雁屋哲の今日もまた

2010-04-11

釣りの報告

 昨日、さんざん、「美味しんぼ」の仕事が忙しいと泣き言を言っておきながら、あれま、どうしたことでしょう、今日私は、釣りに行きました。

 私の家からは相模湾が一望できる。いつも目の前の海で、多数の釣り船が出ているのを見て「ちきしょーっ! 俺んちの海の魚を全部獲って行きやがる! 許せーんっ!」などと、歯がみをしている。
 たまたま私の目の前にある相模湾が、私の海になり、相模湾の魚が、私の魚になり、それを他の人が獲るのを許せない、というのは私にとっては極めて論理が一貫していて正しいと思うのだが、そうは思わないという人の方が多いだろうね。
 しかし、少なくとも、これから、秋谷近辺の海で釣りをする人は、私の海で遊んで私の魚を獲っている、という意識をきちんと持って欲しい物だな。

 私の家の前は「釣り宿 権兵衛丸」。権兵衛丸さんの長女と家の次女は小学校の同級生だ。
 そう言う仲なので、「今日は、カサゴ、メバル、などを主に釣りたい」などと言う我が儘を聞いて貰える。
 で、今日は、私と友人の「と」と、姉の夫、の三人で船に乗った。

 私は、生き餌を使うのがいやなので、ルアーで釣りたかったのだが、船から釣るのに適したルアーが見つからず、「権兵衛丸」さんの用意してくれたいきイワシ(ヒコイワシ)を使った。
 釣りを始めて一分経ったかそこらの間に、義兄がメバルを釣り上げた。
 その後、義兄は、メバル、を連続して釣り上げ我々は大いに焦った。

 そのうちに、私にカサゴが来た。実に型の良いカサゴで、私は大いに満足した。
 あの引き味と来たらたまらない。最初に、びびっと来て、すぐにぐいぐい引っ張り込む。
 それに対抗して水深六十メートルもの底から引き上げるのだから、大変だ。
 深海の魚は、途中で、浮き袋がふくらんで、急に引っ張る力が弱くなる物だが、今日のカサゴの内大きい物は最後までぐいぐいひいた。

「と」は全然釣れず、私がよい型のカサゴを釣り上げているのを見ながら「いいなあ、いいなあ」とうらやましげに言う。
 余りそう言うことが続くと、「と」の性格が悪くなると心配したが、とつぜん「と」に当たりがあり見事な型のマトダイをつり上げた。
 それで、それまで、ひがんでいた「と」が一気に調子に乗った。

 それからしばらくして、とてつもない引きで、「と」の竿が殆どUの字型にしなった。
 これはただものではない。私は、手網を持って待ちかまえていた。
 やがて水面近くに「と」が引き上げたのは巨大なカサゴ。私は、焦ってはいたが十分注意して手網で取り込んだ。
 いや、素晴らしい型のカサゴで、「と」は有頂天になった。
 船頭さんも、これだけ見事なカサゴは滅多にないと言う。
 勿論私達は初めて見る大型のカサゴだ。
 実に興奮した。

 続いて義兄がハタの良い型のものを上げ、途中釣れないときに、連れ合いに携帯で「今夜はすき焼きの用意をしてね」と頼んだのだが、これだけ良い型の物が釣れると話は違う。ただちに、「すき焼き取り消し」の電話を入れた。
 結局私がよい型のカサゴを三つ、義兄がメバル二つ、はた二つ、「と」がマトダイと大カサゴ。
 すべて、食べて美味しい高級魚である。
 私達夫婦に次男、姉と義兄、「と」とその夫人、葉山在住のライターの「や」さんの8人でカサゴの刺身、カサゴの唐揚げ、はたの中華風酒蒸し、カサゴとはたの刺身、マトダイのバター焼き。メバルの煮付け。
 と言う大御馳走で全員大いに楽しんだ。

 罰として、私は日焼け止めを塗り忘れたので顔が日焼けで真っ赤になり、釣りが終わって家に帰ってきて暫くしてから、あまりの痛さに気分が悪くなる有様。
 連れ合いが、隣家の畠からアロエを貰ってきてくれてそれを顔にはり、姉がアロエのローションを買って来てくれたのでそれを何度も塗り、ようやく、痛みと火照りが収まった。

 しかし、また明日早朝から、和歌山県に取材旅行。
 本当に、1日だけの休日でした。

 ああ、楽しかった。
 しかし、この、真っ赤に日焼けした顔は、泥酔しているようにも見える。
 そのせいで、飛行機の登場を断られたらどうしよう。

 いやはや、なんともである。

雁屋 哲

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