件は、ワタリガニにでも分かる出来事である。(ワタリガニは世界中に生息するカニであって、その数は世界中の人類より多いのではないか。ワタリガニは、可哀想に、ただ、ひたすら他の生物の餌になるだけの存在である)
 とにかく、アメリカは日本のような自分の植民地の首相が、自分たちの基地についてああだ、こうだ、言うだけで許せないのだ。
 トヨタの問題もその一連の動きの中のことだろう。(ワシントンボストの記事を読めば、それがよく分かる)
 トヨタの車に問題があったと申し立てた人間には、ブレーキも踏まずに、トヨタの車のブレーキが効かなかったと言った人間が最低二人か、認められている。

 アメリカの、ABCテレビも、日本で言えば捏造に近い番組作りをしていることが明らかになった(こういう不正が明らかになるところが、アメリカの良いところであるこは、私も大いに認める)
 しかし、とにかく、アメリカにとっては、アメリカの基地に対して協力的ではない鳩山内閣を潰すことに意欲的であることは間違いない。
 日本の支配層はアメリカに籠絡されている、と言うか、敗戦直後アメリカに命を助けて貰った人達の子孫だから、アメリカの命ずるままに、必要のない武器を買わされ、アメリカに対して「思いやり予算」などと言うばかげた、貢ぎ物をしてきた。

 その樣子が、鳩山内閣になって変わるのではないかとアメリカは心配しているのだ。
 ここ数ヶ月の、一連の、日本叩きは、その表れだ。
 トヨタの、リコールに対する対応が不誠実だった、などと、議会がトヨタに懲罰金を課したりしているが、今までに、こんな例が、アメリカに無かったと言うのか。
 フォードはどうだった、GMはどうなんだ。ドイツの車はどうだったんだ。
 アメリカは、小泉のように、大統領の前で、プレスリーの真似をして躍るような腰抜けの首相が欲しいのだ。

 普天間基地について議論を起こすだけでも、アメリカは許せないのだ。
 鳩山首相自体、反米ではないが、隷属の姿勢が足りないと言うわけだろう。
 小沢幹事長がアメリカに行こうとしたら、鳩山首相と二重権力の様に見えるから止めろ、と言う声がかかって、小沢幹事長はアメリカ行きを取りやめた。
 おお、なんと、その、小沢幹事長アメリカ行きを止めたのは、アメリカ自身だったのだ。
 アメリカは、鳩山首相なら、英語が話せるから直接恫喝できるが、小沢幹事長だと通訳を通じなければならないので、恫喝が弱くなるから小沢幹事長が来ることを拒否したのではないか。(勘ぐりすぎですかね)

 私は、前回の日記で「国民国家・愛国主義」を否定した。
 アメリカの場合、「国民国家・愛国主義」どころか、「国民国家」を偽る、「どん欲資本主義者」が国を操っていると思う。
 アメリカの平均的な国民の惨めな生活はあまり明らかにされていない。
 私の仲の良いオーストラリア人の友人の細君は何年かアメリカで看護婦として勤めていた。
 彼女が言うのに、「一番辛かったのは救急車で運ばれてきた重病人に、貴方は保険にかかっているか、とまず尋ねることだった」そうだ。
 もし、「保険にかかっていない」と患者が答えたら、直ちに他の病院に回してしまう。
 結果として、全ての病院に受け入れられず、そのような患者は死んでしまう。

 日本人には、信じられないことだろうが、アメリカでは「国民健康保険」のような、国民福祉は存在しない。
 その代わり、その福祉に使う金を武器にして、イラクやアフガニスタンなど、至る所にぶちまけているのだ。アメリカは軍需産業で生きている国だ。
 福祉に金を掛けるより、武器の開発に金を掛けた方が儲かる人達が、国を支配しているのだ。

 ワシントン・ポストの鳩山首相を貶める記事は、我々日本人が、アメリカと日本の関係を考え直すのに良い教科書となる。
 トヨタ車に対する異常な攻撃、それも、消費者に対する信頼の厚いとされる雑誌が始めた攻撃。(この雑誌は、広告を取らないからいかなる企業の意図にも影響されないとしている。大変に立派な雑誌である。こう言う雑誌に攻撃されたら、大抵の企業は白旗を上げざるを得ない)

 こう言うことを、単なる現象として見過ごしてはならない。
 私は、民主党も、鳩山首相をも、支持しない。
 しかし、アメリカのこの暴虐に対しては、対抗しなければならないと思う。
 まだ、「国民国家・愛国主義」に固まっているアメリカのような国に対する時には。

雁屋 哲

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